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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第279話 容疑者
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剣を持った騎士さんたちに囲まれ、店内がシンと静まりかえる。
何も悪い事はしていないのに、ドキドキしてしまうのは何故だろうか。
『アニエス。その気になれば、全員倒せるが?』
イナリから怖い念話が飛んで来て、小さく首を振る。
確かにイナリなら、この包囲を簡単に突破できるだろうけど、確実にお尋ね者になり、もうポートガに居られなくなる。
何もしていないのだから、調査が終われば騎士さんたちは帰っていくだろう。
という訳で、大人しくしているつもりだったんだけど……想定外の事が起こる。
「ん? ……君、俺に根掘り葉掘り武器について聞いてきた子だよね?」
「え? あ、さっきの……」
街で聞き込みをしている時に、ブラック・ソードについて教えてくれた男性が、何故か騎士さんたちと一緒に私たちのテーブルを見にきた。
周囲の騎士さんたちがちゃんと剣や鎧を着ていて、正装って感じがするのに、私服のまま混じっているって事は、もしかして偉い人とかなの!?
「副隊長。お知り合いですか?」
「いや、今日は本来なら非番だったから、食料品を買いに行った時に声をかけられてな。昔から伝わる武器について教えてくれって言われてさ」
「……怪しいですね」
「ちょっとな。いや、まさかこんな事が起こるとは思っていなかったが……まぁこのお嬢ちゃんも俺が非番の騎士だとは思わなかったみたいだな」
えぇ……ちょっと待って! これって、考えられる最悪のケースじゃない!?
ポートガの神殿ってところに泥棒が入って、その仲間じゃないかって疑われているんでしょ!?
「お嬢さん。悪いが、身分証を見せてもらえるか?」
「はい。こちらです」
「ふむ。フランセーズのA級薬師か。身分証は本物のようだが……とりあえず、詳しく話を聞かせてもらおうか。このテーブルの四人は全員詰所へ来てもらおう」
えぇぇぇっ!? 嘘でしょ!?
私だけではなくて、ロレッタさんたちまで……って、違う! この状況が最悪のケースだって思ったけど、そうじゃない。
もっと酷いのが、ここでイナリが怒って、騎士さんたちを攻撃してしまう事だ!
お願いイナリ! 今は騎士さんたちに従って!
「ほぉ。我が何処へ行き、何をするかをお主たちが決めるのか」
「少し話を聞かせてもらうだけだ。何もなければ、すぐに解放しよう。何もなければな」
「……まぁ良いだろう。手短に済ませてもらおうか」
よ、良かった。
祈るような想いでイナリの目を見つめ続けていたら、私の考えが通じたのか、イナリが大人しく歩いていく。
これで何事もなければ、本当の最悪のケースは回避出来るわね。
あとは、私たちが武器について調べていた事が誤解だと分かってもらわないと!
「こっちだ。我々の詰所で話を聞かせてもらう」
ひとまず、協力する姿勢を見せる為、騎士さんたちに囲まれてお店を出る。
お店から出て大通りを歩いていると、街の人たちがまるで罪人でも見るかのような視線を浴びせかけてきた。
誤解……誤解なんですってば!
だけど騎士さんたちもこの視線に気付いたのか、大通りから路地へ入って騎士団の詰所へ向かう。
あとは、この詰所での聞き取りを乗り越えれば、何とかなるんだけど……
「では、お嬢さん。貴女は、一番の部屋へ。そちらの黒髪の女性は三番に。少年は五番で、最後のアンタはこっちだ。部屋が空いていないから、地下室を使う。ついて来てくれ」
いやいやいや、部屋なんて沢山あるでしょ!?
イナリを地下室に……って、絶対に手を出したりしちゃダメだからね!? イナリに!
大変な事になっちゃうからっ!
何も悪い事はしていないのに、ドキドキしてしまうのは何故だろうか。
『アニエス。その気になれば、全員倒せるが?』
イナリから怖い念話が飛んで来て、小さく首を振る。
確かにイナリなら、この包囲を簡単に突破できるだろうけど、確実にお尋ね者になり、もうポートガに居られなくなる。
何もしていないのだから、調査が終われば騎士さんたちは帰っていくだろう。
という訳で、大人しくしているつもりだったんだけど……想定外の事が起こる。
「ん? ……君、俺に根掘り葉掘り武器について聞いてきた子だよね?」
「え? あ、さっきの……」
街で聞き込みをしている時に、ブラック・ソードについて教えてくれた男性が、何故か騎士さんたちと一緒に私たちのテーブルを見にきた。
周囲の騎士さんたちがちゃんと剣や鎧を着ていて、正装って感じがするのに、私服のまま混じっているって事は、もしかして偉い人とかなの!?
「副隊長。お知り合いですか?」
「いや、今日は本来なら非番だったから、食料品を買いに行った時に声をかけられてな。昔から伝わる武器について教えてくれって言われてさ」
「……怪しいですね」
「ちょっとな。いや、まさかこんな事が起こるとは思っていなかったが……まぁこのお嬢ちゃんも俺が非番の騎士だとは思わなかったみたいだな」
えぇ……ちょっと待って! これって、考えられる最悪のケースじゃない!?
ポートガの神殿ってところに泥棒が入って、その仲間じゃないかって疑われているんでしょ!?
「お嬢さん。悪いが、身分証を見せてもらえるか?」
「はい。こちらです」
「ふむ。フランセーズのA級薬師か。身分証は本物のようだが……とりあえず、詳しく話を聞かせてもらおうか。このテーブルの四人は全員詰所へ来てもらおう」
えぇぇぇっ!? 嘘でしょ!?
私だけではなくて、ロレッタさんたちまで……って、違う! この状況が最悪のケースだって思ったけど、そうじゃない。
もっと酷いのが、ここでイナリが怒って、騎士さんたちを攻撃してしまう事だ!
お願いイナリ! 今は騎士さんたちに従って!
「ほぉ。我が何処へ行き、何をするかをお主たちが決めるのか」
「少し話を聞かせてもらうだけだ。何もなければ、すぐに解放しよう。何もなければな」
「……まぁ良いだろう。手短に済ませてもらおうか」
よ、良かった。
祈るような想いでイナリの目を見つめ続けていたら、私の考えが通じたのか、イナリが大人しく歩いていく。
これで何事もなければ、本当の最悪のケースは回避出来るわね。
あとは、私たちが武器について調べていた事が誤解だと分かってもらわないと!
「こっちだ。我々の詰所で話を聞かせてもらう」
ひとまず、協力する姿勢を見せる為、騎士さんたちに囲まれてお店を出る。
お店から出て大通りを歩いていると、街の人たちがまるで罪人でも見るかのような視線を浴びせかけてきた。
誤解……誤解なんですってば!
だけど騎士さんたちもこの視線に気付いたのか、大通りから路地へ入って騎士団の詰所へ向かう。
あとは、この詰所での聞き取りを乗り越えれば、何とかなるんだけど……
「では、お嬢さん。貴女は、一番の部屋へ。そちらの黒髪の女性は三番に。少年は五番で、最後のアンタはこっちだ。部屋が空いていないから、地下室を使う。ついて来てくれ」
いやいやいや、部屋なんて沢山あるでしょ!?
イナリを地下室に……って、絶対に手を出したりしちゃダメだからね!? イナリに!
大変な事になっちゃうからっ!
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