33 / 58
第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する
第26話 ホワイト・ラビットのシロ
しおりを挟む
「コントラクト」
一旦、色々と無かった事にして、改めて第二層へ。
先生やリュカと洞窟を探索し、見つけた白いウサギに契約魔法を使用すると、
「やった! 成功よっ!」
地面に描いた魔法陣へウサギが乗り、つぶらな瞳で私の顔を見つめてくる。
「えーっと、まぁ確かに成功なんですけど、ソフィアさんは既に規格外の変態――もとい、堕天使を使い魔にしていたので、最弱の魔物と呼ばれるホワイト・ラビットは成功して当然な気がするのですが」
「先生。私はこれが初めての使い魔ですよ?」
「あの……あんなにインパクトのある使い魔なので、忘れようが無いのですが……」
「私の使い魔は、この子だけです」
「……そ、そうですね。そのウサギが、ソフィアさんの初めての使い魔ですね」
私の熱意が先生に届き、ホワイト・ラビットと呼ばれる白いウサギが私の使い魔という事になった。
「じゃあ、貴方の名前は、シロにしましょう。今日から、よろしくね!」
シロと名付けたモフモフ白ウサギを抱きしめ……ふと思う。
「あれ? 先生。召喚魔法で呼び出す相手って、使い魔と幻獣の二種類があるっていうお話でしたよね?」
「はい、その通りです。今は、実際に自身で魔物を使い魔にしましたね」
「そうなんですけど、召喚した使い魔や幻獣を元の世界に帰すリターンの魔法を使うと、幻獣は元々住んで居る世界に帰ります。でも、今ここで使い魔になったシロを別の場所で呼び出してリターンを使うと、どこに送られるんですか? もしかして、このダンジョンですか?」
「流石はソフィアさん。良い質問ですね。この世界で使い魔となる契約をした魔物は、術者であるソフィアさんが使い魔の家と定めた場所に送られます」
「じゃあ、シロの家を私の部屋って事にすると、シロは私の部屋に送られるんですか?」
「そういう事です」
良かった。
もしもシロがこのダンジョンへ送られてしまったら、他の学生に倒されたりしかねないもんね。
私の部屋に送る事が出来るのであれば、安心ね。
「……って、ちょっと待ってください。もしも、私が使い魔の家を特に定めていない場合は、どうなるのですか!?」
「それは、その使い魔が自分の住み家だと認識している場所へ送られます。例えば先ほどの堕天使は、住み家を天界? と思っていれば天界へ送られたはずですし、このダンジョンの下層だと思っていれば、下層に送られているはずです」
「なるほど。じゃあ、あの堕天使が私の部屋に居るという事は無いんですね……あ、いえ。私の使い魔はシロだけなんですけどね」
それから、ついでだからと、先生から補足の説明があり、術者が使い魔の家を設定出来るとは言ったものの、術者が関与する家や場所にしか設定出来ないという事を教えてくれた。
無関係な場所を使い魔の家という事に出来てしまったら、リターンで使い魔を送り込めちゃうもんね。
私がシロと出会った後も、先生とリュカの三人で歩いていると、中型の犬が現れた。
「ワイルド・ドッグですね。最弱の魔物ホワイト・ラビットよりは強いですが、第二層ですし、単体なので脅威ではないです。リュカ君、使い魔にしてみますか?」
「……分かった。契約魔法の練習にする。使い魔にはしないけど」
そう言って、リュカが素早く地面に魔法陣を描いていく。
「……このクラスの生徒は、皆先生の話を聞かないんですね。契約魔法は魔物を弱らせてからだと、何度も……」
「……コントラクト」
リュカが戦う前に契約魔法を使い……あ、無視して襲って来た。
「だから言ったじゃないですかっ! ソフィアさんが特殊なんですってば!」
「え? 私、特殊なんですか!?」
「あれだけ凄い事をしておいて、どうして無自覚なのよっ!」
それから少しバタバタしたけど、なんとか無事に、リュカも契約魔法を成功させた。
一旦、色々と無かった事にして、改めて第二層へ。
先生やリュカと洞窟を探索し、見つけた白いウサギに契約魔法を使用すると、
「やった! 成功よっ!」
地面に描いた魔法陣へウサギが乗り、つぶらな瞳で私の顔を見つめてくる。
「えーっと、まぁ確かに成功なんですけど、ソフィアさんは既に規格外の変態――もとい、堕天使を使い魔にしていたので、最弱の魔物と呼ばれるホワイト・ラビットは成功して当然な気がするのですが」
「先生。私はこれが初めての使い魔ですよ?」
「あの……あんなにインパクトのある使い魔なので、忘れようが無いのですが……」
「私の使い魔は、この子だけです」
「……そ、そうですね。そのウサギが、ソフィアさんの初めての使い魔ですね」
私の熱意が先生に届き、ホワイト・ラビットと呼ばれる白いウサギが私の使い魔という事になった。
「じゃあ、貴方の名前は、シロにしましょう。今日から、よろしくね!」
シロと名付けたモフモフ白ウサギを抱きしめ……ふと思う。
「あれ? 先生。召喚魔法で呼び出す相手って、使い魔と幻獣の二種類があるっていうお話でしたよね?」
「はい、その通りです。今は、実際に自身で魔物を使い魔にしましたね」
「そうなんですけど、召喚した使い魔や幻獣を元の世界に帰すリターンの魔法を使うと、幻獣は元々住んで居る世界に帰ります。でも、今ここで使い魔になったシロを別の場所で呼び出してリターンを使うと、どこに送られるんですか? もしかして、このダンジョンですか?」
「流石はソフィアさん。良い質問ですね。この世界で使い魔となる契約をした魔物は、術者であるソフィアさんが使い魔の家と定めた場所に送られます」
「じゃあ、シロの家を私の部屋って事にすると、シロは私の部屋に送られるんですか?」
「そういう事です」
良かった。
もしもシロがこのダンジョンへ送られてしまったら、他の学生に倒されたりしかねないもんね。
私の部屋に送る事が出来るのであれば、安心ね。
「……って、ちょっと待ってください。もしも、私が使い魔の家を特に定めていない場合は、どうなるのですか!?」
「それは、その使い魔が自分の住み家だと認識している場所へ送られます。例えば先ほどの堕天使は、住み家を天界? と思っていれば天界へ送られたはずですし、このダンジョンの下層だと思っていれば、下層に送られているはずです」
「なるほど。じゃあ、あの堕天使が私の部屋に居るという事は無いんですね……あ、いえ。私の使い魔はシロだけなんですけどね」
それから、ついでだからと、先生から補足の説明があり、術者が使い魔の家を設定出来るとは言ったものの、術者が関与する家や場所にしか設定出来ないという事を教えてくれた。
無関係な場所を使い魔の家という事に出来てしまったら、リターンで使い魔を送り込めちゃうもんね。
私がシロと出会った後も、先生とリュカの三人で歩いていると、中型の犬が現れた。
「ワイルド・ドッグですね。最弱の魔物ホワイト・ラビットよりは強いですが、第二層ですし、単体なので脅威ではないです。リュカ君、使い魔にしてみますか?」
「……分かった。契約魔法の練習にする。使い魔にはしないけど」
そう言って、リュカが素早く地面に魔法陣を描いていく。
「……このクラスの生徒は、皆先生の話を聞かないんですね。契約魔法は魔物を弱らせてからだと、何度も……」
「……コントラクト」
リュカが戦う前に契約魔法を使い……あ、無視して襲って来た。
「だから言ったじゃないですかっ! ソフィアさんが特殊なんですってば!」
「え? 私、特殊なんですか!?」
「あれだけ凄い事をしておいて、どうして無自覚なのよっ!」
それから少しバタバタしたけど、なんとか無事に、リュカも契約魔法を成功させた。
2
お気に入りに追加
3,527
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
聖女だと名乗り出たら、偽者呼ばわりをされて国外に追放されました。もうすぐ国が滅びますが、もう知りません
柚木ゆず
ファンタジー
厄災が訪れる直前に誕生するとされている、悲劇から国や民を守る存在・聖女。この国の守り神であるホズラティア様に選ばれ、わたしシュゼットが聖女に覚醒しました。
厄災を防ぐにはこの体に宿った聖なる力を、王城にあるホズラティア様の像に注がないといけません。
そのためわたしは、お父様とお母様と共にお城に向かったのですが――そこでわたし達家族を待っていたのは、王家の方々による『偽者呼ばわり』と『聖女の名を騙った罪での国外追放』でした。
陛下や王太子殿下達は、男爵家の娘如きが偉大なる聖女に選ばれるはずがない、と思われているようでして……。何を言っても、意味はありませんでした……。
わたし達家族は罵声を浴びながら国外へと追放されてしまい、まもなく訪れる厄災を防げなくなってしまったのでした。
――ホズラティア様、お願いがございます――。
――陛下達とは違い、他の方々には何の罪もありません――。
――どうか、国民の皆様をお救いください――。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
親友に裏切られ聖女の立場を乗っ取られたけど、私はただの聖女じゃないらしい
咲貴
ファンタジー
孤児院で暮らすニーナは、聖女が触れると光る、という聖女判定の石を光らせてしまった。
新しい聖女を捜しに来ていた捜索隊に報告しようとするが、同じ孤児院で姉妹同然に育った、親友イルザに聖女の立場を乗っ取られてしまう。
「私こそが聖女なの。惨めな孤児院生活とはおさらばして、私はお城で良い生活を送るのよ」
イルザは悪びれず私に言い放った。
でも私、どうやらただの聖女じゃないらしいよ?
※こちらの作品は『小説家になろう』にも投稿しています
婚約破棄と追放をされたので能力使って自立したいと思います
かるぼな
ファンタジー
突然、王太子に婚約破棄と追放を言い渡されたリーネ・アルソフィ。
現代日本人の『神木れいな』の記憶を持つリーネはレイナと名前を変えて生きていく事に。
一人旅に出るが周りの人間に助けられ甘やかされていく。
【拒絶と吸収】の能力で取捨選択して良いとこ取り。
癒し系統の才能が徐々に開花してとんでもない事に。
レイナの目標は自立する事なのだが……。
戦地に舞い降りた真の聖女〜偽物と言われて戦場送りされましたが問題ありません、それが望みでしたから〜
黄舞
ファンタジー
侯爵令嬢である主人公フローラは、次の聖女として王太子妃となる予定だった。しかし婚約者であるはずの王太子、ルチル王子から、聖女を偽ったとして婚約破棄され、激しい戦闘が繰り広げられている戦場に送られてしまう。ルチル王子はさらに自分の気に入った女性であるマリーゴールドこそが聖女であると言い出した。
一方のフローラは幼少から、王侯貴族のみが回復魔法の益を受けることに疑問を抱き、自ら強い奉仕の心で戦場で傷付いた兵士たちを治療したいと前々から思っていた。強い意志を秘めたまま衛生兵として部隊に所属したフローラは、そこで様々な苦難を乗り越えながら、あまねく人々を癒し、兵士たちに聖女と呼ばれていく。
配属初日に助けた瀕死の青年クロムや、フローラの指導のおかげで後にフローラに次ぐ回復魔法の使い手へと育つデイジー、他にも主人公を慕う衛生兵たちに囲まれ、フローラ個人だけではなく、衛生兵部隊として徐々に成長していく。
一方、フローラを陥れようとした王子たちや、配属先の上官たちは、自らの行いによって、その身を落としていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる