65 / 86
第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女
第50話 バステトさんの調理方法
しおりを挟む
みんなで真っ黒に焦げた枝を見つめていると、何かを閃いたらしいセマルグルさんが口を開く。
「うむ。焼くのは諦め、これでお湯を沸かせば良いのではないか? 大量の水を用意すれば、一瞬で蒸発したりはしないであろう」
「す、凄い量の水が要りそうな気がするのは私だけかな?」
「ダメか……うぅむ」
「ダメって訳ではないんだけど……今のセマルグルさんので思い付いたんだけど、こんなのはどうかしら?」
先程バステトさんが光を落とした? 場所へ、大きめの平らな石を生み出すと、この石に向かって先程の光を当ててもらう事に。
「ふむ。では、やってみるのじゃ。セシリアよ、離れるのじゃ」
バステトさんから離れると、白い光が降り注ぎ……大きな石だからか、特に変化はない。
だけど、この石の上に少し油を垂らし、コーンを乗せると、良い感じに火が通っていく。
「うん。良いんじゃないかな? 熱した石でも焼けるわよ」
「ほほぉ。そのような事が出来るのか。石に触れないように気を付ければ良い訳じゃな?」
「えぇ。火傷に気を付けて……これを使うと良いかも」
早速BBQとかで使いそうなステンレス製のトング作り出し、バステトさんにプレゼントする。
「おぉ、これは……使い易いのじゃ! セシリアよ、改めて礼を言うのじゃ」
「いえいえ。マヘス君に美味しいご飯を作ってあげてください」
「うむ。頑張るのじゃ!」
これで今度こそ一件落着かなと思ったら、
「おねーちゃん。おさかなって、ほかには、どんなりょーりがあるのー?」
「そうねー。ムニエルとか、蒸したり、揚げたりも出来るわねー。他の調味料があれば、煮込んだりも出来るんだけどねー」
「ちょーみりょー?」
「えぇ。基本的なのは、砂糖、塩、お酢、醤油にお味噌とかかな。あとは、みりんに料理酒とか……」
今のところ、塩や胡椒はあるんだけど……醤油やお味噌があったら、作れる料理の幅が広がるんだけどねー。
「セシリア。お酢とは何なのじゃ? その醤油やお味噌というのも聞いた事がないのじゃ」
「醤油や味噌は大豆から作る調味料なんだけど、お酢はビネガーって言えばわかるかな?」
「おぉ、ビネガーなら聞いた事があるのじゃ。前に鬼人族の者たちが、そんな話をしているのが聞こえてきた事があるのじゃ」
「なるほど。じゃあデュークさんに聞いてみようかな」
お酢だけでも作れる料理が格段に増えるもんねー。
それに何より、アレが作れる。
アレが手に入ったら、いろんなものの味が変わるよね。
「ありがとう! じゃあ、明日にでもデュークさんの所へ聞きに行かなきゃ」
「喜んでもらえて何よりなのじゃ。という訳でマヘスよ。料理も出来るようになったし、帰るのじゃ」
「えー! やだー! おねーちゃんといっしょがいいー!」
えーっと、男の子の姿のマヘス君が、抱きついて離れてくれないんだけど。
私よりお母さんの方が良いと思うよ?
というか、バステトさんが悲しそうにしているからね?
そんな事を思ったところで、私のお腹がくぅっと鳴る。
よく考えたら、バステトさんと一緒に魚を焼いただけで、晩御飯がまだだったわね。
「よろしければ、夕食を食べていかれますか? 私たちも今から食事ですし」
「む……すまないのじゃ。マヘスよ。セシリアたちの夕食が終わったら帰るのじゃぞ?」
「はーい!」
ご飯を作ると言ったら、マヘス君が離れてくれたけど……よく見たら、小さな手で私のスカートを握っていた。
物凄く気に入られたみたいだけど、バステトさんの視線が……と、とりあえずマヘス君――というか、子供が好きそうなご飯にしようかな。
「うむ。焼くのは諦め、これでお湯を沸かせば良いのではないか? 大量の水を用意すれば、一瞬で蒸発したりはしないであろう」
「す、凄い量の水が要りそうな気がするのは私だけかな?」
「ダメか……うぅむ」
「ダメって訳ではないんだけど……今のセマルグルさんので思い付いたんだけど、こんなのはどうかしら?」
先程バステトさんが光を落とした? 場所へ、大きめの平らな石を生み出すと、この石に向かって先程の光を当ててもらう事に。
「ふむ。では、やってみるのじゃ。セシリアよ、離れるのじゃ」
バステトさんから離れると、白い光が降り注ぎ……大きな石だからか、特に変化はない。
だけど、この石の上に少し油を垂らし、コーンを乗せると、良い感じに火が通っていく。
「うん。良いんじゃないかな? 熱した石でも焼けるわよ」
「ほほぉ。そのような事が出来るのか。石に触れないように気を付ければ良い訳じゃな?」
「えぇ。火傷に気を付けて……これを使うと良いかも」
早速BBQとかで使いそうなステンレス製のトング作り出し、バステトさんにプレゼントする。
「おぉ、これは……使い易いのじゃ! セシリアよ、改めて礼を言うのじゃ」
「いえいえ。マヘス君に美味しいご飯を作ってあげてください」
「うむ。頑張るのじゃ!」
これで今度こそ一件落着かなと思ったら、
「おねーちゃん。おさかなって、ほかには、どんなりょーりがあるのー?」
「そうねー。ムニエルとか、蒸したり、揚げたりも出来るわねー。他の調味料があれば、煮込んだりも出来るんだけどねー」
「ちょーみりょー?」
「えぇ。基本的なのは、砂糖、塩、お酢、醤油にお味噌とかかな。あとは、みりんに料理酒とか……」
今のところ、塩や胡椒はあるんだけど……醤油やお味噌があったら、作れる料理の幅が広がるんだけどねー。
「セシリア。お酢とは何なのじゃ? その醤油やお味噌というのも聞いた事がないのじゃ」
「醤油や味噌は大豆から作る調味料なんだけど、お酢はビネガーって言えばわかるかな?」
「おぉ、ビネガーなら聞いた事があるのじゃ。前に鬼人族の者たちが、そんな話をしているのが聞こえてきた事があるのじゃ」
「なるほど。じゃあデュークさんに聞いてみようかな」
お酢だけでも作れる料理が格段に増えるもんねー。
それに何より、アレが作れる。
アレが手に入ったら、いろんなものの味が変わるよね。
「ありがとう! じゃあ、明日にでもデュークさんの所へ聞きに行かなきゃ」
「喜んでもらえて何よりなのじゃ。という訳でマヘスよ。料理も出来るようになったし、帰るのじゃ」
「えー! やだー! おねーちゃんといっしょがいいー!」
えーっと、男の子の姿のマヘス君が、抱きついて離れてくれないんだけど。
私よりお母さんの方が良いと思うよ?
というか、バステトさんが悲しそうにしているからね?
そんな事を思ったところで、私のお腹がくぅっと鳴る。
よく考えたら、バステトさんと一緒に魚を焼いただけで、晩御飯がまだだったわね。
「よろしければ、夕食を食べていかれますか? 私たちも今から食事ですし」
「む……すまないのじゃ。マヘスよ。セシリアたちの夕食が終わったら帰るのじゃぞ?」
「はーい!」
ご飯を作ると言ったら、マヘス君が離れてくれたけど……よく見たら、小さな手で私のスカートを握っていた。
物凄く気に入られたみたいだけど、バステトさんの視線が……と、とりあえずマヘス君――というか、子供が好きそうなご飯にしようかな。
46
お気に入りに追加
4,150
あなたにおすすめの小説
華都のローズマリー
みるくてぃー
ファンタジー
ひょんな事から前世の記憶が蘇った私、アリス・デュランタン。意地悪な義兄に『超』貧乏騎士爵家を追い出され、無一文の状態で妹と一緒に王都へ向かうが、そこは若い女性には厳しすぎる世界。一時は妹の為に身売りの覚悟をするも、気づけば何故か王都で人気のスィーツショップを経営することに。えっ、私この世界のお金の単位って全然わからないんですけど!?これは初めて見たお金が金貨の山だったという金銭感覚ゼロ、ハチャメチャ少女のラブ?コメディな物語。
新たなお仕事シリーズ第一弾、不定期掲載にて始めます!
精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた
アイイロモンペ
ファンタジー
2020.9.6.完結いたしました。
2020.9.28. 追補を入れました。
2021.4. 2. 追補を追加しました。
人が精霊と袂を分かった世界。
魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。
幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。
ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。
人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。
そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。
オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
聖獣がなつくのは私だけですよ?
新野乃花(大舟)
恋愛
3姉妹の3女であるエリッサは、生まれた時から不吉な存在だというレッテルを張られ、家族はもちろん周囲の人々からも冷たい扱いを受けていた。そんなある日の事、エリッサが消えることが自分たちの幸せにつながると信じてやまない彼女の家族は、エリッサに強引に家出を強いる形で、自分たちの手を汚すことなく彼女を追い出すことに成功する。…行く当てのないエリッサは死さえ覚悟し、誰も立ち入らない荒れ果てた大地に足を踏み入れる。死神に出会うことを覚悟していたエリッサだったものの、そんな彼女の前に現れたのは、絶大な力をその身に宿す聖獣だった…!
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。
遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる