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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する

第32話 魔法大会予選一回戦

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「ふぅ……何とか間に合った」

 短い休み時間の間にシェムハザを天界に戻して、ケヴィンさんを治療して、ギリギリ授業が始まる前に戻って来れた。
 ……と思っていたんだけど、

「ソフィアさん、遅いですよ」
「え? す、すみません」

 何故か授業開始前だというのに、先生がいた。
 というのも、

「ソフィアさん。魔法大会の予選に呼ばれています。今すぐ魔法訓練室へ移動してください」

 どうやら、私に大会予選の事を伝える為だったらしい。

「ソフィア、頑張れよ」
「うん。ありがとう、アルフレッド。……って、あれ? マルクが戻って来てる。マルクは大会予選、どうだったの?」
「ふはははっ! 愚問だな! 先程のは一回戦だ。相手は全員二年生や三年生だったが、圧勝だったに決まっているだろう」

 マルクの態度を見る限り、本当に圧勝だったのだろう。
 よし。私も一年生のSクラスとして、負ける訳にはいかないわね。

「じゃあ、行ってきまーす」

 教室を出ると、つい先ほどまで居た魔法訓練室の裏へテレポートで移動し、

「すみません。魔法大会の予選があると聞いてきたんですけど」

 入口に居た先生に話し掛けてみる。

「貴方が最後だから……一年生のソフィアさんかしら?」
「はい。そうです」
「じゃあ、説明するから、第一訓練室に入って」

 中に入ると、四人の生徒が居た。
 つまり、私を含めて五人で勝負するのね。
 一回戦だし、この中から一人だけが二回戦に進めるのかしら。
 そんな事を思っている内に、先生がルールを話し始めたので、そっちに意識を集中させる。

「では、魔法大会の学内予選、応用部門の一回戦のルールを説明します。尚、この一回戦の内容は他の生徒に話さないようにしてください。不正行為と見なされますので」

 同じ応用部門の一回戦の別グループも、居たような内容なのだろう。
 事前に聞いていたら、対策を立てられるかもしれないもんね。

「今から、皆さんにはそれぞれ一人ずつ、第二から第六訓練室に入ってもらいます。その後、外から鍵を掛けますので、どうにかして外へ出てください。訓練室から一番早く出た人が、二回戦へ進出となります」
「……って、あれ? それだけですか?」
「そうですよ? 貴女は一年生ね。初めてだから分からない事も沢山あるでしょうけど、応用部門は魔法で課題をクリアする戦い……と言いながら、発想力も求められるの。室内にヒントとなる物もあるから、頑張ってね」

 つまり決められた解は無くて、方法は問わないから目的さえ達すれば良いって事ね。

「では、皆さん……各自割り当てられた訓練室へ入ってください。では扉が閉まった後、鍵が掛けられたらスタートです」

 私が指定された第六訓練室へ入ると、扉が閉まり、程なくしてカチャっと鍵が掛けられる音がした。
 一応、訓練室の中を見渡してみると、長机があって、その上に三つのオブジェが置かれている。
 おそらく、このオブジェをどうにかすると、鍵が手に入る仕掛けなのかもしれないけど、

「……テレポート」

 瞬間移動の魔法を使い、扉の外へ。

「あら? ソフィアさん。どうして訓練室の中へ入っていないの? 一回戦は始まっているのよ?」
「いえ、ですから訓練室から出たんですけど」
「……えっ!? ど、どうやって!? あの魔鋼鉄を溶かして、鍵の型へ流し込んで固める……この工程を僅か数秒で終わらせたのっ!? ……って、あら? 鍵が掛かったままなのだけど?」
「はい。とにかく外に出れば良いって言われたので、瞬間移動魔法で出ました」

 脱出方法を伝えると、暫し先生が固まり、

「え?」
「え? 何か問題が?」
「……い、いえ。無い……わね。ただ、ちょっとこちらの想定を超え過ぎていたけど。こ、この戦いは、ソフィアさんの勝利となります」

 少ししてから、私の二回戦進出が告げられた。
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