65 / 122
第6章 太陽の聖女と星の聖女
第237話 ロレッタさんのお願い?
しおりを挟む
翌朝。
昨日はロレッタさんが居て少し驚いたけど、薬師の試験に向けて、夕食の後にしっかりおさらいをしておいた。
そして、いよいよ今日……試験を受ける事になる。
冒険者ギルドは試験を受けなくても登録できるから、何気に子供の頃以来かも。
まぁ薬師ギルドも、普通にE級から登録すれば、試験とかは無いと思うんだけどね。
そんな事を考えながら朝食を作り、みんなで食べていると、突然ロレッタさんが真剣な表情で私を見つめてくる。
「アニエスさん! すみません。折り入って、お願いがあります!」
「あ、わかりましたー! ちょっと待ってくださいね……はい、どうぞ」
ロレッタさんの器にスープを注ぐと、どういう訳か不思議そうな表情を浮かべられてしまった。
「……あの。これは?」
「あ、すみません。おかわりが足りなかったですか?」
「お姉ちゃん! ボクもおかわりー! このコーンのポタージュ、美味しいねー!」
ロレッタさんに便乗してコリンもポタージュをおかわりすると、子狐型のイナリも便乗する。
『我は肉が欲しいのだ』
とりあえずイナリは野菜も食べないとダメなので、レタスも一緒にお皿へ乗せると、上がっていた尻尾が床に落ち……でも、ちゃんとレタスも一緒に食べていた。
「あの、アニエスさん。私はおかわりの話ではないんです」
「あ、すみません。お茶でしたか」
「いえ、ご飯の話ではなくて……アニエスさんは、これからどちらへ向かわれるのでしょうか」
「私ですか? 今日はこれから薬師ギルドの試験を受けに行くんです」
「え!? 試験!?」
「はい。この家の持ち主のソフィアさん……S級薬師の方に、受けるように言われて、これまで勉強もしてきたので」
質問に答えると、ロレッタさんが申し訳なさそうな表情を浮かべ、慌てて頭を下げる。
「そ、そんな大切な時に来てしまい、すみません」
「いえ、大丈夫ですよ。それに、私が試験を受けるなんて、知らなくて当然ですし」
「えっと、試験が終わるまで待っておりますので、改めて先程のお願いについてお話しさせていただけないでしょうか」
そう言って、ロレッタさんが真っすぐに私の目を見つめてくる。
うーん。ロレッタさんのお願いって何だろう。
この家に住まわせて欲しいっていうお願いだと、私に判断出来ないから、ソフィアさんに聞かないと……でも、ずっと空き家にしておくよりかは、ロレッタさんに住んでもらった方が良い気もする。
とりあえず、試験が終わるまで待ってくれるみたいだし、後で話を聞いて、内容によってはソフィアさんに手紙を出せば良いかな。
「わかりました。では、試験が終わるまで待っていてくれますか? それくらいなら、この家を使っていただいても大丈夫だと思いますし」
「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて待たせていただきますね」
再び頭を下げるロレッタさんへ気にしないようにと話し、私はギルドへ行く準備をする。
「コリンはどうする? 一緒に来ても、待つだけだと思うけど」
「うーん。じゃあ、ボクは冒険者ギルドで情報収集しておこうかな」
『なるほど。そういう事であれば、我もコリンと一緒に行こう』
という訳で、いよいよ薬師試験の受験となった。
昨日はロレッタさんが居て少し驚いたけど、薬師の試験に向けて、夕食の後にしっかりおさらいをしておいた。
そして、いよいよ今日……試験を受ける事になる。
冒険者ギルドは試験を受けなくても登録できるから、何気に子供の頃以来かも。
まぁ薬師ギルドも、普通にE級から登録すれば、試験とかは無いと思うんだけどね。
そんな事を考えながら朝食を作り、みんなで食べていると、突然ロレッタさんが真剣な表情で私を見つめてくる。
「アニエスさん! すみません。折り入って、お願いがあります!」
「あ、わかりましたー! ちょっと待ってくださいね……はい、どうぞ」
ロレッタさんの器にスープを注ぐと、どういう訳か不思議そうな表情を浮かべられてしまった。
「……あの。これは?」
「あ、すみません。おかわりが足りなかったですか?」
「お姉ちゃん! ボクもおかわりー! このコーンのポタージュ、美味しいねー!」
ロレッタさんに便乗してコリンもポタージュをおかわりすると、子狐型のイナリも便乗する。
『我は肉が欲しいのだ』
とりあえずイナリは野菜も食べないとダメなので、レタスも一緒にお皿へ乗せると、上がっていた尻尾が床に落ち……でも、ちゃんとレタスも一緒に食べていた。
「あの、アニエスさん。私はおかわりの話ではないんです」
「あ、すみません。お茶でしたか」
「いえ、ご飯の話ではなくて……アニエスさんは、これからどちらへ向かわれるのでしょうか」
「私ですか? 今日はこれから薬師ギルドの試験を受けに行くんです」
「え!? 試験!?」
「はい。この家の持ち主のソフィアさん……S級薬師の方に、受けるように言われて、これまで勉強もしてきたので」
質問に答えると、ロレッタさんが申し訳なさそうな表情を浮かべ、慌てて頭を下げる。
「そ、そんな大切な時に来てしまい、すみません」
「いえ、大丈夫ですよ。それに、私が試験を受けるなんて、知らなくて当然ですし」
「えっと、試験が終わるまで待っておりますので、改めて先程のお願いについてお話しさせていただけないでしょうか」
そう言って、ロレッタさんが真っすぐに私の目を見つめてくる。
うーん。ロレッタさんのお願いって何だろう。
この家に住まわせて欲しいっていうお願いだと、私に判断出来ないから、ソフィアさんに聞かないと……でも、ずっと空き家にしておくよりかは、ロレッタさんに住んでもらった方が良い気もする。
とりあえず、試験が終わるまで待ってくれるみたいだし、後で話を聞いて、内容によってはソフィアさんに手紙を出せば良いかな。
「わかりました。では、試験が終わるまで待っていてくれますか? それくらいなら、この家を使っていただいても大丈夫だと思いますし」
「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて待たせていただきますね」
再び頭を下げるロレッタさんへ気にしないようにと話し、私はギルドへ行く準備をする。
「コリンはどうする? 一緒に来ても、待つだけだと思うけど」
「うーん。じゃあ、ボクは冒険者ギルドで情報収集しておこうかな」
『なるほど。そういう事であれば、我もコリンと一緒に行こう』
という訳で、いよいよ薬師試験の受験となった。
59
お気に入りに追加
7,744
あなたにおすすめの小説
【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?
西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね?
7話完結のショートストーリー。
1日1話。1週間で完結する予定です。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな
しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく
しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ
おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。