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第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女

第50話 バステトさんの調理方法

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 みんなで真っ黒に焦げた枝を見つめていると、何かを閃いたらしいセマルグルさんが口を開く。

「うむ。焼くのは諦め、これでお湯を沸かせば良いのではないか? 大量の水を用意すれば、一瞬で蒸発したりはしないであろう」
「す、凄い量の水が要りそうな気がするのは私だけかな?」
「ダメか……うぅむ」
「ダメって訳ではないんだけど……今のセマルグルさんので思い付いたんだけど、こんなのはどうかしら?」

 先程バステトさんが光を落とした? 場所へ、大きめの平らな石を生み出すと、この石に向かって先程の光を当ててもらう事に。

「ふむ。では、やってみるのじゃ。セシリアよ、離れるのじゃ」

 バステトさんから離れると、白い光が降り注ぎ……大きな石だからか、特に変化はない。
 だけど、この石の上に少し油を垂らし、コーンを乗せると、良い感じに火が通っていく。

「うん。良いんじゃないかな? 熱した石でも焼けるわよ」
「ほほぉ。そのような事が出来るのか。石に触れないように気を付ければ良い訳じゃな?」
「えぇ。火傷に気を付けて……これを使うと良いかも」

 早速BBQとかで使いそうなステンレス製のトング作り出し、バステトさんにプレゼントする。

「おぉ、これは……使い易いのじゃ! セシリアよ、改めて礼を言うのじゃ」
「いえいえ。マヘス君に美味しいご飯を作ってあげてください」
「うむ。頑張るのじゃ!」

 これで今度こそ一件落着かなと思ったら、

「おねーちゃん。おさかなって、ほかには、どんなりょーりがあるのー?」
「そうねー。ムニエルとか、蒸したり、揚げたりも出来るわねー。他の調味料があれば、煮込んだりも出来るんだけどねー」
「ちょーみりょー?」
「えぇ。基本的なのは、砂糖、塩、お酢、醤油にお味噌とかかな。あとは、みりんに料理酒とか……」

 今のところ、塩や胡椒はあるんだけど……醤油やお味噌があったら、作れる料理の幅が広がるんだけどねー。

「セシリア。お酢とは何なのじゃ? その醤油やお味噌というのも聞いた事がないのじゃ」
「醤油や味噌は大豆から作る調味料なんだけど、お酢はビネガーって言えばわかるかな?」
「おぉ、ビネガーなら聞いた事があるのじゃ。前に鬼人族の者たちが、そんな話をしているのが聞こえてきた事があるのじゃ」
「なるほど。じゃあデュークさんに聞いてみようかな」

 お酢だけでも作れる料理が格段に増えるもんねー。
 それに何より、アレが作れる。
 アレが手に入ったら、いろんなものの味が変わるよね。

「ありがとう! じゃあ、明日にでもデュークさんの所へ聞きに行かなきゃ」
「喜んでもらえて何よりなのじゃ。という訳でマヘスよ。料理も出来るようになったし、帰るのじゃ」
「えー! やだー! おねーちゃんといっしょがいいー!」

 えーっと、男の子の姿のマヘス君が、抱きついて離れてくれないんだけど。
 私よりお母さんの方が良いと思うよ?
 というか、バステトさんが悲しそうにしているからね?
 そんな事を思ったところで、私のお腹がくぅっと鳴る。
 よく考えたら、バステトさんと一緒に魚を焼いただけで、晩御飯がまだだったわね。

「よろしければ、夕食を食べていかれますか? 私たちも今から食事ですし」
「む……すまないのじゃ。マヘスよ。セシリアたちの夕食が終わったら帰るのじゃぞ?」
「はーい!」

 ご飯を作ると言ったら、マヘス君が離れてくれたけど……よく見たら、小さな手で私のスカートを握っていた。
 物凄く気に入られたみたいだけど、バステトさんの視線が……と、とりあえずマヘス君――というか、子供が好きそうなご飯にしようかな。
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