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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第251話 演技は苦手なアニエス
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私の後ろに怪しい奴が……っと、危ない。振り向いちゃダメなんだった。
「あれ? お姉ちゃん、どうしたの?」
「えっ!? な、何でもないのよ? ちょっと炎にビックリしちゃっただけだから」
コリンが不思議そうにしているけど、私とロレッタさんの対面に座っているコリンにイナリの話をしたら、絶対に視線を向けちゃうと思う。
ひとまず、イナリが見てくれているはずだから、私は極力自然に振舞わないと。
「お待たせ致しました」
店員さんが料理を運んで来てくれて、魚介料理がテーブルに並ぶと、コリンが早速食べ始め……美味しそうにしている。
私も自然に……自然にしなきゃ。
「こ、このエビ……お、美味しいわね」
「……あの、アニエスさん。それは付け合わせのポテトですよ?」
「あ、あれ? あはは……こ、こっちね。いただきまーす」
今度こそエビを口に運びながら、イナリに状況を教えて欲しいと目で訴え掛けると、私の意図を理解してくれたのか、念話で話し掛けてくる。
『断片的にしかわからぬが、どうやら奴らは、太陽の聖女に恨みを持っているようだな』
「えっ!? 太陽……こほん。た、太陽の恵みを沢山受けたのかしらね。このポテト……美味しい」
「お姉ちゃん。それは、貝だよ?」
イナリから太陽の聖女に――ビアンカさんに恨みを持っているなんて言葉を聞いたから、驚きのあまり、つい口から出てしまったけど、何とか誤魔化せたと思う。
……コリンからはちょっと心配そうな目を向けられているけど。
それから暫くは、コリンやロレッタさんからの話を上の空で聞きつつ、食事を続けていたんだけど……後ろの人たちが席を立つ音が聞こえた。
こっちの食事は……まだ少し残っているのをイナリが一気に食べきる。
「わっ! お腹が空いてたの?」
「えっと、魔物用のお肉を何処かで買った方が良いのでしょうか」
コリンとロレッタさんが戸惑っているけど、急いでお会計を……あぁぁぁ、後ろの人たちがお店を出ちゃうっ!
内心大慌ての私をよそに、後ろに居たと思われる黒いローブを来た二人組が、お店を出る前に私の顔を無言で覗いて行った。
今のは……何なの!?
「ありがとうございましたー!」
やっとお会計が済んで外へ出ると……人込みに紛れて二人の姿は見えなくなっていた。
「あれ? お姉ちゃん。イナリは?」
「えっ!? あれ!? まだお店の中……かな?」
コリンと一緒にお店へ戻ろうとして、イナリから念話で話し掛けられる。
『目の前の建物の上だ。先程の二人を目視と探知魔法の両方で追っていたのだが……路地に入った途端に我の探知魔法から反応が消えた。おそらく、何らかの阻害魔法か、マジックアイテムの類を使ったのであろう』
……って、イナリの探知魔法を無効化するって、どういう事?
そんな事が出来るの!?
何か嫌な予感を抱きつつ、私の反応に困惑しているロレッタさんとコリンに事情を説明する。
「……という訳で、後ろに居た人たちがビアンカさんたちの事を話していたから、ちょっと気になって様子を伺っていたのよ」
「あ! その人たちなら僕も見たよ! 黒いローブを着ていた人たちだよね?」
「えぇ、そうなの。お店を出ていく時に、私の事を見て来たのも気になるのよね」
「そうだ! お姉ちゃん、それならビアンカさんに会いに行くのはどう? お姉ちゃんやイナ……こほん。お姉ちゃんなら事情を話せば会える気がするよ!」
「……そうね。一度会えないか聞いてみましょうか」
ロレッタさんにも、私たちがビアンカさんと顔見知りである事を説明し、街の中心部へ行ってみる事にした。
「あれ? お姉ちゃん、どうしたの?」
「えっ!? な、何でもないのよ? ちょっと炎にビックリしちゃっただけだから」
コリンが不思議そうにしているけど、私とロレッタさんの対面に座っているコリンにイナリの話をしたら、絶対に視線を向けちゃうと思う。
ひとまず、イナリが見てくれているはずだから、私は極力自然に振舞わないと。
「お待たせ致しました」
店員さんが料理を運んで来てくれて、魚介料理がテーブルに並ぶと、コリンが早速食べ始め……美味しそうにしている。
私も自然に……自然にしなきゃ。
「こ、このエビ……お、美味しいわね」
「……あの、アニエスさん。それは付け合わせのポテトですよ?」
「あ、あれ? あはは……こ、こっちね。いただきまーす」
今度こそエビを口に運びながら、イナリに状況を教えて欲しいと目で訴え掛けると、私の意図を理解してくれたのか、念話で話し掛けてくる。
『断片的にしかわからぬが、どうやら奴らは、太陽の聖女に恨みを持っているようだな』
「えっ!? 太陽……こほん。た、太陽の恵みを沢山受けたのかしらね。このポテト……美味しい」
「お姉ちゃん。それは、貝だよ?」
イナリから太陽の聖女に――ビアンカさんに恨みを持っているなんて言葉を聞いたから、驚きのあまり、つい口から出てしまったけど、何とか誤魔化せたと思う。
……コリンからはちょっと心配そうな目を向けられているけど。
それから暫くは、コリンやロレッタさんからの話を上の空で聞きつつ、食事を続けていたんだけど……後ろの人たちが席を立つ音が聞こえた。
こっちの食事は……まだ少し残っているのをイナリが一気に食べきる。
「わっ! お腹が空いてたの?」
「えっと、魔物用のお肉を何処かで買った方が良いのでしょうか」
コリンとロレッタさんが戸惑っているけど、急いでお会計を……あぁぁぁ、後ろの人たちがお店を出ちゃうっ!
内心大慌ての私をよそに、後ろに居たと思われる黒いローブを来た二人組が、お店を出る前に私の顔を無言で覗いて行った。
今のは……何なの!?
「ありがとうございましたー!」
やっとお会計が済んで外へ出ると……人込みに紛れて二人の姿は見えなくなっていた。
「あれ? お姉ちゃん。イナリは?」
「えっ!? あれ!? まだお店の中……かな?」
コリンと一緒にお店へ戻ろうとして、イナリから念話で話し掛けられる。
『目の前の建物の上だ。先程の二人を目視と探知魔法の両方で追っていたのだが……路地に入った途端に我の探知魔法から反応が消えた。おそらく、何らかの阻害魔法か、マジックアイテムの類を使ったのであろう』
……って、イナリの探知魔法を無効化するって、どういう事?
そんな事が出来るの!?
何か嫌な予感を抱きつつ、私の反応に困惑しているロレッタさんとコリンに事情を説明する。
「……という訳で、後ろに居た人たちがビアンカさんたちの事を話していたから、ちょっと気になって様子を伺っていたのよ」
「あ! その人たちなら僕も見たよ! 黒いローブを着ていた人たちだよね?」
「えぇ、そうなの。お店を出ていく時に、私の事を見て来たのも気になるのよね」
「そうだ! お姉ちゃん、それならビアンカさんに会いに行くのはどう? お姉ちゃんやイナ……こほん。お姉ちゃんなら事情を話せば会える気がするよ!」
「……そうね。一度会えないか聞いてみましょうか」
ロレッタさんにも、私たちがビアンカさんと顔見知りである事を説明し、街の中心部へ行ってみる事にした。
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