41 / 58
第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する
第32話 魔法大会予選一回戦
しおりを挟む
「ふぅ……何とか間に合った」
短い休み時間の間にシェムハザを天界に戻して、ケヴィンさんを治療して、ギリギリ授業が始まる前に戻って来れた。
……と思っていたんだけど、
「ソフィアさん、遅いですよ」
「え? す、すみません」
何故か授業開始前だというのに、先生がいた。
というのも、
「ソフィアさん。魔法大会の予選に呼ばれています。今すぐ魔法訓練室へ移動してください」
どうやら、私に大会予選の事を伝える為だったらしい。
「ソフィア、頑張れよ」
「うん。ありがとう、アルフレッド。……って、あれ? マルクが戻って来てる。マルクは大会予選、どうだったの?」
「ふはははっ! 愚問だな! 先程のは一回戦だ。相手は全員二年生や三年生だったが、圧勝だったに決まっているだろう」
マルクの態度を見る限り、本当に圧勝だったのだろう。
よし。私も一年生のSクラスとして、負ける訳にはいかないわね。
「じゃあ、行ってきまーす」
教室を出ると、つい先ほどまで居た魔法訓練室の裏へテレポートで移動し、
「すみません。魔法大会の予選があると聞いてきたんですけど」
入口に居た先生に話し掛けてみる。
「貴方が最後だから……一年生のソフィアさんかしら?」
「はい。そうです」
「じゃあ、説明するから、第一訓練室に入って」
中に入ると、四人の生徒が居た。
つまり、私を含めて五人で勝負するのね。
一回戦だし、この中から一人だけが二回戦に進めるのかしら。
そんな事を思っている内に、先生がルールを話し始めたので、そっちに意識を集中させる。
「では、魔法大会の学内予選、応用部門の一回戦のルールを説明します。尚、この一回戦の内容は他の生徒に話さないようにしてください。不正行為と見なされますので」
同じ応用部門の一回戦の別グループも、居たような内容なのだろう。
事前に聞いていたら、対策を立てられるかもしれないもんね。
「今から、皆さんにはそれぞれ一人ずつ、第二から第六訓練室に入ってもらいます。その後、外から鍵を掛けますので、どうにかして外へ出てください。訓練室から一番早く出た人が、二回戦へ進出となります」
「……って、あれ? それだけですか?」
「そうですよ? 貴女は一年生ね。初めてだから分からない事も沢山あるでしょうけど、応用部門は魔法で課題をクリアする戦い……と言いながら、発想力も求められるの。室内にヒントとなる物もあるから、頑張ってね」
つまり決められた解は無くて、方法は問わないから目的さえ達すれば良いって事ね。
「では、皆さん……各自割り当てられた訓練室へ入ってください。では扉が閉まった後、鍵が掛けられたらスタートです」
私が指定された第六訓練室へ入ると、扉が閉まり、程なくしてカチャっと鍵が掛けられる音がした。
一応、訓練室の中を見渡してみると、長机があって、その上に三つのオブジェが置かれている。
おそらく、このオブジェをどうにかすると、鍵が手に入る仕掛けなのかもしれないけど、
「……テレポート」
瞬間移動の魔法を使い、扉の外へ。
「あら? ソフィアさん。どうして訓練室の中へ入っていないの? 一回戦は始まっているのよ?」
「いえ、ですから訓練室から出たんですけど」
「……えっ!? ど、どうやって!? あの魔鋼鉄を溶かして、鍵の型へ流し込んで固める……この工程を僅か数秒で終わらせたのっ!? ……って、あら? 鍵が掛かったままなのだけど?」
「はい。とにかく外に出れば良いって言われたので、瞬間移動魔法で出ました」
脱出方法を伝えると、暫し先生が固まり、
「え?」
「え? 何か問題が?」
「……い、いえ。無い……わね。ただ、ちょっとこちらの想定を超え過ぎていたけど。こ、この戦いは、ソフィアさんの勝利となります」
少ししてから、私の二回戦進出が告げられた。
短い休み時間の間にシェムハザを天界に戻して、ケヴィンさんを治療して、ギリギリ授業が始まる前に戻って来れた。
……と思っていたんだけど、
「ソフィアさん、遅いですよ」
「え? す、すみません」
何故か授業開始前だというのに、先生がいた。
というのも、
「ソフィアさん。魔法大会の予選に呼ばれています。今すぐ魔法訓練室へ移動してください」
どうやら、私に大会予選の事を伝える為だったらしい。
「ソフィア、頑張れよ」
「うん。ありがとう、アルフレッド。……って、あれ? マルクが戻って来てる。マルクは大会予選、どうだったの?」
「ふはははっ! 愚問だな! 先程のは一回戦だ。相手は全員二年生や三年生だったが、圧勝だったに決まっているだろう」
マルクの態度を見る限り、本当に圧勝だったのだろう。
よし。私も一年生のSクラスとして、負ける訳にはいかないわね。
「じゃあ、行ってきまーす」
教室を出ると、つい先ほどまで居た魔法訓練室の裏へテレポートで移動し、
「すみません。魔法大会の予選があると聞いてきたんですけど」
入口に居た先生に話し掛けてみる。
「貴方が最後だから……一年生のソフィアさんかしら?」
「はい。そうです」
「じゃあ、説明するから、第一訓練室に入って」
中に入ると、四人の生徒が居た。
つまり、私を含めて五人で勝負するのね。
一回戦だし、この中から一人だけが二回戦に進めるのかしら。
そんな事を思っている内に、先生がルールを話し始めたので、そっちに意識を集中させる。
「では、魔法大会の学内予選、応用部門の一回戦のルールを説明します。尚、この一回戦の内容は他の生徒に話さないようにしてください。不正行為と見なされますので」
同じ応用部門の一回戦の別グループも、居たような内容なのだろう。
事前に聞いていたら、対策を立てられるかもしれないもんね。
「今から、皆さんにはそれぞれ一人ずつ、第二から第六訓練室に入ってもらいます。その後、外から鍵を掛けますので、どうにかして外へ出てください。訓練室から一番早く出た人が、二回戦へ進出となります」
「……って、あれ? それだけですか?」
「そうですよ? 貴女は一年生ね。初めてだから分からない事も沢山あるでしょうけど、応用部門は魔法で課題をクリアする戦い……と言いながら、発想力も求められるの。室内にヒントとなる物もあるから、頑張ってね」
つまり決められた解は無くて、方法は問わないから目的さえ達すれば良いって事ね。
「では、皆さん……各自割り当てられた訓練室へ入ってください。では扉が閉まった後、鍵が掛けられたらスタートです」
私が指定された第六訓練室へ入ると、扉が閉まり、程なくしてカチャっと鍵が掛けられる音がした。
一応、訓練室の中を見渡してみると、長机があって、その上に三つのオブジェが置かれている。
おそらく、このオブジェをどうにかすると、鍵が手に入る仕掛けなのかもしれないけど、
「……テレポート」
瞬間移動の魔法を使い、扉の外へ。
「あら? ソフィアさん。どうして訓練室の中へ入っていないの? 一回戦は始まっているのよ?」
「いえ、ですから訓練室から出たんですけど」
「……えっ!? ど、どうやって!? あの魔鋼鉄を溶かして、鍵の型へ流し込んで固める……この工程を僅か数秒で終わらせたのっ!? ……って、あら? 鍵が掛かったままなのだけど?」
「はい。とにかく外に出れば良いって言われたので、瞬間移動魔法で出ました」
脱出方法を伝えると、暫し先生が固まり、
「え?」
「え? 何か問題が?」
「……い、いえ。無い……わね。ただ、ちょっとこちらの想定を超え過ぎていたけど。こ、この戦いは、ソフィアさんの勝利となります」
少ししてから、私の二回戦進出が告げられた。
2
お気に入りに追加
3,531
あなたにおすすめの小説
聖女として豊穣スキルが備わっていたけど、伯爵に婚約破棄をされました~公爵様に救済され農地開拓を致します~
安奈
ファンタジー
「豊穣スキル」で農地を豊かにし、新鮮な農作物の収穫を可能にしていたニーア。
彼女は結婚前に、肉体関係を求められた婚約者である伯爵を拒否したという理由で婚約破棄をされてしまう。
豊穣の聖女と呼ばれていた彼女は、平民の出ではあったが領主である伯爵との婚約を誇りに思っていただけに非常に悲しんだ。
だがニーアは、幼馴染であり現在では公爵にまで上り詰めたラインハルトに求婚され、彼と共に広大な農地開拓に勤しむのだった。
婚約破棄をし、自らの領地から事実上の追放をした伯爵は彼女のスキルの恩恵が、今までどれだけの効力を得ていたのか痛感することになるが、全ては後の祭りで……。
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
戦地に舞い降りた真の聖女〜偽物と言われて戦場送りされましたが問題ありません、それが望みでしたから〜
黄舞
ファンタジー
侯爵令嬢である主人公フローラは、次の聖女として王太子妃となる予定だった。しかし婚約者であるはずの王太子、ルチル王子から、聖女を偽ったとして婚約破棄され、激しい戦闘が繰り広げられている戦場に送られてしまう。ルチル王子はさらに自分の気に入った女性であるマリーゴールドこそが聖女であると言い出した。
一方のフローラは幼少から、王侯貴族のみが回復魔法の益を受けることに疑問を抱き、自ら強い奉仕の心で戦場で傷付いた兵士たちを治療したいと前々から思っていた。強い意志を秘めたまま衛生兵として部隊に所属したフローラは、そこで様々な苦難を乗り越えながら、あまねく人々を癒し、兵士たちに聖女と呼ばれていく。
配属初日に助けた瀕死の青年クロムや、フローラの指導のおかげで後にフローラに次ぐ回復魔法の使い手へと育つデイジー、他にも主人公を慕う衛生兵たちに囲まれ、フローラ個人だけではなく、衛生兵部隊として徐々に成長していく。
一方、フローラを陥れようとした王子たちや、配属先の上官たちは、自らの行いによって、その身を落としていく。
聖女の私を追放?ちょうど私も出て行こうとしていたところです
京月
恋愛
トランプ王国で聖女として働いていたリリスをあまりよく思わない王子ガドラ。リリスに濡れ衣を着せ追放を言い渡す。ガドラ「リリス、お前はこの国から追放だ!!」(ドヤ) リリス「ちょうど私もこの国を出ようとしていたところなんですよ」(ニコ) ガドラ「……え?」
似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
眠り姫な私は王女の地位を剥奪されました。実は眠りながらこの国を護っていたのですけれどね
たつき
ファンタジー
「おまえは王族に相応しくない!今日限りで追放する!」
「お父様!何故ですの!」
「分かり切ってるだろ!おまえがいつも寝ているからだ!」
「お兄様!それは!」
「もういい!今すぐ出て行け!王族の権威を傷つけるな!」
こうして私は王女の身分を剥奪されました。
眠りの世界でこの国を魔物とかから護っていただけですのに。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
婚約破棄と追放をされたので能力使って自立したいと思います
かるぼな
ファンタジー
突然、王太子に婚約破棄と追放を言い渡されたリーネ・アルソフィ。
現代日本人の『神木れいな』の記憶を持つリーネはレイナと名前を変えて生きていく事に。
一人旅に出るが周りの人間に助けられ甘やかされていく。
【拒絶と吸収】の能力で取捨選択して良いとこ取り。
癒し系統の才能が徐々に開花してとんでもない事に。
レイナの目標は自立する事なのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる