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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する

第34話 次々に進む魔法大会

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「アルフレッド。魔法大会予選の一回戦で呼ばれていますので、魔法訓練室へ向かってください」
「お、やっと俺か。じゃあ、ソフィア。行ってくるぜ」
「うん。頑張ってね」

 よく分からないうちに、私の魔法大会予選準決勝進出が決定した翌日。
 ホームルームの終わりと同時にアルフレッドが一回戦に呼ばれていった。
 そんなアルフレッドを見送り、授業に集中していると、ガラガラと扉が開き、あっという間に戻って来た。

「おかえり。随分早かったね」
「一回戦だからだろうな。相手が弱かったんだ」

 聞けばアルフレッドが出場している実戦部門は、エントリーしている生徒が多い上に、一対一で戦うのだとか。
 それで時間が掛かる為、アルフレッドだけ一回戦のアナウンスが遅かったらしい。
 一方で、

「マルク様。魔法大会予選の二回戦が始まりますので、魔法訓練室へ移動してください」

 二時限目の途中で、先生がマルクを呼びに来た。

「ふっ……またもや、この俺様の華麗な魔法の実力を見せつける時のようだな」

 尚、マルクが出場している総合部門は、エントリーしている生徒が少ないので一番進行が早いのだとか。
 ただ、色んな事をするので一回の勝敗を決するのには時間が掛かるらしいけど。
 そんな話をしつつ、授業が進んでお昼休みになったので、いつもの様に食堂へ向かい、列に並んでいると、

「おぃ、聞いたか? 今年は凄すぎる生徒が居て、特別枠で予選免除で準決勝から参加する生徒が居るらしいぜ」

 私の事を話しているのではないか……という声が後ろから聞こえて来た。
 うぅ……噂話なんて無視したいのに、割と近い位置に居るのか、否が応でも聞こえてしまう。

「え? そんな奴が居るのか!? ズルくね? 俺なんて、一回戦からあの変態生徒会長に当たったんだぞ! マジでふざけんなって感じなのにさ」
「ん? でも、それなら、そういう強い奴がシード的に予選免除ってなった方が、他の生徒が上に進める可能性があるんじゃないのか?」
「そいつが本当に実力があるならな。……聞いたか? 総合部門にエントリーしている一年生の話」
「あー、ロレーヌ家の奴だろ? ……って、こんな所で奴の話はマズいだろ」
「……それもそうだな。じゃあ、これは知っているか? 一年生に物凄く可愛い女の子が入学してきたらしいぞ? わざわざ見に行った奴が言うには、神々しいというか、聖女みたいなオーラがあるそうだ」
「あ、その女子の話なら、弟が技術の授業で見たって言っていたぞ。見た目はかなり綺麗だけど、男勝りの性格っぽくて、あと芸術センスは無いらしい」

 良かった。途中から、私の話ではなくなったし、聞き流している内に列の先頭へ来たので、ランチセットを注文してその場を離れる。
 あんまり、あぁいう話は聞きたくないもんね。
 けど、聖女みたいな生徒がいるっていう話は、ちょっと気になるかも。
 もしかして神聖魔法が使えたりするのかしら? だったら、この学校では神聖魔法を使う人が少ないし、どういう勉強をしているかとか、どういう職業に就こうとしているかを聞いてみたいかも。
 どこかで、その生徒の名前や見た目の特徴が分かると良いんだけどな。
 それから授業が終わったホームルームで、

「応用部門にエントリーしているソフィアに続き、総合部門にエントリーしているマルク様が、一応……こほん。えー、その……準決勝へ進出されました」
「ふはははっ! この俺様の実力をもってすれば当然だっ! 楽勝過ぎて、実力の半分も出す必要がなかったな」

 マルクが準決勝へ進出したという話が告げられた。

「そ、そうですね。どういう訳か、マルク様以外の出場者が腹痛を訴えて棄権したり、急に体調が悪くなったり……偶然、調子が悪い生徒が続出しましたしね」
「そうなのか? せっかくならば、全力で俺様にぶつかって負けたかったであろう。だが、いずれにせよ、俺様が上へ進む事に変わりはないがな」

 何故か、ヴィクトール先生が凄く微妙な表情をしているけど。
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