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第1章 追放された土の聖女

第22話 心配性なセマルグルさん

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「という訳で、卵とベーコンをいただきましたーっ!」

 家に戻り、ヴォーロスやセマルグルさんに卵を見せ、何を作ろうかと考えていて、ふと気付く。
 あれ? セマルグルさんの様子が少し変な気がする。
 なんていうか、言いたい事があるけど、言おうかどうか迷っている的な……あっ! そ、そういう事だったのねっ!?

「セマルグルさん。ごめんなさい」
「むっ!? な、何の話だ!? その、あれだ。実はこっそり護っていたのは、我の気まぐれだから、気にする事は……」
「この卵。鶏の卵だから、共食いになっちゃいますよね!?」
「……セシリアよ。我の事を一体何だと思っておるのだ?」
「え? 鳥とライオンのモフモフ?」
「いや、モフモフで括られても……まぁ良い。我は鶏の卵どころか、鶏だって牛だって食べるからな。そんな事は気にしなくとも良いぞ」

 そうなんだ。
 でも、何か言い難そうな事がある感じだったんだけどなー。

「……って、さっき何か言いかけていませんでしたっけ? 護るとか気まぐれとかって」
「あー、その……だな。実は……」

 セマルグルさんが、物凄く困った様子で口を開き、鬼人族の帰り道に、私が襲われそうだったという話をしてくれた。
 そっかー。そんな事があったんだ。

「セマルグルさん。護ってくれて、ありがとう」
「いや、大した事はしておらぬから、本当に気にしなくて良いのだが……それよりも、セシリアは大丈夫なのか?」
「ん? 大丈夫って?」
「その、我が未然に防いだとはいえ、襲われかけたのだ。今後は、我やヴォーロスと一緒に移動するとか、何かしらの手を考えた方が良いのかと思ってな」

 うーん。護衛をしてくれるっていう事なのかな?
 けど、あんまり迷惑を掛けるのもねー。
 それぞれ、雷魔法と氷魔法を使ってもらっているし、私がお返し出来るのって料理やお菓子くらいだしね。

「えっと、ヴォーロスやセマルグルさんが一緒に居てくれると心強いし、ありがたいけど、出来る範囲で大丈夫だからね? 実は私、結構魔法が得意だから」
「いや、それは勿論知っておるが」
「うん。未知の野菜や果物を生やしまくっているし、いろんな道具を作り出しているからね。僕の雷魔法で、食べ物が焼けるなんて初めて知ったよ」

 未知の野菜や食べ物……こっちの世界の作物よりも、私の記憶にある日本の作物が出来ちゃうからね。
 あと、雷魔法の応用は、小学校の理科だけど……って、そうだ!

「すぐには無理だけど、ヴォーロスとセマルグルさんが協力してくれたら、その心配を解決出来るかも!」
「僕? セシリアの為なら、幾らでも協力するよー?」
「無論、我も協力するぞ。ただ、我らが村の中まで入ってしまうと、村人たちに恐れられてしまうがな」

 うーん。ヴォーロスもセマルグルさんも、モフモフで可愛いし、少しも怖くなんてないのに。

「とりあえず、村の中はさて置き、村の外までは絶対大丈夫よ」
「ふむ。ちなみに、どのような解決手段なのだ?」
「ふふっ、それはまだ内緒かな。作れそうな気はしているんだけど、その前に沢山実験しておかないといけない事があるし」
「そうか。まぁ我もヴォーロスも、セシリアに協力は惜しまぬぞ」
「うんっ! ありがとう! ……あ、そうだ! セマルグルさんは、今日私を守ってくれたんだよね?」
「う、うむ。まぁそうだが……」
「じゃあ、そのお礼と、さっき言った実験を両立出来る物があるから、これからそれを作ってみるわね!」

 セマルグルさんが何をする気なんだ? と、困惑しているけれど、いろいろと思い付いちゃったからね。
 先ずはその第一弾として、やってみよーっと!
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