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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第303話 協定連合軍
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「……では、行ってくる」
「お姉ちゃん。待っててねー!」
ビアンカさんが周辺国を動かすと言ってくれているけど、私たちがすべき事を相談し、少しでも早く移動する為……と、イナリとコリンの二人が街を出ていった。
私とロレッタさんを載せない方が確実にイナリは速いと思うし、コリンならハムスターの姿になれるからね。
「さて。じゃあ、私は薬を作っておこうかな」
「でしたら、私は食事を用意しますね。イナリさんたちが帰ってきたら、沢山食べそうですし」
という訳で教会の一室を借り、薬を作ろうとしたところで、買い物に出掛けようとしていたロレッタさんが……足を止める。
「……あの、アニエスさん。私の疑問が三つあるという話はしましたよね?」
「あ、そうだったね! えっと、二つ目が私の神水の話だよね?」
「えぇ。三つ目の疑問……イナリさんは何者なのでしょうか。大きな狐の姿になったり、闇……に属する魔法を使ったり」
「あ……うーん。現時点で私から言えるのは、狐の獣人族って事だけかな。流石に本人のいないところで勝手にいろいろと話すのも違うと思うし」
「……そう、ですね。失礼しました。では、買い物に行ってきますね」
ロレッタさんが少し悲しそうに部屋を出て行く。
とはいえ、私の事は他にも知っている人がいるけど、イナリの事は本当に誰も知らないのよね。
私とコリンを除いたら、イナリが妖狐だという事を知っているのはソフィアさんくらいじゃないかな?
流石にこれは勝手に話せないと思いつつ、薬作りに励む。
暫くしてロレッタさんが戻ってきて、更に時間が経ち、二人で昼食を食べ終えたところで、ビアンカさんがやってきた。
「アニエスさん。ここにいると聞いたので……ひとまず現状をお話ししておきますね」
「魔王討伐の協定の事よね?」
「えぇ。ポートガやゲーマなどの国が、まずは数名の精鋭を送ると言ってくれています。近い国は今夜にも到着する見込みです」
流石はビアンカさん。
イナリが話していた通りで、少数精鋭が集まってくるみたい。
「ただフランセーズだけは、トリスタン王子が魔王復活の原因だからか、大勢で向かってきているみたいで」
「えぇ……そうなんだ。まぁ責任を感じているのかもしれないけど……」
「ただ、大勢で他国へ来ると、一歩間違えれば侵略と間違えられかねません。実際、トリスタン王子がフランセーズの国益の為に魔王の力を得たのではないか……と言われていました」
「そう思われても仕方ないわよね」
流石にトリスタン王子の暴走であって、国ぐるみではないと思いたいけど……ち、違うよね?
「ひとまず、協定も効力を発揮しましたし、アニエスさんは無理しなくて良いですから」
「うーん。無理はしないけど……そうだ。じゃあ、せめてこのポーションを持って行ってください。戦いの中で怪我をした方の為に」
「わかりました。ありがとうございます」
「ビアンカさん。何かあればすぐに呼んでくださいね」
私の言葉を聞いて、ビアンカさんが一礼して部屋を出て行った。
確かに、イスパナでいろいろしたけど、こういう時だからこそ協力すべきだと思うんだけどな。
遠慮しなくて良いのに。
そんな事を考えながらポーション作りを再開し、陽が沈む。
ロレッタさんの作ってくれた夕食と共にイナリ達を待っているけれど、まだ戻って来ていない。
「……そろそろ、トリスタン王子が魔王の力を使い始める頃ですよね?」
「そうね。だけど、二人がまだ戻ってこないわね。とはいえ、私たちだけでもトリスタン王子の様子を見に行きたくても……」
「居場所がわからないんですよね」
ビアンカさんに聞きに行ったんだけど、そもそもビアンカさんもトリスタン王子の居場所は掴んでいないらしい。
今は、イスパナの騎士団をいろんな所へ派遣して警戒にあたっているのと、協定で来た各国の人たちはこのバーセオーナに滞在しているという事は教えてもらったけど。
「もう一度様子を見に行ってきますね」
「あ、でしたら私も行きます」
ロレッタさんと共にビアンカさんたちがいる大部屋へ向かうと……同じタイミングで慌てた様子の騎士さんが走ってきて、凄い勢いで扉を開く。
「報告します! トリスタン王子が現れました! 場所は……ここ、聖都です! 正面から乗り込んできました!」
あ……そうだ。トリスタン王子は……物凄い自信家だった。
「お姉ちゃん。待っててねー!」
ビアンカさんが周辺国を動かすと言ってくれているけど、私たちがすべき事を相談し、少しでも早く移動する為……と、イナリとコリンの二人が街を出ていった。
私とロレッタさんを載せない方が確実にイナリは速いと思うし、コリンならハムスターの姿になれるからね。
「さて。じゃあ、私は薬を作っておこうかな」
「でしたら、私は食事を用意しますね。イナリさんたちが帰ってきたら、沢山食べそうですし」
という訳で教会の一室を借り、薬を作ろうとしたところで、買い物に出掛けようとしていたロレッタさんが……足を止める。
「……あの、アニエスさん。私の疑問が三つあるという話はしましたよね?」
「あ、そうだったね! えっと、二つ目が私の神水の話だよね?」
「えぇ。三つ目の疑問……イナリさんは何者なのでしょうか。大きな狐の姿になったり、闇……に属する魔法を使ったり」
「あ……うーん。現時点で私から言えるのは、狐の獣人族って事だけかな。流石に本人のいないところで勝手にいろいろと話すのも違うと思うし」
「……そう、ですね。失礼しました。では、買い物に行ってきますね」
ロレッタさんが少し悲しそうに部屋を出て行く。
とはいえ、私の事は他にも知っている人がいるけど、イナリの事は本当に誰も知らないのよね。
私とコリンを除いたら、イナリが妖狐だという事を知っているのはソフィアさんくらいじゃないかな?
流石にこれは勝手に話せないと思いつつ、薬作りに励む。
暫くしてロレッタさんが戻ってきて、更に時間が経ち、二人で昼食を食べ終えたところで、ビアンカさんがやってきた。
「アニエスさん。ここにいると聞いたので……ひとまず現状をお話ししておきますね」
「魔王討伐の協定の事よね?」
「えぇ。ポートガやゲーマなどの国が、まずは数名の精鋭を送ると言ってくれています。近い国は今夜にも到着する見込みです」
流石はビアンカさん。
イナリが話していた通りで、少数精鋭が集まってくるみたい。
「ただフランセーズだけは、トリスタン王子が魔王復活の原因だからか、大勢で向かってきているみたいで」
「えぇ……そうなんだ。まぁ責任を感じているのかもしれないけど……」
「ただ、大勢で他国へ来ると、一歩間違えれば侵略と間違えられかねません。実際、トリスタン王子がフランセーズの国益の為に魔王の力を得たのではないか……と言われていました」
「そう思われても仕方ないわよね」
流石にトリスタン王子の暴走であって、国ぐるみではないと思いたいけど……ち、違うよね?
「ひとまず、協定も効力を発揮しましたし、アニエスさんは無理しなくて良いですから」
「うーん。無理はしないけど……そうだ。じゃあ、せめてこのポーションを持って行ってください。戦いの中で怪我をした方の為に」
「わかりました。ありがとうございます」
「ビアンカさん。何かあればすぐに呼んでくださいね」
私の言葉を聞いて、ビアンカさんが一礼して部屋を出て行った。
確かに、イスパナでいろいろしたけど、こういう時だからこそ協力すべきだと思うんだけどな。
遠慮しなくて良いのに。
そんな事を考えながらポーション作りを再開し、陽が沈む。
ロレッタさんの作ってくれた夕食と共にイナリ達を待っているけれど、まだ戻って来ていない。
「……そろそろ、トリスタン王子が魔王の力を使い始める頃ですよね?」
「そうね。だけど、二人がまだ戻ってこないわね。とはいえ、私たちだけでもトリスタン王子の様子を見に行きたくても……」
「居場所がわからないんですよね」
ビアンカさんに聞きに行ったんだけど、そもそもビアンカさんもトリスタン王子の居場所は掴んでいないらしい。
今は、イスパナの騎士団をいろんな所へ派遣して警戒にあたっているのと、協定で来た各国の人たちはこのバーセオーナに滞在しているという事は教えてもらったけど。
「もう一度様子を見に行ってきますね」
「あ、でしたら私も行きます」
ロレッタさんと共にビアンカさんたちがいる大部屋へ向かうと……同じタイミングで慌てた様子の騎士さんが走ってきて、凄い勢いで扉を開く。
「報告します! トリスタン王子が現れました! 場所は……ここ、聖都です! 正面から乗り込んできました!」
あ……そうだ。トリスタン王子は……物凄い自信家だった。
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