24 / 58
第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する
挿話6 戸惑う剣聖の息子アルフレッド
しおりを挟む
「ソフィアが……いや、ソフィア様が聖女だと!?」
「ちょっと、ソフィア様とか止めてよ。私はお淑やかではなくて、静かでもくて、すぐに怒る優しく無い女の子なんでしょ?」
うわ……さっき俺が言った事、めちゃくちゃ怒ってるじゃないか。
本当にあの聖女様なのか?
だけど、確かに顔はそっくり……というか、同じだし、名前もソフィアだしな。
「ソフィア……双子の姉とか居たりするのか?」
「居ないけど……それは一体どういう意味かしら?」
「いや、何でもない。気にしないでくれ」
ちょっと確認しただけなのに、ソフィアが目元が笑っていない笑みを浮かべる。
あの聖女様は、これくらいで怒るとは思えない。
何故なら、忘れもしない三年前。十三歳の頃の俺は、物凄く調子に乗っていた時期で、聖女様にとんでもない事をしでかしている。
だけど、聖女様はそんな俺に一切怒る事なく、優しく微笑んでくれて……
「そうだ! ソフィア。治癒魔法とか使えたりするのか?」
「あの、アルフレッドさん。ソフィアさんは聖女ですよ? 治癒魔法どころか、悪魔すら瞬殺しますよ? ボク、目の前で魔物を消滅させる所を見てますし」
「いや、アンタには聞いていない。俺はソフィアに聞いているんだ」
口を挟んできたテオドールとかいう奴を制して、ソフィアに向き直る。
すると、
「勿論使えるわよ?」
アッサリ肯定されてしまった。
「じゃあ……三年前、大聖堂に大火傷を負った男が運ばれて来た事があるんだが、知っているか?」
「三年前? 大火傷? ……あー、思い出した! 私が聖女に選ばれてすぐの頃だから、印象に残っているわ。ドラゴンと戦って、炎のブレスで全身を焼かれたっていう男の子が運ばれて来たのよね。治してあげたら、突然泣き出して……」
「ストーップ! そこまででいい。その少年の名前を覚えているか?」
「名前? んー、流石にそこまでは覚えてないけど、アレフとか、アレスとかって名前だったような気がするわね」
うわ……完璧だ。
剣聖の息子であり、剣で負け無しだった当時の俺は、魔物退治にも参加していて、自分の事を無敵だと勘違いしていた。
そんな時にドラゴンが現れ、反対する親父を無視して討伐隊に参加し……一太刀も振るう事なく死に掛けた。
剣聖の息子が瀕死だとも言えず、アレフという偽名で治癒してもらって目覚めた俺は、恐怖で号泣しながら聖女様に抱きついて、周囲の偉い人たちを凍り付かせ……全部合ってる!
一目見た時から好みだとは思っていたが、その理由がようやく分かった。
無意識の内に、命の恩人で初恋の人である聖女様に似ていると思っていたからか!
「ソフィア……分かった。改めて、俺の専属メイドになってくれ!」
「え……やだ」
何故だっ!?
おかしい。
親父からは、こう言えば好きな女を落とせると教えてもらったのに。貴族だけが使える、対平民女性用の必殺技だと。
「あの、アルフレッドさん? ソフィアさんに向かって何を言っているんですか? いくら剣聖の息子でも失礼ですよ!」
「失礼? 何故だ。俺は真剣だっ! 真剣にソフィアへメイドになって欲しいと申し込んでいるんだ。邪魔をするな!」
「えぇー。真剣に申込むって……ソフィア様は聖女ですよ? そんなソフィア様にメイドをさせるって、無茶苦茶ですよ」
む……言われてみれば確かに。
親父も、平民以外には使うなと言っていたな。
ソフィアは平民……だよな? というか、よく考えたら、聖女様がどうして魔法学校に居るんだ?
「ソフィア。ソフィアが聖女様だという前提で聞くけど、どうして魔法学校へ入学したんだ?」
「え? えーっと、まぁその色々あったのよ」
「アルフレッドさん。女性に過去を聞くのは失礼ですよ」
え? これも失礼なのか?
メイドを雇う時は、普通これまでの経歴とかを聞くだろ?
くっ……平民の感覚が分からねぇっ!
「ちょっと、ソフィア様とか止めてよ。私はお淑やかではなくて、静かでもくて、すぐに怒る優しく無い女の子なんでしょ?」
うわ……さっき俺が言った事、めちゃくちゃ怒ってるじゃないか。
本当にあの聖女様なのか?
だけど、確かに顔はそっくり……というか、同じだし、名前もソフィアだしな。
「ソフィア……双子の姉とか居たりするのか?」
「居ないけど……それは一体どういう意味かしら?」
「いや、何でもない。気にしないでくれ」
ちょっと確認しただけなのに、ソフィアが目元が笑っていない笑みを浮かべる。
あの聖女様は、これくらいで怒るとは思えない。
何故なら、忘れもしない三年前。十三歳の頃の俺は、物凄く調子に乗っていた時期で、聖女様にとんでもない事をしでかしている。
だけど、聖女様はそんな俺に一切怒る事なく、優しく微笑んでくれて……
「そうだ! ソフィア。治癒魔法とか使えたりするのか?」
「あの、アルフレッドさん。ソフィアさんは聖女ですよ? 治癒魔法どころか、悪魔すら瞬殺しますよ? ボク、目の前で魔物を消滅させる所を見てますし」
「いや、アンタには聞いていない。俺はソフィアに聞いているんだ」
口を挟んできたテオドールとかいう奴を制して、ソフィアに向き直る。
すると、
「勿論使えるわよ?」
アッサリ肯定されてしまった。
「じゃあ……三年前、大聖堂に大火傷を負った男が運ばれて来た事があるんだが、知っているか?」
「三年前? 大火傷? ……あー、思い出した! 私が聖女に選ばれてすぐの頃だから、印象に残っているわ。ドラゴンと戦って、炎のブレスで全身を焼かれたっていう男の子が運ばれて来たのよね。治してあげたら、突然泣き出して……」
「ストーップ! そこまででいい。その少年の名前を覚えているか?」
「名前? んー、流石にそこまでは覚えてないけど、アレフとか、アレスとかって名前だったような気がするわね」
うわ……完璧だ。
剣聖の息子であり、剣で負け無しだった当時の俺は、魔物退治にも参加していて、自分の事を無敵だと勘違いしていた。
そんな時にドラゴンが現れ、反対する親父を無視して討伐隊に参加し……一太刀も振るう事なく死に掛けた。
剣聖の息子が瀕死だとも言えず、アレフという偽名で治癒してもらって目覚めた俺は、恐怖で号泣しながら聖女様に抱きついて、周囲の偉い人たちを凍り付かせ……全部合ってる!
一目見た時から好みだとは思っていたが、その理由がようやく分かった。
無意識の内に、命の恩人で初恋の人である聖女様に似ていると思っていたからか!
「ソフィア……分かった。改めて、俺の専属メイドになってくれ!」
「え……やだ」
何故だっ!?
おかしい。
親父からは、こう言えば好きな女を落とせると教えてもらったのに。貴族だけが使える、対平民女性用の必殺技だと。
「あの、アルフレッドさん? ソフィアさんに向かって何を言っているんですか? いくら剣聖の息子でも失礼ですよ!」
「失礼? 何故だ。俺は真剣だっ! 真剣にソフィアへメイドになって欲しいと申し込んでいるんだ。邪魔をするな!」
「えぇー。真剣に申込むって……ソフィア様は聖女ですよ? そんなソフィア様にメイドをさせるって、無茶苦茶ですよ」
む……言われてみれば確かに。
親父も、平民以外には使うなと言っていたな。
ソフィアは平民……だよな? というか、よく考えたら、聖女様がどうして魔法学校に居るんだ?
「ソフィア。ソフィアが聖女様だという前提で聞くけど、どうして魔法学校へ入学したんだ?」
「え? えーっと、まぁその色々あったのよ」
「アルフレッドさん。女性に過去を聞くのは失礼ですよ」
え? これも失礼なのか?
メイドを雇う時は、普通これまでの経歴とかを聞くだろ?
くっ……平民の感覚が分からねぇっ!
1
お気に入りに追加
3,526
あなたにおすすめの小説
聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。
魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。
『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
国の王子から婚約破棄&国外追放。追放された国で聖女の力に目覚めた私は神様になる。
夜にすみたい
ファンタジー
いきなり婚約破棄&国外追放を言い渡された聖女の候補の妖夢。
追放先で聖女の力に目覚めた私は神様に拾われ「次の世代の神になれ」と言われた。
その国の王子とも気が合いそうでうれしかったけどいきなり故郷の王子がきた。
「聖女妖夢よ!今帰ってくれば私との婚約破棄を無かったことにしてやろう!」
「何言ってるんですか?無理ですよ。私、半分竜ですから。」
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
親友に裏切られ聖女の立場を乗っ取られたけど、私はただの聖女じゃないらしい
咲貴
ファンタジー
孤児院で暮らすニーナは、聖女が触れると光る、という聖女判定の石を光らせてしまった。
新しい聖女を捜しに来ていた捜索隊に報告しようとするが、同じ孤児院で姉妹同然に育った、親友イルザに聖女の立場を乗っ取られてしまう。
「私こそが聖女なの。惨めな孤児院生活とはおさらばして、私はお城で良い生活を送るのよ」
イルザは悪びれず私に言い放った。
でも私、どうやらただの聖女じゃないらしいよ?
※こちらの作品は『小説家になろう』にも投稿しています
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる