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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第288話 トリスタン王子の目的
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国境の村から森を抜けると街道に出たので、ひとまず東へ進んでみると、小さな村に出た。
ひとまず、トリスタン王子たちがこの村を通ったか聞いてみると、すぐに目撃者が見つかる。
「あぁ、そいつらなら見たぜ。この街道を真っすぐ東へ進んで行ったな」
「ありがとうございます!」
皆で手分けして聞いていたけど、それぞれが別の人たちから東へ行ったという情報を得たので、間違いないのだろう。
という訳で、街道を急いで進んで行くんだけど、この街道が緩やかに北東へ向かっている。
最初の国境の村でも、街道は北東へ伸びていたけど、トリスタン王子たちは東へ向かった。
もしかして、ここでもトリスタン王子たちは街道を通らずに、南東か東へ向かっているのではないだろうか。
「……って、考えたんだけど、どうかな?」
「うーん。トリスタン王子たちが何処を目指しているのかがわかれば良いんだけど……」
「夜まで待てば、行き先はわかりますが……ですが、既に魔槍を手にいれられれている以上、あまり悠長にしていられませんね」
私の考えを聞き、コリンとロレッタさんがどうしたものかと悩んでいる。
時間が無いのはその通りだし、手掛かりを失うのはマズい。
かといって、私たちが別行動を取ってしまうと、いざ魔槍を手にしたトリスタン王子に追いついた時に困ってしまう。
「ふむ。ここから真っすぐ東へ行くと、あの旧聖都があるな」
「イナリ、そんな事がわかるの!?」
「一度通った地だからな。現在地くらい把握しておるぞ?」
いや、一度通ったっていうのはその通りだけど、その後別の国へ入るくらい移動しているのに。
あ……でも、イナリは花の国ネダーランから、迷う事なくゲーマの帝都へ走ってくれたっけ。
「そういえば……あの夜、トリスタン王子たちは旧聖都の宝物庫の前を通ったわね」
「もしかして、やっぱりトリスタン王子はあの宝物庫に何か用があったんじゃない? だけど、お姉ちゃんたちがいたから後回しにしたとか」
「コリンの言う通りかも! やっぱりどう考えてもおかしかったもの! 旧聖都の宝物庫に、私たちに見られたくない何かがあるんじゃないかしら!」
何があるかはわからないけれど、魔槍を手に入れて旧聖都へ向かうっていう事は、魔の力に関する何かがあるのだと思う。
あの場所は、過去の水の聖女が封印したファイア・ドレイクが解放されて壊滅してしまった訳だし、それまでは長い歴史があった聖都なのだから、他にも何か秘密があってもおかしくない。
「待って。あの街の地下にはファイア・ドレイクがいる……もしも、魔の力で魔物を操る事が出来たとしたら!?」
「ふむ。あのバカ王子が、魔剣を持っていた時に一緒にいたゴブリンとは比べ物にならない事態になるな」
「あ、あの、待ってください。ファイア・ドレイクとは? 一体、あの街の地下には何があるんですか!?」
私と一緒にファイア・ドレイクを封印しなおしたイナリはすぐに理解してくれたけど、事情を知らないロレッタさんが混乱しているので、簡単に事情を説明する。
ややこしくなりそうなので、私たちが再封印したっていう話は勿論出さないけど。
「……という訳なの」
「って、そんな魔物が街の下にいるんですかっ!? だったら、あの街を復興させようとしている人たちを避難させた方が……」
「も、もう大丈夫だから。何か悪い人が故意に封印を解こうとしない限り、大丈夫なの」
「でも、その悪い人が……トリスタン王子が魔槍を手にして、その場所へ向かっているんですよね!?」
「えぇ。だから……急ぎましょう!」
行き先が決まり、イナリに方角を教えてもらいながら森を突っ切り……陽が沈みかけた頃に、旧聖都へ到着した。
ひとまず、トリスタン王子たちがこの村を通ったか聞いてみると、すぐに目撃者が見つかる。
「あぁ、そいつらなら見たぜ。この街道を真っすぐ東へ進んで行ったな」
「ありがとうございます!」
皆で手分けして聞いていたけど、それぞれが別の人たちから東へ行ったという情報を得たので、間違いないのだろう。
という訳で、街道を急いで進んで行くんだけど、この街道が緩やかに北東へ向かっている。
最初の国境の村でも、街道は北東へ伸びていたけど、トリスタン王子たちは東へ向かった。
もしかして、ここでもトリスタン王子たちは街道を通らずに、南東か東へ向かっているのではないだろうか。
「……って、考えたんだけど、どうかな?」
「うーん。トリスタン王子たちが何処を目指しているのかがわかれば良いんだけど……」
「夜まで待てば、行き先はわかりますが……ですが、既に魔槍を手にいれられれている以上、あまり悠長にしていられませんね」
私の考えを聞き、コリンとロレッタさんがどうしたものかと悩んでいる。
時間が無いのはその通りだし、手掛かりを失うのはマズい。
かといって、私たちが別行動を取ってしまうと、いざ魔槍を手にしたトリスタン王子に追いついた時に困ってしまう。
「ふむ。ここから真っすぐ東へ行くと、あの旧聖都があるな」
「イナリ、そんな事がわかるの!?」
「一度通った地だからな。現在地くらい把握しておるぞ?」
いや、一度通ったっていうのはその通りだけど、その後別の国へ入るくらい移動しているのに。
あ……でも、イナリは花の国ネダーランから、迷う事なくゲーマの帝都へ走ってくれたっけ。
「そういえば……あの夜、トリスタン王子たちは旧聖都の宝物庫の前を通ったわね」
「もしかして、やっぱりトリスタン王子はあの宝物庫に何か用があったんじゃない? だけど、お姉ちゃんたちがいたから後回しにしたとか」
「コリンの言う通りかも! やっぱりどう考えてもおかしかったもの! 旧聖都の宝物庫に、私たちに見られたくない何かがあるんじゃないかしら!」
何があるかはわからないけれど、魔槍を手に入れて旧聖都へ向かうっていう事は、魔の力に関する何かがあるのだと思う。
あの場所は、過去の水の聖女が封印したファイア・ドレイクが解放されて壊滅してしまった訳だし、それまでは長い歴史があった聖都なのだから、他にも何か秘密があってもおかしくない。
「待って。あの街の地下にはファイア・ドレイクがいる……もしも、魔の力で魔物を操る事が出来たとしたら!?」
「ふむ。あのバカ王子が、魔剣を持っていた時に一緒にいたゴブリンとは比べ物にならない事態になるな」
「あ、あの、待ってください。ファイア・ドレイクとは? 一体、あの街の地下には何があるんですか!?」
私と一緒にファイア・ドレイクを封印しなおしたイナリはすぐに理解してくれたけど、事情を知らないロレッタさんが混乱しているので、簡単に事情を説明する。
ややこしくなりそうなので、私たちが再封印したっていう話は勿論出さないけど。
「……という訳なの」
「って、そんな魔物が街の下にいるんですかっ!? だったら、あの街を復興させようとしている人たちを避難させた方が……」
「も、もう大丈夫だから。何か悪い人が故意に封印を解こうとしない限り、大丈夫なの」
「でも、その悪い人が……トリスタン王子が魔槍を手にして、その場所へ向かっているんですよね!?」
「えぇ。だから……急ぎましょう!」
行き先が決まり、イナリに方角を教えてもらいながら森を突っ切り……陽が沈みかけた頃に、旧聖都へ到着した。
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