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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第245話 冒険者ギルドで情報収集
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ロレッタさんと子狐姿のイナリを連れて、冒険者ギルドへ。
受付にオリアンヌさんが居たので声を掛けてみる。
「こんにちはー」
「あら、初めて来られた……んん? あれ? アニエスかい?」
「えぇ。ちょっと聞きたい事があるんですけど」
「それは良いけど、アニエスは随分と思い切ったイメージチェンジだね。それはそれで、似合っているじゃないか」
オリアンヌさんが黒髪の私を見て少し戸惑っていたけど、ロレッタさんが心配していたような事はなく、いつも通りに対応してくれた。
チラっとロレッタさんの顔を見てみると、目が合い、小さく頷く。
ひとまず、フランセーズでは黒髪だからって奇異な目で見るような国ではないと分かってくれたみたいだ。
「で、アニエス。聞きたい事っていうのは?」
「えっと、トリスタン王子の事についてなんです。実は先日、鉄の国ゲーマでトリスタン王子に会ったのですが、その後フランセーズに戻って来ていたりするのかなって思って」
「なるほど。あのバカ王子はホントに……こほん。えっとね、冒険者ギルドではトリスタン王子を敵対人物と見做しているから、どこかの冒険者ギルドを利用したら、冒険者ギルドの本部に通報が行くようになっているんだ」
「そんな仕組みがあるんですね!」
「うん。冒険者ギルドは国を超えて、世界中繋がっているからねー」
言われてみれば、海の国タリアナや火の国アトロパテでも、同じ冒険者カードで通じるもんね。
こういうのは本当に凄いと思う。
「で、さっきの話に戻るけど、トリスタン王子がどこかのギルドを利用したっていう情報を、アニエスがどこのギルドでも照会出来るように手続きしておくから、定期的に聞いておくれよ」
「わ、私がそんな情報を得られるようになっても良いんですか?」
「もちろん。だって、あのトリスタン王子の一番の被害者がアニエスだからね」
まぁトリスタン王子には、本当にいろいろ迷惑を掛けられたもんね。
「ひとまず、現時点で何か情報が無いか見てみるよ。少し待ってて」
そう言って、オリアンヌさんが奥へと姿を消し……少しして戻って来た。
「アニエス。トリスタン王子のギルドの利用歴は無かったんだけど、目撃情報があるね」
「そ、そんな情報まで分かるんですか!?」
「トリスタン王子はね。フランセーズのギルド職員なら、皆顔を知っているし、さっき言ったギルドの敵対人物に指定されているからさ」
「なるほど。それで、いつ、どこで目撃されたんですか?」
「昨日の夕方頃に、南西のトローセっていう街で目撃されているね」
トローセという街の名を聞いて、思わずロレッタさんと顔を見合わせる。
やはりトリスタン王子はイスパナに向かった可能性が高い。
それも、昨日の夕方という話だったから、今は既にイスパナの中に居るかも。
「オリアンヌさん、ありがとうございます。ひとまず、私たちもトローセの街へ行ってみます」
「事情は分からないけど、トローセはイスパナとの国境の街だ。もしもイスパナに入ったら、トリスタン王子の顔を知っている職員は殆ど居ないだろうから、これ以上目撃情報が出てこないかも」
「わかりました。ですが、これだけでも十分参考になりました。ありがとうございます」
「アニエス。落ち着いたら、また来てね! アニエスに頼みたい仕事がいっぱいあるんだ! 農水路関連で」
農水路のお仕事はまた土の聖女って言われちゃうから、出来れば受けたくないんだけど、困っている人が居るなら……って、今はトリスタン王子を何とかしなきゃ!
改めてオリアンヌさんに礼を言い、冒険者ギルドを出てコリンと合流する事にした。
受付にオリアンヌさんが居たので声を掛けてみる。
「こんにちはー」
「あら、初めて来られた……んん? あれ? アニエスかい?」
「えぇ。ちょっと聞きたい事があるんですけど」
「それは良いけど、アニエスは随分と思い切ったイメージチェンジだね。それはそれで、似合っているじゃないか」
オリアンヌさんが黒髪の私を見て少し戸惑っていたけど、ロレッタさんが心配していたような事はなく、いつも通りに対応してくれた。
チラっとロレッタさんの顔を見てみると、目が合い、小さく頷く。
ひとまず、フランセーズでは黒髪だからって奇異な目で見るような国ではないと分かってくれたみたいだ。
「で、アニエス。聞きたい事っていうのは?」
「えっと、トリスタン王子の事についてなんです。実は先日、鉄の国ゲーマでトリスタン王子に会ったのですが、その後フランセーズに戻って来ていたりするのかなって思って」
「なるほど。あのバカ王子はホントに……こほん。えっとね、冒険者ギルドではトリスタン王子を敵対人物と見做しているから、どこかの冒険者ギルドを利用したら、冒険者ギルドの本部に通報が行くようになっているんだ」
「そんな仕組みがあるんですね!」
「うん。冒険者ギルドは国を超えて、世界中繋がっているからねー」
言われてみれば、海の国タリアナや火の国アトロパテでも、同じ冒険者カードで通じるもんね。
こういうのは本当に凄いと思う。
「で、さっきの話に戻るけど、トリスタン王子がどこかのギルドを利用したっていう情報を、アニエスがどこのギルドでも照会出来るように手続きしておくから、定期的に聞いておくれよ」
「わ、私がそんな情報を得られるようになっても良いんですか?」
「もちろん。だって、あのトリスタン王子の一番の被害者がアニエスだからね」
まぁトリスタン王子には、本当にいろいろ迷惑を掛けられたもんね。
「ひとまず、現時点で何か情報が無いか見てみるよ。少し待ってて」
そう言って、オリアンヌさんが奥へと姿を消し……少しして戻って来た。
「アニエス。トリスタン王子のギルドの利用歴は無かったんだけど、目撃情報があるね」
「そ、そんな情報まで分かるんですか!?」
「トリスタン王子はね。フランセーズのギルド職員なら、皆顔を知っているし、さっき言ったギルドの敵対人物に指定されているからさ」
「なるほど。それで、いつ、どこで目撃されたんですか?」
「昨日の夕方頃に、南西のトローセっていう街で目撃されているね」
トローセという街の名を聞いて、思わずロレッタさんと顔を見合わせる。
やはりトリスタン王子はイスパナに向かった可能性が高い。
それも、昨日の夕方という話だったから、今は既にイスパナの中に居るかも。
「オリアンヌさん、ありがとうございます。ひとまず、私たちもトローセの街へ行ってみます」
「事情は分からないけど、トローセはイスパナとの国境の街だ。もしもイスパナに入ったら、トリスタン王子の顔を知っている職員は殆ど居ないだろうから、これ以上目撃情報が出てこないかも」
「わかりました。ですが、これだけでも十分参考になりました。ありがとうございます」
「アニエス。落ち着いたら、また来てね! アニエスに頼みたい仕事がいっぱいあるんだ! 農水路関連で」
農水路のお仕事はまた土の聖女って言われちゃうから、出来れば受けたくないんだけど、困っている人が居るなら……って、今はトリスタン王子を何とかしなきゃ!
改めてオリアンヌさんに礼を言い、冒険者ギルドを出てコリンと合流する事にした。
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