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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第255話 教会の夜
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「ふゎー、お風呂が大きいー!」
「す、凄い。貴族のお屋敷みたいです」
教会に泊めてもらう事になり、ロレッタさんと一緒にお風呂へやってきた。
イスパナで一番大きな教会というだけあって、ゲスト用のお風呂があるんだけど、物凄く大きい上に、私たちしか居ない。
教会というだけあって、変な装飾品とかがゴテゴテしている訳ではなく、シンプルに広いお風呂だ。
これがトリスタン王子なら、よくわからない壺とか彫像とか、絶対に無意味な調度品を並べていると思う。
大きくても教会なので、そういう所がブレないのは良いんじゃないかな。
「ふぅ。こんなに大きなお風呂は初めてです」
「ですよねー! 思いっきり脚を伸ばせちゃいますね」
「ですが、大き過ぎるので、一人だと怖くなっちゃうかもですね。コリンさんは大丈夫でしょうか?」
あ、そっか。
ロレッタさんはコリンの年齢を知らないんだ。
獣人族なので見た目は幼いけど……って、勝手に私が言っちゃダメね。
ただ、もしもこれが逆だったら……とは思う。
今はロレッタさんが居るから良いけれど、大きなお風呂に一人って怖いのよね。実際、経験したし。
そんな事を考えていると、突然コリンの声が響き渡る。
「えっと、僕は子供じゃないから、大丈夫だよー!」
「えぇっ!? コリン!? 何処に居るのっ!?」
「隣のお風呂だよー! 屋根の近くに隙間があって、お姉ちゃんたちの声が聞こえてるんだー!」
「あ、そういう事? あはは、平気みたいで良かった」
ビックリしたー。
コリンはそういう事をする子じゃないから、間違えてこっちへ入って来ちゃったのかと思っちゃった。
ひとまず、コリンは平気そうなので、ロレッタさんとお話ししながらお風呂を済ませ、夕食までいただいて、それぞれの部屋へ。
一人一部屋が割り当てられ、子狐姿のイナリは、コリンのところに居る。
「さて……今日もポーション作りを頑張りますか」
予め、イナリの異空間収納から調薬に使う器具も材料も出してもらっているし、時間もたっぷりあるから、何を作ろうかな。
超級ポーションはいつも作っているから、それなりに数もあるし、こればっかり作っていると、すぐに材料となる薬草が無くなっちゃうんだよね。
「……よし、これからの私たちに必要そうな薬にしよう」
という訳で、暫く考えた結果、まずは上級ポーションを作る事にした。
何かで私たちが別行動をしている時に、私がいなくても怪我とかを治せた方が良いもんね。
だけど、神水で上級ポーションを作ると超級になってしまうので、中級ポーションの材料で作っていく。
十本くらい作り、そろそろ違うポーションを作ろうかなと思ったところで、突然部屋が揺れる。
「な、何っ!? 何が起こったの!?」
揺れが収まると、すぐに本来の姿でイナリが飛び込んで来た。
「アニエス、無事か!?」
「え、えぇ。でも、今のは?」
「わからぬ。だが地震ではなく、魔力なども感知しなかった」
い、イナリがわからない……って、一体何事なのっ!?
ひとまず、揺れただけで何かが崩れたりした訳ではないから、調合器具や作ったポーションは無事だけど、念の為イナリに異空間収納へ格納してもらう事にした。
それから、コリンもやって来たんだけど……ロレッタさんが居ない!?
「あれ!? ロレッタさんは!?」
「……食事を終えてから魔力の動きを追っておったが、先程の揺れの前に部屋から出ているのだ」
「え……それは、どういう事なの!?」
イナリが知る由もないと言いたげに無言で首を振る。
だけど、このまま放っておく訳にもいかないので、探知魔法が使えるイナリに、ロレッタさんのところへ案内してもらう事にした。
「す、凄い。貴族のお屋敷みたいです」
教会に泊めてもらう事になり、ロレッタさんと一緒にお風呂へやってきた。
イスパナで一番大きな教会というだけあって、ゲスト用のお風呂があるんだけど、物凄く大きい上に、私たちしか居ない。
教会というだけあって、変な装飾品とかがゴテゴテしている訳ではなく、シンプルに広いお風呂だ。
これがトリスタン王子なら、よくわからない壺とか彫像とか、絶対に無意味な調度品を並べていると思う。
大きくても教会なので、そういう所がブレないのは良いんじゃないかな。
「ふぅ。こんなに大きなお風呂は初めてです」
「ですよねー! 思いっきり脚を伸ばせちゃいますね」
「ですが、大き過ぎるので、一人だと怖くなっちゃうかもですね。コリンさんは大丈夫でしょうか?」
あ、そっか。
ロレッタさんはコリンの年齢を知らないんだ。
獣人族なので見た目は幼いけど……って、勝手に私が言っちゃダメね。
ただ、もしもこれが逆だったら……とは思う。
今はロレッタさんが居るから良いけれど、大きなお風呂に一人って怖いのよね。実際、経験したし。
そんな事を考えていると、突然コリンの声が響き渡る。
「えっと、僕は子供じゃないから、大丈夫だよー!」
「えぇっ!? コリン!? 何処に居るのっ!?」
「隣のお風呂だよー! 屋根の近くに隙間があって、お姉ちゃんたちの声が聞こえてるんだー!」
「あ、そういう事? あはは、平気みたいで良かった」
ビックリしたー。
コリンはそういう事をする子じゃないから、間違えてこっちへ入って来ちゃったのかと思っちゃった。
ひとまず、コリンは平気そうなので、ロレッタさんとお話ししながらお風呂を済ませ、夕食までいただいて、それぞれの部屋へ。
一人一部屋が割り当てられ、子狐姿のイナリは、コリンのところに居る。
「さて……今日もポーション作りを頑張りますか」
予め、イナリの異空間収納から調薬に使う器具も材料も出してもらっているし、時間もたっぷりあるから、何を作ろうかな。
超級ポーションはいつも作っているから、それなりに数もあるし、こればっかり作っていると、すぐに材料となる薬草が無くなっちゃうんだよね。
「……よし、これからの私たちに必要そうな薬にしよう」
という訳で、暫く考えた結果、まずは上級ポーションを作る事にした。
何かで私たちが別行動をしている時に、私がいなくても怪我とかを治せた方が良いもんね。
だけど、神水で上級ポーションを作ると超級になってしまうので、中級ポーションの材料で作っていく。
十本くらい作り、そろそろ違うポーションを作ろうかなと思ったところで、突然部屋が揺れる。
「な、何っ!? 何が起こったの!?」
揺れが収まると、すぐに本来の姿でイナリが飛び込んで来た。
「アニエス、無事か!?」
「え、えぇ。でも、今のは?」
「わからぬ。だが地震ではなく、魔力なども感知しなかった」
い、イナリがわからない……って、一体何事なのっ!?
ひとまず、揺れただけで何かが崩れたりした訳ではないから、調合器具や作ったポーションは無事だけど、念の為イナリに異空間収納へ格納してもらう事にした。
それから、コリンもやって来たんだけど……ロレッタさんが居ない!?
「あれ!? ロレッタさんは!?」
「……食事を終えてから魔力の動きを追っておったが、先程の揺れの前に部屋から出ているのだ」
「え……それは、どういう事なの!?」
イナリが知る由もないと言いたげに無言で首を振る。
だけど、このまま放っておく訳にもいかないので、探知魔法が使えるイナリに、ロレッタさんのところへ案内してもらう事にした。
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