73 / 128
第6章 太陽の聖女と星の聖女
第245話 冒険者ギルドで情報収集
しおりを挟む
ロレッタさんと子狐姿のイナリを連れて、冒険者ギルドへ。
受付にオリアンヌさんが居たので声を掛けてみる。
「こんにちはー」
「あら、初めて来られた……んん? あれ? アニエスかい?」
「えぇ。ちょっと聞きたい事があるんですけど」
「それは良いけど、アニエスは随分と思い切ったイメージチェンジだね。それはそれで、似合っているじゃないか」
オリアンヌさんが黒髪の私を見て少し戸惑っていたけど、ロレッタさんが心配していたような事はなく、いつも通りに対応してくれた。
チラっとロレッタさんの顔を見てみると、目が合い、小さく頷く。
ひとまず、フランセーズでは黒髪だからって奇異な目で見るような国ではないと分かってくれたみたいだ。
「で、アニエス。聞きたい事っていうのは?」
「えっと、トリスタン王子の事についてなんです。実は先日、鉄の国ゲーマでトリスタン王子に会ったのですが、その後フランセーズに戻って来ていたりするのかなって思って」
「なるほど。あのバカ王子はホントに……こほん。えっとね、冒険者ギルドではトリスタン王子を敵対人物と見做しているから、どこかの冒険者ギルドを利用したら、冒険者ギルドの本部に通報が行くようになっているんだ」
「そんな仕組みがあるんですね!」
「うん。冒険者ギルドは国を超えて、世界中繋がっているからねー」
言われてみれば、海の国タリアナや火の国アトロパテでも、同じ冒険者カードで通じるもんね。
こういうのは本当に凄いと思う。
「で、さっきの話に戻るけど、トリスタン王子がどこかのギルドを利用したっていう情報を、アニエスがどこのギルドでも照会出来るように手続きしておくから、定期的に聞いておくれよ」
「わ、私がそんな情報を得られるようになっても良いんですか?」
「もちろん。だって、あのトリスタン王子の一番の被害者がアニエスだからね」
まぁトリスタン王子には、本当にいろいろ迷惑を掛けられたもんね。
「ひとまず、現時点で何か情報が無いか見てみるよ。少し待ってて」
そう言って、オリアンヌさんが奥へと姿を消し……少しして戻って来た。
「アニエス。トリスタン王子のギルドの利用歴は無かったんだけど、目撃情報があるね」
「そ、そんな情報まで分かるんですか!?」
「トリスタン王子はね。フランセーズのギルド職員なら、皆顔を知っているし、さっき言ったギルドの敵対人物に指定されているからさ」
「なるほど。それで、いつ、どこで目撃されたんですか?」
「昨日の夕方頃に、南西のトローセっていう街で目撃されているね」
トローセという街の名を聞いて、思わずロレッタさんと顔を見合わせる。
やはりトリスタン王子はイスパナに向かった可能性が高い。
それも、昨日の夕方という話だったから、今は既にイスパナの中に居るかも。
「オリアンヌさん、ありがとうございます。ひとまず、私たちもトローセの街へ行ってみます」
「事情は分からないけど、トローセはイスパナとの国境の街だ。もしもイスパナに入ったら、トリスタン王子の顔を知っている職員は殆ど居ないだろうから、これ以上目撃情報が出てこないかも」
「わかりました。ですが、これだけでも十分参考になりました。ありがとうございます」
「アニエス。落ち着いたら、また来てね! アニエスに頼みたい仕事がいっぱいあるんだ! 農水路関連で」
農水路のお仕事はまた土の聖女って言われちゃうから、出来れば受けたくないんだけど、困っている人が居るなら……って、今はトリスタン王子を何とかしなきゃ!
改めてオリアンヌさんに礼を言い、冒険者ギルドを出てコリンと合流する事にした。
受付にオリアンヌさんが居たので声を掛けてみる。
「こんにちはー」
「あら、初めて来られた……んん? あれ? アニエスかい?」
「えぇ。ちょっと聞きたい事があるんですけど」
「それは良いけど、アニエスは随分と思い切ったイメージチェンジだね。それはそれで、似合っているじゃないか」
オリアンヌさんが黒髪の私を見て少し戸惑っていたけど、ロレッタさんが心配していたような事はなく、いつも通りに対応してくれた。
チラっとロレッタさんの顔を見てみると、目が合い、小さく頷く。
ひとまず、フランセーズでは黒髪だからって奇異な目で見るような国ではないと分かってくれたみたいだ。
「で、アニエス。聞きたい事っていうのは?」
「えっと、トリスタン王子の事についてなんです。実は先日、鉄の国ゲーマでトリスタン王子に会ったのですが、その後フランセーズに戻って来ていたりするのかなって思って」
「なるほど。あのバカ王子はホントに……こほん。えっとね、冒険者ギルドではトリスタン王子を敵対人物と見做しているから、どこかの冒険者ギルドを利用したら、冒険者ギルドの本部に通報が行くようになっているんだ」
「そんな仕組みがあるんですね!」
「うん。冒険者ギルドは国を超えて、世界中繋がっているからねー」
言われてみれば、海の国タリアナや火の国アトロパテでも、同じ冒険者カードで通じるもんね。
こういうのは本当に凄いと思う。
「で、さっきの話に戻るけど、トリスタン王子がどこかのギルドを利用したっていう情報を、アニエスがどこのギルドでも照会出来るように手続きしておくから、定期的に聞いておくれよ」
「わ、私がそんな情報を得られるようになっても良いんですか?」
「もちろん。だって、あのトリスタン王子の一番の被害者がアニエスだからね」
まぁトリスタン王子には、本当にいろいろ迷惑を掛けられたもんね。
「ひとまず、現時点で何か情報が無いか見てみるよ。少し待ってて」
そう言って、オリアンヌさんが奥へと姿を消し……少しして戻って来た。
「アニエス。トリスタン王子のギルドの利用歴は無かったんだけど、目撃情報があるね」
「そ、そんな情報まで分かるんですか!?」
「トリスタン王子はね。フランセーズのギルド職員なら、皆顔を知っているし、さっき言ったギルドの敵対人物に指定されているからさ」
「なるほど。それで、いつ、どこで目撃されたんですか?」
「昨日の夕方頃に、南西のトローセっていう街で目撃されているね」
トローセという街の名を聞いて、思わずロレッタさんと顔を見合わせる。
やはりトリスタン王子はイスパナに向かった可能性が高い。
それも、昨日の夕方という話だったから、今は既にイスパナの中に居るかも。
「オリアンヌさん、ありがとうございます。ひとまず、私たちもトローセの街へ行ってみます」
「事情は分からないけど、トローセはイスパナとの国境の街だ。もしもイスパナに入ったら、トリスタン王子の顔を知っている職員は殆ど居ないだろうから、これ以上目撃情報が出てこないかも」
「わかりました。ですが、これだけでも十分参考になりました。ありがとうございます」
「アニエス。落ち着いたら、また来てね! アニエスに頼みたい仕事がいっぱいあるんだ! 農水路関連で」
農水路のお仕事はまた土の聖女って言われちゃうから、出来れば受けたくないんだけど、困っている人が居るなら……って、今はトリスタン王子を何とかしなきゃ!
改めてオリアンヌさんに礼を言い、冒険者ギルドを出てコリンと合流する事にした。
64
お気に入りに追加
7,737
あなたにおすすめの小説
離縁してくださいと言ったら、大騒ぎになったのですが?
ネコ
恋愛
子爵令嬢レイラは北の領主グレアムと政略結婚をするも、彼が愛しているのは幼い頃から世話してきた従姉妹らしい。夫婦生活らしい交流すらなく、仕事と家事を押し付けられるばかり。ある日、従姉妹とグレアムの微妙な関係を目撃し、全てを諦める。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
無能と蔑まれた七男、前世は史上最強の魔法使いだった!?
青空一夏
ファンタジー
ケアニー辺境伯爵家の七男カイルは、生まれつき魔法を使えず、家族から蔑まれて育った。しかし、ある日彼の前世の記憶が蘇る――その正体は、かつて世界を支配した史上最強の大魔法使いアーサー。戸惑いながらも、カイルはアーサーの知識と力を身につけていき、次第に自らの道を切り拓く。
魔法を操れぬはずの少年が最強の魔法を駆使し、自分を信じてくれる商店街の仲間のために立ち上げる。やがてそれは貴族社会すら揺るがす存在へと成長していくのだった。こちらは無自覚モテモテの最強青年になっていく、ケアニー辺境伯爵家の七男カイルの物語。
※こちらは「異世界ファンタジー × ラブコメ」要素を兼ね備えた作品です。メインは「異世界ファンタジー」ですが、恋愛要素やコメディ要素も兼ねた「ラブコメ寄りの異世界ファンタジー」になっています。カイルは複数の女性にもてますが、主人公が最終的には選ぶのは一人の女性です。一夫多妻のようなハーレム系の結末ではありませんので、女性の方にも共感できる内容になっています。異世界ファンタジーで男性主人公なので男性向けとしましたが、男女関係なく楽しめる内容を心がけて書いていきたいです。よろしくお願いします。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
めでたく婚約破棄で教会を追放されたので、神聖魔法に続いて魔法学校で錬金魔法も極めます。……やっぱりバカ王子は要らない? 返品はお断りします!
向原 行人
ファンタジー
教会の代表ともいえる聖女ソフィア――つまり私は、第五王子から婚約破棄を言い渡され、教会から追放されてしまった。
話を聞くと、侍祭のシャルロットの事が好きになったからだとか。
シャルロット……よくやってくれたわ!
貴女は知らないかもしれないけれど、その王子は、一言で表すと……バカよ。
これで、王子や教会から解放されて、私は自由! 慰謝料として沢山お金を貰ったし、魔法学校で錬金魔法でも勉強しようかな。
聖女として神聖魔法を極めたし、錬金魔法もいけるでしょ!
……え? 王族になれると思ったから王子にアプローチしたけど、思っていた以上にバカだから無理? ふふっ、今更返品は出来ませーん!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。