異世界クラス転移した俺氏、陰キャなのに聖剣抜いたった ~なんかヤバそうなので学園一の美少女と国外逃亡します~

みょっつ三世

文字の大きさ
上 下
11 / 67

EX2 陽キャイケメン天上院天下

しおりを挟む

 地元有数企業かつ地主である天上院家の長男。
 輝かしい未来約束された存在。頭脳容姿家柄。その全てに恵まれ生まれながらにしての勝ち組。それが僕、天上院天下だった。

 僕の望むもの大抵何でも手に入ったし、それに大した苦労をした覚えも特にない。
 しかし最近はことが上手く進まないことが多く、それらは際限なく僕に苛立ちを募らせた。

 ある日突然に何の前部触れもなく異世界に転移した。それはまぁいい。むしろ自分が選ばれし存在だとより強く認識できる喜ばしいことにすら思えた。しかし。しかしだ。

 ――聖剣が抜けなかった。

 異世界転移した僕に待っていた現実は厳しいものだった。
 ただ一人選ばれし存在のみが引き抜けるという聖剣。それを成し遂げることが出来るのは転移したクラスメイトの中で唯一自分だけだと自他共に確信していた。

 そのはずなのに。それがまるで抜けなかったのだ。もう本当に笑えるぐらいで本当に一ミリたりとも抜けなかった。
 まるで理解出来ないし意味不明だった。普通ここは抜ける場面だろう。

 しかもだ。しかも許せないのが聖剣を抜いたのがクラス一の陰キャだったことだ。
 何の取り柄もなく、何の成果も残さず、ただただ搾取され続け一人寂しく死んでいく存在がこの僕を差し退けて聖剣を引き抜いたのだ。

 ふざけるな。許せるものか。そうだ到底許せる行為ではなかった。陰キャの分際でこの僕に恥をかかせやがってっ。

 しかも己が立場を誇示したいためか。
 クラスメイトの意見をまとめた結果、聖剣はこの僕、天上院天下が扱うに相応しいと決定したというのにそれを拒否した。
 あのクソ陰キャはこの最も相応しい使い手である僕に聖剣を譲るつもりがまるでない。なんて恥知らずで自己中心的な奴だ。

 しかし所詮は陰キャ。
 僕がいかに有能で己がどれだけ無能かすぐ理解することになるだろう。そうなれば自然と聖剣は僕の手元へと来る。そうに決まっている。

 とはいえ聖剣の件で不満は多いが異世界転移も悪いことばかりではなかった。

 そう思う理由は彼女、一ノ瀬アリスだ。
 実は僕と彼女は将来を誓い合った許嫁関係なのだ。しかし、そのはずなのに彼女は決して僕に決してなびかなかった。

 彼女と僕が仲睦まじく付き合えば名実とも晴れてお似合いの美男美女カップル誕生だ。そうあるべきだし、彼女も空気を読むべきだ。

 どうにかしたかったが彼女もまた名家の令嬢。いくら許嫁とはいえ下手なことは出来なかった。
 だが今回の異世界転移で状況が一変した。

 彼女は無能だったのだ。
 僕自身を含め他のクラスメイト達はどれも強力な能力に目覚めているというのに彼女一人だけ何の役にも立たない能力だった。
 これが笑わずにいられるだろうか。才色兼備眉目秀麗であのお高くとまっていたあの一ノ瀬アリスがこの異世界では無能ときた!

 僕のイメージが崩れてしまうから流石に公衆の面前でそんなことはしないが。実際に笑いを堪えるのに必死だったよ。

 そうそう。不良崩れの彼が彼女に言い寄った件。
 何を隠そう彼を差し向けたのもこの僕だ。あの手の脳と下半身が直結した輩は御しやすくて使い勝手がいい。
 途中でまた陰キャの邪魔が入ったらしいが、それでもきっと彼女にとって良い薬になるはずだ。

 それらのことから彼女の子供じみた抵抗はそろそろ終わりを迎えることだろう。もう時間の問題だ。そのうち彼女から僕に泣きついてくるに決まっている。

 その時、彼女は一体どんな表情をしているのだろうか。あぁ本当に楽しみだ。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。 地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!? 異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...