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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する
第43話 応用部門準決勝
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「アルフレッド! おめでとー!」
ステージに向かって叫んでいると、アルフレッドがこちらを向いて手を振る。
シェムハザ……アンタの分までしっかり応援してあげたわよ。
「ソフィア。次は君だ。控え室へ行こうか」
どうやら次は応用部門に変わるらしく、ヴィクトール先生が呼びに来た。
よく考えたら、準決勝が終わってすぐに決勝だと、休憩も出来ないもんね。
他の部門を進めて、その間に休憩するのか。
「ソフィアは準決勝の第二試合だ。まぁ普通にやればソフィアなら勝てるだろう」
「いえ、慢心はダメですよ。しっかり頑張ってきます」
「……相手が可哀想だよ」
控え室に着くと、応用部門の選手……というか、私の対戦相手が居るんだけど、ほとんどが女子生徒だ。
やっぱり男子生徒は実践部門に出場するのかな。
そんな事を考えていると、
「んっ!? アンタ……一年生だね? という事は、アンタが特例枠のシード選手なの?」
上級生が話しかけてきた。
「たぶん、そうですね。なので、次がまだ二回目で、どんな勝負なのか全然分からなくて」
「……言ってくれるね。アンタ……あのロレーヌ家のバカの女なんだろ? それで、無理矢理シード扱いにしてもらったくせに」
「ロレーヌ?」
「まぁだけど、そんな手が使えるのも、ここまでだ。全校生徒の前で恥を晒すといいさ」
んん? 確かに私は、男か女かと聞かれれば女だけど、バカの女って言われるのは、ちょっと頭にくる。
要はこの人も、アルフレッドみたいに(仮)って言いたいのよね?
ロレーヌっていうのも意味不明だし、絶対に勝つんだから!
「応用部門第一試合終了。それでは、第二試合に移ります」
「ふっ……アンタが恥をかく時間が来たよ。まぁせいぜい頑張りな」
何だかよく分からないけど、凄く嫌な感じだ。
ムカムカしながら、さっきの上級生の後について行くと、
「それでは、応用部門の第二試合を始めます。ルールは簡単。今から三分後に、ステージ上に魔法の雨を降らせます。ですので、ここにある物を自由に使い、雨に濡れないようにしてください。最も濡れた面積の少ない二人が決勝へ進みます。尚、応用部門全てに言えますが、攻撃魔法などによる、直接の妨害行為は禁止です」
見ればステージの中央に、布とか棒とか、色んな物が置かれている。
私を含めた四人の選手は、それを使って雨を防げば良いみたい。
さて、どうしようかな……と考えていると、先程の上級生が少しずつ中央に寄っていて、
「それでは、第二試合開始っ!」
「はっ……ボーッとしてるんじゃないよっ!」
猛ダッシュで物色を始めた。
それに続いて他の二人も走って行く。
なるほど。早い物勝ちだもんね。
まぁでも、残り物には福があるって言うし、私は残っているもので……って、あれ? 残っているのは、小さなハンカチ一枚!?
「あはははっ! 一人につき使える物は一つだなんてルールは無かっただろ? ずぶ濡れになりなっ!」
なるほど。確かにそんな事は言っていなかった。
私以外の三人は何かしら持っていて、それぞれ何かしらの加工をしている。
まぁでも、何とかなるけどね。
「時間です。コール・レイン」
ステージの外にいる先生が何かの魔法を使った所で、
「……カウンター・マジック」
一定時間魔法を反射する神聖魔法を使用する。
これで絶対に濡れない……って、ちょっと待って。
先生は、真ん中にある物を使って雨を防げって言っていた。
このままだと、物を使って居ないって事でルール違反になっちゃうかも。
カウンター・マジックの魔法は全身に効果があるから、ただ立っているだけでも良いんだけど、一応アイテムを使ってますアピールで、両手でハンカチを頭上にかざしてみた。
「ぷっ! そんな小さな布で何が……えっ!? どうして濡れないのよっ! くっ……アクア・ランス!」
ステージ上だけに土砂降りの雨が降っている中で、ずっと煩い上級生が私に向かって何かの魔法を使ってきた。
反則行為なのに……と思っている内に、その魔法が反射され、
「えっ!? 私の魔法が……やだっ! 跳ね返って……いやぁぁぁっ!」
見た所あまり濡れていなかったのに、自らの魔法でびしょ濡れになってしまった。
そして、魔法の雨が止み、
「試合終了です!」
一切濡れる事なく、決勝戦へ進む事が出来た。
ステージに向かって叫んでいると、アルフレッドがこちらを向いて手を振る。
シェムハザ……アンタの分までしっかり応援してあげたわよ。
「ソフィア。次は君だ。控え室へ行こうか」
どうやら次は応用部門に変わるらしく、ヴィクトール先生が呼びに来た。
よく考えたら、準決勝が終わってすぐに決勝だと、休憩も出来ないもんね。
他の部門を進めて、その間に休憩するのか。
「ソフィアは準決勝の第二試合だ。まぁ普通にやればソフィアなら勝てるだろう」
「いえ、慢心はダメですよ。しっかり頑張ってきます」
「……相手が可哀想だよ」
控え室に着くと、応用部門の選手……というか、私の対戦相手が居るんだけど、ほとんどが女子生徒だ。
やっぱり男子生徒は実践部門に出場するのかな。
そんな事を考えていると、
「んっ!? アンタ……一年生だね? という事は、アンタが特例枠のシード選手なの?」
上級生が話しかけてきた。
「たぶん、そうですね。なので、次がまだ二回目で、どんな勝負なのか全然分からなくて」
「……言ってくれるね。アンタ……あのロレーヌ家のバカの女なんだろ? それで、無理矢理シード扱いにしてもらったくせに」
「ロレーヌ?」
「まぁだけど、そんな手が使えるのも、ここまでだ。全校生徒の前で恥を晒すといいさ」
んん? 確かに私は、男か女かと聞かれれば女だけど、バカの女って言われるのは、ちょっと頭にくる。
要はこの人も、アルフレッドみたいに(仮)って言いたいのよね?
ロレーヌっていうのも意味不明だし、絶対に勝つんだから!
「応用部門第一試合終了。それでは、第二試合に移ります」
「ふっ……アンタが恥をかく時間が来たよ。まぁせいぜい頑張りな」
何だかよく分からないけど、凄く嫌な感じだ。
ムカムカしながら、さっきの上級生の後について行くと、
「それでは、応用部門の第二試合を始めます。ルールは簡単。今から三分後に、ステージ上に魔法の雨を降らせます。ですので、ここにある物を自由に使い、雨に濡れないようにしてください。最も濡れた面積の少ない二人が決勝へ進みます。尚、応用部門全てに言えますが、攻撃魔法などによる、直接の妨害行為は禁止です」
見ればステージの中央に、布とか棒とか、色んな物が置かれている。
私を含めた四人の選手は、それを使って雨を防げば良いみたい。
さて、どうしようかな……と考えていると、先程の上級生が少しずつ中央に寄っていて、
「それでは、第二試合開始っ!」
「はっ……ボーッとしてるんじゃないよっ!」
猛ダッシュで物色を始めた。
それに続いて他の二人も走って行く。
なるほど。早い物勝ちだもんね。
まぁでも、残り物には福があるって言うし、私は残っているもので……って、あれ? 残っているのは、小さなハンカチ一枚!?
「あはははっ! 一人につき使える物は一つだなんてルールは無かっただろ? ずぶ濡れになりなっ!」
なるほど。確かにそんな事は言っていなかった。
私以外の三人は何かしら持っていて、それぞれ何かしらの加工をしている。
まぁでも、何とかなるけどね。
「時間です。コール・レイン」
ステージの外にいる先生が何かの魔法を使った所で、
「……カウンター・マジック」
一定時間魔法を反射する神聖魔法を使用する。
これで絶対に濡れない……って、ちょっと待って。
先生は、真ん中にある物を使って雨を防げって言っていた。
このままだと、物を使って居ないって事でルール違反になっちゃうかも。
カウンター・マジックの魔法は全身に効果があるから、ただ立っているだけでも良いんだけど、一応アイテムを使ってますアピールで、両手でハンカチを頭上にかざしてみた。
「ぷっ! そんな小さな布で何が……えっ!? どうして濡れないのよっ! くっ……アクア・ランス!」
ステージ上だけに土砂降りの雨が降っている中で、ずっと煩い上級生が私に向かって何かの魔法を使ってきた。
反則行為なのに……と思っている内に、その魔法が反射され、
「えっ!? 私の魔法が……やだっ! 跳ね返って……いやぁぁぁっ!」
見た所あまり濡れていなかったのに、自らの魔法でびしょ濡れになってしまった。
そして、魔法の雨が止み、
「試合終了です!」
一切濡れる事なく、決勝戦へ進む事が出来た。
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