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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第244話 王都バーサイレス
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「さて、トリスタン王子を止める為に探さないといけないんだけど、まずはフランセーズ国内で聞いてみるのが良いんじゃないかしら」
「そうなんですか?」
「えぇ。一応、あの人がこの国の第三王子なのは本当なので、国内だと顔を知っているって人が居ると思うから」
私の言葉を聞いて、ロレッタさんが微妙な表情を浮かべるけど、まぁ気持ちは分からないでもない。
本当、どうしてあの人が王子なんだろうね。
普通の王族はもっと国民の事を考えて行動していそうなものなんだけど、あの人は自分の事しか考えていない感じだし。
「えっと、私はあまりフランセーズ国の地理に詳しくないのですが、この王都バーサイレスから南西に行くとなると、どこへ向かうと良いのでしょうか?」
「方角だけだと、ナンテスっていう街が海の傍にあって、あとは南南西になるけどイスパナとの国境の手前にトローセっていう大きな街があるかな」
「そうなんですね。では、フランセーズで聞き込みを行った後に、トローセへ行ってみるのが良い感じでしょうか?」
「んー、そうね。トローセで目撃情報がなければ、イスパナには向かっていないって事で、ナンテスに行ってみましょうか」
鉄の国ゲーマから見て南西なので、ここフランセーズに魔の剣と同等の物がある可能性もある。
なので、イスパナとは決めつずに、フランセーズでも聞き込みを行う。
「えっと、ロレッタさんはこの辺りに詳しくないでしょうし、私と一緒に行きましょう」
「わかりました」
「じゃあ、ボクは馬車の停留所の辺りに行って来るねー!」
そう言って、コリンが出て行ったので、ロレットさんとイナリを連れて、冒険者ギルドへ向かう事にした。
だけど、ソフィアさんの屋敷を出てすぐに、ロレッタさんがフードを目深に被る。
「ロレッタさん。それ、前……見えますか?」
「下の方は見えますので、歩けますよ?」
「えっと、そんなに深くフードを被らなくても、今日は日差しがそれほど強くないと思いますけど」
「いえ、そうではなくて、その……私は髪が黒いので」
ロレッタさんが、下を向きながらギュッとフードを握る。
どうやら黒髪を気にしているみたいだけど……別に髪の色で何かが変わる訳ではないのに。
「ロレッタさん、大丈夫です。私やコリンは勿論、フランセーズの人たちだって、髪色で人を判断したりしませんから」
「は、はい。そう……ですよね。トリスタン王子にも同じ事を言われ、ゲーマやタリアナではフードを被っていなかったのですが……」
「フランセーズでも被らなくて平気ですが、ロレッタさんが被っていた方が安心するというのであれば、無理強いは……あ、そうだ!」
ふと、ある薬の事を思い出し、ソフィアさんの家を出る前に一つだけ薬を作る事にした。
これはそんなに難しい薬ではないので、数分あればすぐに出来るだろう。
「アニエスさん。何を作られているのですか?」
「髪の毛の色を変える薬があるんです。と言っても、効果はそれ程長くはないんですけどね」
「あ……なるほど。それで、私の髪色を一時的に変えるんですね」
そう言ってロレッタさんがフードを外したけど、残念ながら私が薬を作っている目的はちょっと違う。
少しすると、塗るタイプのゲル状のプルプルした薬が出来上がる。
「それを髪に濡れば良いのですね?」
「えぇ。だけど、使うのはロレッタさんじゃなくて私だけどね」
「え? それはどういう……あ、アニエスさんっ!? 髪の毛がっ!」
作った薬を手に取り、髪の毛になじませていくと、私の髪の毛が青色から黒色に変わる。
「これなら、ロレッタさん一人じゃないでしょ?」
「は、はい」
「じゃあ、行きましょうか」
フードを外したロレッタさんと一緒に、冒険者ギルドへ向かう事にした。
「そうなんですか?」
「えぇ。一応、あの人がこの国の第三王子なのは本当なので、国内だと顔を知っているって人が居ると思うから」
私の言葉を聞いて、ロレッタさんが微妙な表情を浮かべるけど、まぁ気持ちは分からないでもない。
本当、どうしてあの人が王子なんだろうね。
普通の王族はもっと国民の事を考えて行動していそうなものなんだけど、あの人は自分の事しか考えていない感じだし。
「えっと、私はあまりフランセーズ国の地理に詳しくないのですが、この王都バーサイレスから南西に行くとなると、どこへ向かうと良いのでしょうか?」
「方角だけだと、ナンテスっていう街が海の傍にあって、あとは南南西になるけどイスパナとの国境の手前にトローセっていう大きな街があるかな」
「そうなんですね。では、フランセーズで聞き込みを行った後に、トローセへ行ってみるのが良い感じでしょうか?」
「んー、そうね。トローセで目撃情報がなければ、イスパナには向かっていないって事で、ナンテスに行ってみましょうか」
鉄の国ゲーマから見て南西なので、ここフランセーズに魔の剣と同等の物がある可能性もある。
なので、イスパナとは決めつずに、フランセーズでも聞き込みを行う。
「えっと、ロレッタさんはこの辺りに詳しくないでしょうし、私と一緒に行きましょう」
「わかりました」
「じゃあ、ボクは馬車の停留所の辺りに行って来るねー!」
そう言って、コリンが出て行ったので、ロレットさんとイナリを連れて、冒険者ギルドへ向かう事にした。
だけど、ソフィアさんの屋敷を出てすぐに、ロレッタさんがフードを目深に被る。
「ロレッタさん。それ、前……見えますか?」
「下の方は見えますので、歩けますよ?」
「えっと、そんなに深くフードを被らなくても、今日は日差しがそれほど強くないと思いますけど」
「いえ、そうではなくて、その……私は髪が黒いので」
ロレッタさんが、下を向きながらギュッとフードを握る。
どうやら黒髪を気にしているみたいだけど……別に髪の色で何かが変わる訳ではないのに。
「ロレッタさん、大丈夫です。私やコリンは勿論、フランセーズの人たちだって、髪色で人を判断したりしませんから」
「は、はい。そう……ですよね。トリスタン王子にも同じ事を言われ、ゲーマやタリアナではフードを被っていなかったのですが……」
「フランセーズでも被らなくて平気ですが、ロレッタさんが被っていた方が安心するというのであれば、無理強いは……あ、そうだ!」
ふと、ある薬の事を思い出し、ソフィアさんの家を出る前に一つだけ薬を作る事にした。
これはそんなに難しい薬ではないので、数分あればすぐに出来るだろう。
「アニエスさん。何を作られているのですか?」
「髪の毛の色を変える薬があるんです。と言っても、効果はそれ程長くはないんですけどね」
「あ……なるほど。それで、私の髪色を一時的に変えるんですね」
そう言ってロレッタさんがフードを外したけど、残念ながら私が薬を作っている目的はちょっと違う。
少しすると、塗るタイプのゲル状のプルプルした薬が出来上がる。
「それを髪に濡れば良いのですね?」
「えぇ。だけど、使うのはロレッタさんじゃなくて私だけどね」
「え? それはどういう……あ、アニエスさんっ!? 髪の毛がっ!」
作った薬を手に取り、髪の毛になじませていくと、私の髪の毛が青色から黒色に変わる。
「これなら、ロレッタさん一人じゃないでしょ?」
「は、はい」
「じゃあ、行きましょうか」
フードを外したロレッタさんと一緒に、冒険者ギルドへ向かう事にした。
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