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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する

第26話 ホワイト・ラビットのシロ

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「コントラクト」

 一旦、色々と無かった事にして、改めて第二層へ。
 先生やリュカと洞窟を探索し、見つけた白いウサギに契約魔法を使用すると、

「やった! 成功よっ!」

 地面に描いた魔法陣へウサギが乗り、つぶらな瞳で私の顔を見つめてくる。

「えーっと、まぁ確かに成功なんですけど、ソフィアさんは既に規格外の変態――もとい、堕天使を使い魔にしていたので、最弱の魔物と呼ばれるホワイト・ラビットは成功して当然な気がするのですが」
「先生。私はこれが初めての使い魔ですよ?」
「あの……あんなにインパクトのある使い魔なので、忘れようが無いのですが……」
「私の使い魔は、この子だけです」
「……そ、そうですね。そのウサギが、ソフィアさんの初めての使い魔ですね」

 私の熱意が先生に届き、ホワイト・ラビットと呼ばれる白いウサギが私の使い魔という事になった。

「じゃあ、貴方の名前は、シロにしましょう。今日から、よろしくね!」

 シロと名付けたモフモフ白ウサギを抱きしめ……ふと思う。

「あれ? 先生。召喚魔法で呼び出す相手って、使い魔と幻獣の二種類があるっていうお話でしたよね?」
「はい、その通りです。今は、実際に自身で魔物を使い魔にしましたね」
「そうなんですけど、召喚した使い魔や幻獣を元の世界に帰すリターンの魔法を使うと、幻獣は元々住んで居る世界に帰ります。でも、今ここで使い魔になったシロを別の場所で呼び出してリターンを使うと、どこに送られるんですか? もしかして、このダンジョンですか?」
「流石はソフィアさん。良い質問ですね。この世界で使い魔となる契約をした魔物は、術者であるソフィアさんが使い魔の家と定めた場所に送られます」
「じゃあ、シロの家を私の部屋って事にすると、シロは私の部屋に送られるんですか?」
「そういう事です」

 良かった。
 もしもシロがこのダンジョンへ送られてしまったら、他の学生に倒されたりしかねないもんね。
 私の部屋に送る事が出来るのであれば、安心ね。

「……って、ちょっと待ってください。もしも、私が使い魔の家を特に定めていない場合は、どうなるのですか!?」
「それは、その使い魔が自分の住み家だと認識している場所へ送られます。例えば先ほどの堕天使は、住み家を天界? と思っていれば天界へ送られたはずですし、このダンジョンの下層だと思っていれば、下層に送られているはずです」
「なるほど。じゃあ、あの堕天使が私の部屋に居るという事は無いんですね……あ、いえ。私の使い魔はシロだけなんですけどね」

 それから、ついでだからと、先生から補足の説明があり、術者が使い魔の家を設定出来るとは言ったものの、術者が関与する家や場所にしか設定出来ないという事を教えてくれた。
 無関係な場所を使い魔の家という事に出来てしまったら、リターンで使い魔を送り込めちゃうもんね。
 私がシロと出会った後も、先生とリュカの三人で歩いていると、中型の犬が現れた。

「ワイルド・ドッグですね。最弱の魔物ホワイト・ラビットよりは強いですが、第二層ですし、単体なので脅威ではないです。リュカ君、使い魔にしてみますか?」
「……分かった。契約魔法の練習にする。使い魔にはしないけど」

 そう言って、リュカが素早く地面に魔法陣を描いていく。

「……このクラスの生徒は、皆先生の話を聞かないんですね。契約魔法は魔物を弱らせてからだと、何度も……」
「……コントラクト」

 リュカが戦う前に契約魔法を使い……あ、無視して襲って来た。

「だから言ったじゃないですかっ! ソフィアさんが特殊なんですってば!」
「え? 私、特殊なんですか!?」
「あれだけ凄い事をしておいて、どうして無自覚なのよっ!」

 それから少しバタバタしたけど、なんとか無事に、リュカも契約魔法を成功させた。
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