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第1章 追放された土の聖女

第25話 発想の転換

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「んー、一体どうやっているんだろー?」
「セシリア、どうかしたの? 随分と悩んでいるみたいだけど」
「うん。ちょっとねー、上手くいかない所があってね」

 ヴォーロスとセマルグルさんの協力のおかげで、異世界で冷蔵庫がある。
 コンロやオーブンなんかもあって、扇風機とドライヤーがあるし、作ってないけど風の向きを逆にすれば掃除機も作れると思う。
 少しずつだけど、快適になりつつある我が家に、更なる便利さを求めて新しい家電製品を作ろうとしているんだけど……これが上手くいかないのよね。

「この大きな金属の箱? ……中に丸い金属の桶が入っているね」
「そうなの。洗濯機っていう道具を作ろうと思っていて、一番肝心な機能はまぁ及第点って感じだけど、出来たのよ」
「そうなんだ。でも、何か足りないの?」
「えぇ。そこの川から、水を吸い上げて、この中に水を入れたいんだけど、そこがね」

 扇風機でも使ったモーターと同じものを少し大きくして作り、歯車を組み合わせて良い感じの回転が出来る様にした。
 途中で排水出来る様にもして、すすぎが出来るようにもした。
 だけど、流石にポンプの構造なんて知らなくて、川から水を汲み上げる方法が分からないのよ。
 まぁ石鹸や洗剤が無いから、洗濯機だけ作っても効果は薄いかもしれないけど、今の手洗いよりは綺麗になりそうな気がするのよね。

「その中に水を入れるの? だったら僕が水を汲むよ?」
「いやいや、ヴォーロスにはお世話になりっぱなしだからダメよ。そんな事までさせられないのと、この水を汲み上げるのは、別の道具にも使いたい事があるから、何とか成功させたいのよね」
「なるほど。うーん。水は高い所から低い所には行くけど、その逆には進まないもんね」
「そうね。だからポンプを作って、下から上に水を運びたいんだけどね」

 んー、ポンプの代わりに水車とかだとどうかな?
 あれも、低い所から、高い所へ水を運ぶわよね?
 ……あ! 待って。水車って水を運ぶ以外にも、水力発電なんかに使えたりしないかな?
 大昔は、水車小屋で小麦粉を作っていたって何かで読んだ事がある気もするし。
 でも、発電しようとすると、大きな水車がいるし、この川は流れが緩やかだから無理か。
 ヴォーロスに雷魔法を使ってもらい過ぎだから、少し減らせるかとも思ったけど……暫くはお世話になりそうね。

「んー、そうだ! 穴を掘って、その洗濯機? を川の水より低い場所に設置すれば良いんじゃないかな?」
「それだと、今度は排水が……って、でもその考えはアリね! ……うん! いけるかも! それなら、この次に作ろうと思っている物にも、同じ方法で出来そうね!」

 ヴォーロスの予想外の言葉がヒントになり、先ずは洗濯機の上にステンレスの筒を生み出す。
 それを、鉄の支柱で支えて、川沿いに……上流に向かって行くように筒を伸ばしていく。
 そう、水は上から下に流れる訳だから、川を上って行けば、いつか洗濯機の位置よりも高い場所に着くはず!
 そこから水を採って、筒から洗濯機へ注げばポンプ無しに、洗濯機へ水を注げるはずよっ!

「ちょっとこの筒を伸ばして上流へ行ってくるわね」
「え? ま、待って。セシリアが行くなら僕も行くよー!」

 という訳で、洗濯機で使う水を採取する為、ヴォーロスと一緒に急遽川を遡って行く事にした。
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