81 / 86
第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女
挿話21 夜行性のバステトさん
しおりを挟む
「ねー、おかあさん。いいでしょー?」
「ま、待つのじゃ。そう、何度もセシリアの所へ行くのは迷惑を掛けてしまうのじゃ」
「やだー! おねーちゃんと、あそぶのー!」
うぅ……セシリアのおかげで、マヘスが空腹を訴える事はなくなったのじゃが、毎晩泊まりに行きたいと言う。
もう少し……もう少し、母の事を好きで居て欲しいのじゃ。
いや、マヘスはまだまだ子供。恋人よりも母親を大切にする時期で、親離れをするのはまだ先のはず。
先……であろう? というか、先であって欲しいのじゃ! 母は寂しいのじゃ!
「ねー、おかあさんってばー!」
「ダメなものはダメなのじゃ!」
「……」
あぁぁぁっ! つい感情的になってしまい、マヘスが拗ねてしまった!
し、しかし、母親として言うべき事はしっかり言わなければ。
そう、これはイヤイヤ期……イヤイヤ期なのじゃ。
拗ねてしまったマヘスは暫くそっとしておく事にして、セシリアが考えてくれた石焼の方法で、ガレットという料理を作る。
ふふふ……密かに、めちゃくちゃ練習したのじゃ。
失敗した分も全部食べたから、若干太って……げふんげふん。
だが、練習した分だけ確実に料理が上手くなったのじゃ!
「マヘスー。晩御飯が出来たのじゃー。美味しいガレットを作ったのじゃ」
む? やはり強く言い過ぎたか?
マヘスが返事をしないのじゃ。
「マーヘスー! 美味しいご飯を食べて機嫌を直すのじゃ……っ!? ま、マヘス!? マヘスっ!? ……マヘスが居ないっ!?」
ど、どういう事なのじゃ!?
……ま、まさか一人でセシリアの所へ行ったのか!?
ひ、昼間ならまだしも、夜は魔物が出るのじゃ!
我にとっては大した事ないが、マヘスでは……マヘスっ! マヘスーっ!
大急ぎで棲家を出ると、セシリアの家の方角へ向かって走る。
「マヘスっ! マヘスーっ!」
ま、待つのじゃ。よく考えたら、マヘスは一人でセシリアの家に行けるのか?
道を間違え、反対方向へ行ったりしていないだろうか。
仮にマヘスが正しい方向へ進んで無事に着いた場合、きっとセシリアが保護してくれるのじゃ。
だが一方で、明後日の方向へ進んでしまっていた場合、誰にも保護されないのじゃ。
「こ、これはマズいのじゃ! マヘスーっ!」
もしかしたら、拗ねて近くに隠れているだけかもしれないし、まずは棲家の周囲を探す事に。
だが、マヘスは見当たらない。
どうしよう。
「そうじゃ! セマルグルじゃ! 奴に空から探してもらえば……って、あやつは鳥目! 暗いところでは何も見えぬと言っておったのじゃっ!」
捜索範囲を少しずつ広げていると、巨大なアリの魔物が居たが、今は無視して……待つのじゃ。
もしもマヘスが魔物と遭遇したら……とりあえず、倒しておくのじゃ!
魔物に遭遇したら、とりあえず倒す事にして、少しずつ範囲を広げ……見つかるのは魔物ばかりで、肝心のマヘスは見当たらない。
「い、一旦セシリアの所へ行ってみるのじゃ。もしかしたら、マヘスが無事に着いているかもしれぬのじゃ」
一縷の望みを賭け、セシリアの家へ向かうと、遠くから弓矢や魔法でセシリアの家を攻撃している集団が居た。
弓矢を使うあたり、魔物ではないだろう。
だが、セシリアの家は結界のような物で護られているようで、一切攻撃は届いていないが。
「とはいえ、マヘスが居るかもしれんのじゃ。許さぬ!」
何者かは知らぬが、とりあえず全部纏めて蹴り倒しておいた。
まったく……マヘスの捜索で忙しくなければ、死の川へ全員投げ込んで居るところなのじゃ。
っと、こんな奴らよりも、マヘスを……マヘスーっ!
「ま、待つのじゃ。そう、何度もセシリアの所へ行くのは迷惑を掛けてしまうのじゃ」
「やだー! おねーちゃんと、あそぶのー!」
うぅ……セシリアのおかげで、マヘスが空腹を訴える事はなくなったのじゃが、毎晩泊まりに行きたいと言う。
もう少し……もう少し、母の事を好きで居て欲しいのじゃ。
いや、マヘスはまだまだ子供。恋人よりも母親を大切にする時期で、親離れをするのはまだ先のはず。
先……であろう? というか、先であって欲しいのじゃ! 母は寂しいのじゃ!
「ねー、おかあさんってばー!」
「ダメなものはダメなのじゃ!」
「……」
あぁぁぁっ! つい感情的になってしまい、マヘスが拗ねてしまった!
し、しかし、母親として言うべき事はしっかり言わなければ。
そう、これはイヤイヤ期……イヤイヤ期なのじゃ。
拗ねてしまったマヘスは暫くそっとしておく事にして、セシリアが考えてくれた石焼の方法で、ガレットという料理を作る。
ふふふ……密かに、めちゃくちゃ練習したのじゃ。
失敗した分も全部食べたから、若干太って……げふんげふん。
だが、練習した分だけ確実に料理が上手くなったのじゃ!
「マヘスー。晩御飯が出来たのじゃー。美味しいガレットを作ったのじゃ」
む? やはり強く言い過ぎたか?
マヘスが返事をしないのじゃ。
「マーヘスー! 美味しいご飯を食べて機嫌を直すのじゃ……っ!? ま、マヘス!? マヘスっ!? ……マヘスが居ないっ!?」
ど、どういう事なのじゃ!?
……ま、まさか一人でセシリアの所へ行ったのか!?
ひ、昼間ならまだしも、夜は魔物が出るのじゃ!
我にとっては大した事ないが、マヘスでは……マヘスっ! マヘスーっ!
大急ぎで棲家を出ると、セシリアの家の方角へ向かって走る。
「マヘスっ! マヘスーっ!」
ま、待つのじゃ。よく考えたら、マヘスは一人でセシリアの家に行けるのか?
道を間違え、反対方向へ行ったりしていないだろうか。
仮にマヘスが正しい方向へ進んで無事に着いた場合、きっとセシリアが保護してくれるのじゃ。
だが一方で、明後日の方向へ進んでしまっていた場合、誰にも保護されないのじゃ。
「こ、これはマズいのじゃ! マヘスーっ!」
もしかしたら、拗ねて近くに隠れているだけかもしれないし、まずは棲家の周囲を探す事に。
だが、マヘスは見当たらない。
どうしよう。
「そうじゃ! セマルグルじゃ! 奴に空から探してもらえば……って、あやつは鳥目! 暗いところでは何も見えぬと言っておったのじゃっ!」
捜索範囲を少しずつ広げていると、巨大なアリの魔物が居たが、今は無視して……待つのじゃ。
もしもマヘスが魔物と遭遇したら……とりあえず、倒しておくのじゃ!
魔物に遭遇したら、とりあえず倒す事にして、少しずつ範囲を広げ……見つかるのは魔物ばかりで、肝心のマヘスは見当たらない。
「い、一旦セシリアの所へ行ってみるのじゃ。もしかしたら、マヘスが無事に着いているかもしれぬのじゃ」
一縷の望みを賭け、セシリアの家へ向かうと、遠くから弓矢や魔法でセシリアの家を攻撃している集団が居た。
弓矢を使うあたり、魔物ではないだろう。
だが、セシリアの家は結界のような物で護られているようで、一切攻撃は届いていないが。
「とはいえ、マヘスが居るかもしれんのじゃ。許さぬ!」
何者かは知らぬが、とりあえず全部纏めて蹴り倒しておいた。
まったく……マヘスの捜索で忙しくなければ、死の川へ全員投げ込んで居るところなのじゃ。
っと、こんな奴らよりも、マヘスを……マヘスーっ!
45
お気に入りに追加
4,158
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので無双はじめたら、元仲間が落ちぶれていきました〜
里海慧
ファンタジー
「カイト、お前さぁ、もういらないわ」
魔力がほぼない最低ランクの最弱ハンターと罵られ、パーティーから追放されてしまったカイト。
実は、唯一使えた魔法で伝説の魔獣王リュカオンと融合していた。カイトの実力はSSSランクだったが、魔獣王と融合してると言っても信じてもらえなくて、サポートに徹していたのだ。
追放の際のあまりにもひどい仕打ちに吹っ切れたカイトは、これからは誰にも何も奪われないように、最強のハンターになると決意する。
魔獣を討伐しまくり、様々な人たちから認められていくカイト。
途中で追放されたり、裏切られたり、そんな同じ境遇の者が仲間になって、ハンターライフをより満喫していた。
一方、カイトを追放したミリオンたちは、Sランクパーティーの座からあっという間に転げ落ちていき、最後には盛大に自滅してゆくのだった。
※ヒロインの登場は遅めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる