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第1章 追放された土の聖女
挿話1 お花畑な第二王子ルーファス
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セシリアを王宮から追い出した翌日。
新たに聖女となったオリヴィアを自室に招いて王宮の事を説明していると、
「ルーファス! ……邪魔するぞ」
珍しい事に父が――国王が俺の部屋にやって来た。
父が最低限の護衛の者だけで自ら俺の部屋へ来るなんて、初めての事ではないだろうか。
「父上が自ら私の部屋へ足を運ばれるとは……一体、どうされたのですか?」
「うむ。お前に聞きたい事があってな。だがその前に……お前の横に居る、綺麗な御令嬢は誰なのだ?」
「父上には、この後紹介しに行くつもりでしたが、新たに聖女となったオリヴィアです」
「……新たに聖女となった? どういう事だ? お前たち、何か聞いているのか?」
父の傍に控えていた宮廷魔術師が静かに首を横に振るが、それも当然だろう。
一番最初に報告すべき父へ未だ報告していないのだから。
「ご挨拶が遅くなってしまい、申し訳ありません。私、スタンリー家の三女、オリヴィアと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「ほう、スタンリー公爵の……で、ルーファス。こちらの御令嬢が聖女になったとは、どういう意味だ?」
「はい。昨日、土の聖女であったセシリアが王宮から去って行った為、聖女が不在となりました。そのため、魔法の才能と容姿に優れたオリヴィア嬢に、新たな聖女になってもらおうと考えた次第です」
「……ワシはもちろん、お前たちも聞いていないと」
先程同様に、宮廷魔術師が首を横に振ったのを父が確認し、再びこちらへ顔を向けたので、
「父上。彼女は新たな聖女として、立派に務めを果たす事が出来ると考えております。そして、私の婚約者には、オリヴィアこそが相応しいと思っているのです」
オリヴィアの手を取りながら、父上に婚約を宣言する。
ふっ……決まったな。
オリヴィアは……おっと。事前に説明していなかったから驚かせてしまったのか、手を引っ込められてしまったが、きっと照れて居るのだろう。
俺の言葉を聞いた父が、無言で俺とオリヴィアを暫く見つめ、
「……オリヴィア嬢よ。我が愚息が迷惑を掛けて申し訳ない。一つ教えて欲しいのだが、オリヴィア嬢から聖女になりたいと言ったのか?」
馴れ初めを聞いてきた。
オリヴィアは父を相手に緊張しているのか、困惑しているので代わりに答えてあげようではないか。
「父上。オリヴィアには私から、声を掛けました。瞳の綺麗な君こそが、聖女と呼ばれるに相応しいと」
「お前には聞いていないのだが……まぁよい。ちなみに、オリヴィア嬢は何の属性の魔法が使えるのだ?」
「オリヴィアは、私と同じ火魔法が使えます。地味な土の聖女などではなく、これからは火の聖女として、派手に活躍してくれる事でしょう」
「……わかった。息子と話があるので、オリヴィア嬢も他の者も席を外してもらえるだろうか」
父の言葉でオリヴィアが俺の護衛の兵士たちが部屋を出ていくと、俺と父と宮廷魔術師の三人だけとなる。
確か、この宮廷魔術師は聖女の担当もしていたはずだから、オリヴィアの話をするには丁度良いな。
「ルーファス。お前は、聖女がどういう存在か分かっているのか?」
「国民を安心させる為の、平和の象徴でしょう。ですから容姿端麗で、見た目に派手な火魔法が使えるオリヴィアは、まさに聖女としてピッタリでしょう」
「お前は……つまり聖女の力は飾りだと思っているのだな?」
「もちろんです。毎日何をしているか良く分からなかった土の聖女など、居なくなった所で……」
「大馬鹿者っ! 聖女の力は本物だ! セシリア嬢の土魔法による作物の成長促進がなければ、この国の農作物は収穫量は一気に減るであろう。そうなれば、食料が無くなり、飢餓が発生し、国力は一気に低下するのだぞ!?」
「はっはっは。父上、御冗談を。セシリアが居ても居なくても、作物の収穫量に変化などありませんよ」
農作物など、種を撒いて適当に水をやっておけば勝手に育つものだろう。
父上がこんなにも心配症だったとは、知らなかったぞ。
「お前……では、セシリア嬢の具現化魔法はどうするのだ?」
「どう……とは?」
「セシリアは、毎日この国で使用する鉱物を毎日土魔法で生み出していたのだ。鉱山の無い我が国において、他国から輸入する以外に鉱物を得る方法など、他に無いのだが」
「父上。ですから、そんな冗談を……え? ほ、本当なのですか?」
「本当だ。何故、第二王子であるお前と土の聖女が婚約を結んでいたか分かったか? 土の聖女が他の国へ行ってしまっては困るからだ。先祖代々、第二王子や第三王子……場合によっては第一王子も聖女と結婚しておる」
「え!? しかし、セシリアは既に……」
「うるさい! 今すぐセシリア嬢を連れ戻して来い! 何が新たな聖女だ! 聖女の話は幼い頃から何度も学ばせているはずだ! セシリア嬢を連れ戻すまで、お前は王宮に戻れぬと思えっ!」
いや、セシリアは既に未開の地へ……う、嘘だろぉぉぉっ!
新たに聖女となったオリヴィアを自室に招いて王宮の事を説明していると、
「ルーファス! ……邪魔するぞ」
珍しい事に父が――国王が俺の部屋にやって来た。
父が最低限の護衛の者だけで自ら俺の部屋へ来るなんて、初めての事ではないだろうか。
「父上が自ら私の部屋へ足を運ばれるとは……一体、どうされたのですか?」
「うむ。お前に聞きたい事があってな。だがその前に……お前の横に居る、綺麗な御令嬢は誰なのだ?」
「父上には、この後紹介しに行くつもりでしたが、新たに聖女となったオリヴィアです」
「……新たに聖女となった? どういう事だ? お前たち、何か聞いているのか?」
父の傍に控えていた宮廷魔術師が静かに首を横に振るが、それも当然だろう。
一番最初に報告すべき父へ未だ報告していないのだから。
「ご挨拶が遅くなってしまい、申し訳ありません。私、スタンリー家の三女、オリヴィアと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「ほう、スタンリー公爵の……で、ルーファス。こちらの御令嬢が聖女になったとは、どういう意味だ?」
「はい。昨日、土の聖女であったセシリアが王宮から去って行った為、聖女が不在となりました。そのため、魔法の才能と容姿に優れたオリヴィア嬢に、新たな聖女になってもらおうと考えた次第です」
「……ワシはもちろん、お前たちも聞いていないと」
先程同様に、宮廷魔術師が首を横に振ったのを父が確認し、再びこちらへ顔を向けたので、
「父上。彼女は新たな聖女として、立派に務めを果たす事が出来ると考えております。そして、私の婚約者には、オリヴィアこそが相応しいと思っているのです」
オリヴィアの手を取りながら、父上に婚約を宣言する。
ふっ……決まったな。
オリヴィアは……おっと。事前に説明していなかったから驚かせてしまったのか、手を引っ込められてしまったが、きっと照れて居るのだろう。
俺の言葉を聞いた父が、無言で俺とオリヴィアを暫く見つめ、
「……オリヴィア嬢よ。我が愚息が迷惑を掛けて申し訳ない。一つ教えて欲しいのだが、オリヴィア嬢から聖女になりたいと言ったのか?」
馴れ初めを聞いてきた。
オリヴィアは父を相手に緊張しているのか、困惑しているので代わりに答えてあげようではないか。
「父上。オリヴィアには私から、声を掛けました。瞳の綺麗な君こそが、聖女と呼ばれるに相応しいと」
「お前には聞いていないのだが……まぁよい。ちなみに、オリヴィア嬢は何の属性の魔法が使えるのだ?」
「オリヴィアは、私と同じ火魔法が使えます。地味な土の聖女などではなく、これからは火の聖女として、派手に活躍してくれる事でしょう」
「……わかった。息子と話があるので、オリヴィア嬢も他の者も席を外してもらえるだろうか」
父の言葉でオリヴィアが俺の護衛の兵士たちが部屋を出ていくと、俺と父と宮廷魔術師の三人だけとなる。
確か、この宮廷魔術師は聖女の担当もしていたはずだから、オリヴィアの話をするには丁度良いな。
「ルーファス。お前は、聖女がどういう存在か分かっているのか?」
「国民を安心させる為の、平和の象徴でしょう。ですから容姿端麗で、見た目に派手な火魔法が使えるオリヴィアは、まさに聖女としてピッタリでしょう」
「お前は……つまり聖女の力は飾りだと思っているのだな?」
「もちろんです。毎日何をしているか良く分からなかった土の聖女など、居なくなった所で……」
「大馬鹿者っ! 聖女の力は本物だ! セシリア嬢の土魔法による作物の成長促進がなければ、この国の農作物は収穫量は一気に減るであろう。そうなれば、食料が無くなり、飢餓が発生し、国力は一気に低下するのだぞ!?」
「はっはっは。父上、御冗談を。セシリアが居ても居なくても、作物の収穫量に変化などありませんよ」
農作物など、種を撒いて適当に水をやっておけば勝手に育つものだろう。
父上がこんなにも心配症だったとは、知らなかったぞ。
「お前……では、セシリア嬢の具現化魔法はどうするのだ?」
「どう……とは?」
「セシリアは、毎日この国で使用する鉱物を毎日土魔法で生み出していたのだ。鉱山の無い我が国において、他国から輸入する以外に鉱物を得る方法など、他に無いのだが」
「父上。ですから、そんな冗談を……え? ほ、本当なのですか?」
「本当だ。何故、第二王子であるお前と土の聖女が婚約を結んでいたか分かったか? 土の聖女が他の国へ行ってしまっては困るからだ。先祖代々、第二王子や第三王子……場合によっては第一王子も聖女と結婚しておる」
「え!? しかし、セシリアは既に……」
「うるさい! 今すぐセシリア嬢を連れ戻して来い! 何が新たな聖女だ! 聖女の話は幼い頃から何度も学ばせているはずだ! セシリア嬢を連れ戻すまで、お前は王宮に戻れぬと思えっ!」
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