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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する
第33話 臨時職員会議
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「ただ今戻りましたー」
魔法大会の一回戦を終え、教室に戻ってくると、
「ソフィアさん!? こんな所で何をしているのですか!? 早く魔法訓練室へ移動してくださいっ!」
また魔法訓練室に行けと言われてしまった。
「え? もう二回戦が行われるんですか?」
「何を言っているの? ソフィアさんは今から一回戦でしょう?」
「一回戦なら、もう終わりましたよ?」
「そんな訳無いでしょ。魔法大会の内容は、事前に先生たちが実際に行っているの。それで、応用部門の一回戦の内容は、錬金魔法の先生でも、三十分は掛かるって言っていたわよ?」
「へぇー。そうなんですね」
「そうなんですね……って、不戦敗になっても知りませんよ?」
残念ながら、先生で三十分掛かる内容を、数秒で終わらせてしまったので、全く信じてもらえない。
……そうだ。せっかくだから、正攻法? で挑んだら、どれくらい時間が掛かるか試してみようかな。
「すみません、先生。やっぱり行ってきます!」
「えぇ、そうした方が先生も良いと思うわ」
再びテレポートで魔法訓練室へ戻ると、
「あの、すみません。せっかくなので、別の方法で出られるか試しても良いですか?」
「あら? 貴女はさっきの……まぁ構わないわよ。貴女と当たった四人は、まだ中に居るしね」
「では、お言葉に甘えて……テレポート」
瞬間移動魔法で第六訓練室の中へ入ると、三つのオブジェの前へ。
一つは、変な形のアートっぽい物で、鈍い光を放つ銀色の素材。
一つは、黒く輝く大きめの石。
最後の一つは、鍵穴みたいな穴が空いた銀色の直方体。
これらをどうにかして、鍵を開けるらしい。
「さっき先生は、魔鋼鉄を溶かして型に流し込むって言っていたから……こっちの穴が空いている直方体が型よね」
錬金魔法を使って、こっちのアートっぽい物か、石を溶かす……って、そんな事をしなくても、鍵は作れる気がする。
錬金魔法には違いないけれど、オブジェの形を変える魔法ではなくて、水を生み出す魔法を使って、穴の中へ水を注ぐ。
穴から水が溢れた所で、水の性質を変化させて、凍らせる。
後は氷を保護しつつ、直方体の型を壊せば……
「出来たー!」
氷で出来た鍵が出来上がったので、それを扉の鍵穴へ。
そのまま回すと……普通に扉が開いた。
「えっ!? まだ五分も経っていないのに、どうして溶解と凝固をそんなに早く出来たのっ!?」
「あ、石みたいなのは溶かしてないです。型に水を注いで、氷で鍵を作ったので」
「いやいや、そんなの無理でしょ。確かに氷で鍵を作るのは簡単だけど、型の中から取り出す際に氷が割れてしまうじゃない」
「そこで、一工夫したんですよ。氷で鍵を作った後、防御魔法で鍵を守って型を壊したんです」
「は? 防御……魔法!?」
防御魔法を人ではなく、物に行使するっていう発想が意外だったのか、先生が唖然としている。
「はい。私、攻撃系の魔法は得意ではないんですけど、この手の守ったり治したりする魔法は得意なので」
「守ったり、治したりする魔法……」
「では、授業に戻りますねー」
「あ、はい……」
それから、教室へ戻ると、
「だから言ったのに。間に合わなかったのね」
先生からよく分からない事を言われつつ、授業に戻る。
そして、午後の授業で先生が教室にやってきて、
「ソフィアさん。先程、臨時で職員会議があり、貴女は魔法大会の準決勝まで進出する事に決まりました」
予想外の事を言われてしまった。
「え? でも、まだ一回戦が終わっただけですよ?」
「貴女に類稀なる魔法の才能があるという事で、当たった生徒が可哀想……もとい、もう予選不要だよねって話になりまして。でも、準決勝以降の公開予選は出てもらわないと、知らない生徒から反発があるだろうという落とし所です」
「は、はぁ……」
「という訳で、ソフィアさん! 準決勝進出、おめでとうございます!」
一回戦を突破しただけのはずが、どういう訳かシード選手? みたいな扱いにされてしまった。
魔法大会の一回戦を終え、教室に戻ってくると、
「ソフィアさん!? こんな所で何をしているのですか!? 早く魔法訓練室へ移動してくださいっ!」
また魔法訓練室に行けと言われてしまった。
「え? もう二回戦が行われるんですか?」
「何を言っているの? ソフィアさんは今から一回戦でしょう?」
「一回戦なら、もう終わりましたよ?」
「そんな訳無いでしょ。魔法大会の内容は、事前に先生たちが実際に行っているの。それで、応用部門の一回戦の内容は、錬金魔法の先生でも、三十分は掛かるって言っていたわよ?」
「へぇー。そうなんですね」
「そうなんですね……って、不戦敗になっても知りませんよ?」
残念ながら、先生で三十分掛かる内容を、数秒で終わらせてしまったので、全く信じてもらえない。
……そうだ。せっかくだから、正攻法? で挑んだら、どれくらい時間が掛かるか試してみようかな。
「すみません、先生。やっぱり行ってきます!」
「えぇ、そうした方が先生も良いと思うわ」
再びテレポートで魔法訓練室へ戻ると、
「あの、すみません。せっかくなので、別の方法で出られるか試しても良いですか?」
「あら? 貴女はさっきの……まぁ構わないわよ。貴女と当たった四人は、まだ中に居るしね」
「では、お言葉に甘えて……テレポート」
瞬間移動魔法で第六訓練室の中へ入ると、三つのオブジェの前へ。
一つは、変な形のアートっぽい物で、鈍い光を放つ銀色の素材。
一つは、黒く輝く大きめの石。
最後の一つは、鍵穴みたいな穴が空いた銀色の直方体。
これらをどうにかして、鍵を開けるらしい。
「さっき先生は、魔鋼鉄を溶かして型に流し込むって言っていたから……こっちの穴が空いている直方体が型よね」
錬金魔法を使って、こっちのアートっぽい物か、石を溶かす……って、そんな事をしなくても、鍵は作れる気がする。
錬金魔法には違いないけれど、オブジェの形を変える魔法ではなくて、水を生み出す魔法を使って、穴の中へ水を注ぐ。
穴から水が溢れた所で、水の性質を変化させて、凍らせる。
後は氷を保護しつつ、直方体の型を壊せば……
「出来たー!」
氷で出来た鍵が出来上がったので、それを扉の鍵穴へ。
そのまま回すと……普通に扉が開いた。
「えっ!? まだ五分も経っていないのに、どうして溶解と凝固をそんなに早く出来たのっ!?」
「あ、石みたいなのは溶かしてないです。型に水を注いで、氷で鍵を作ったので」
「いやいや、そんなの無理でしょ。確かに氷で鍵を作るのは簡単だけど、型の中から取り出す際に氷が割れてしまうじゃない」
「そこで、一工夫したんですよ。氷で鍵を作った後、防御魔法で鍵を守って型を壊したんです」
「は? 防御……魔法!?」
防御魔法を人ではなく、物に行使するっていう発想が意外だったのか、先生が唖然としている。
「はい。私、攻撃系の魔法は得意ではないんですけど、この手の守ったり治したりする魔法は得意なので」
「守ったり、治したりする魔法……」
「では、授業に戻りますねー」
「あ、はい……」
それから、教室へ戻ると、
「だから言ったのに。間に合わなかったのね」
先生からよく分からない事を言われつつ、授業に戻る。
そして、午後の授業で先生が教室にやってきて、
「ソフィアさん。先程、臨時で職員会議があり、貴女は魔法大会の準決勝まで進出する事に決まりました」
予想外の事を言われてしまった。
「え? でも、まだ一回戦が終わっただけですよ?」
「貴女に類稀なる魔法の才能があるという事で、当たった生徒が可哀想……もとい、もう予選不要だよねって話になりまして。でも、準決勝以降の公開予選は出てもらわないと、知らない生徒から反発があるだろうという落とし所です」
「は、はぁ……」
「という訳で、ソフィアさん! 準決勝進出、おめでとうございます!」
一回戦を突破しただけのはずが、どういう訳かシード選手? みたいな扱いにされてしまった。
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