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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する

第16話 お昼休み

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 一体何が悪かったのだろうか。
 題材が悪かった? 皆は悪魔とか、あんまり見た事がないのだろうか。
 でも、この前マルクがバフォメットを召喚していたし、知っている人は知っていると思うんだけど。
 け、決して、私の造形が悪かった訳でない……と思う。
 そんな事を考えながら、今日は午後まで授業があるので、初めて学食を利用する。

「えーっと、日替りランチのAセットをお願いします」

 学生寮のご飯は美味しかったし、きっと学食も美味しいはず! と、期待に胸を膨らませながら、受け取ったトレイを持って、適当な席へ。
 予想通り、美味しいお昼ご飯に舌鼓を打っていると、

「あの、ここ……良いですか?」

 可愛らしい男の子がトレイを持って話し掛けてきた。

「……おい、あいつマジで行ったぞ!?」
「……あの女の子って、剣聖の息子から……後でどうなっても知らねーぞ!?」
「……いや、確かに綺麗だけど、Sクラスだぜ!? 高嶺の花だって!」

 何故が周囲から視線を感じるけれど、それよりも何よりも、目の前に座った男の子が、食事に手をつけず、ジッと私の顔を見つめてくる。
 何だろう。何か付いてるのかな? さっきの粘土とか?
 そんな事を考えていると、男の子がずぃっと前に身を乗り出し、

「あ、あの……人違いだったら申し訳ないのですが、もしかして聖女様ではありませんか?」
「……えーっと、私の事かな?」
「はい。その……物凄く似ているというか、ご本人としか思えないんです」

 どうしよう。
 別に隠している訳ではないから、正直に答えても良いんだけど、何故かヴィクトール先生が、神聖魔法が使える事を言わないで欲しそうなのよね。
 ……あ、でも、元聖女だっていう事を言うなとは言われてないわね。
 じゃぁ、別に良いのかな?

「んー、今は聖女ではないから、元聖女よ?」
「やっぱり! ボク、聖女様に魔物から助けて貰った事があって……あの時は、本当にありがとうございました」
「あはは。気にしないで。聖女の勤めとして、当然の事を行ったまでだから」

 いやー、悪いけど本気で気にしないで欲しい。
 頻繁に悪魔退治や幽霊退治とかをしていたから、誰を助けたとか、一人一人は覚えてないんだよね。

「あの、聖女様は……やっぱりSクラスなんですよね?」
「えぇ。そうだけど……えっと、元聖女であって、今の私は聖女じゃないの。だから、その呼び方はちょっとダメかな」
「で、でしたら……そ、ソフィア様とお呼びしても良いでしょうか?」
「良いけど、様は要らないわよ。それと……どうして私の名前を知っているの?」
「それは……Sクラスの女子が一人だけだったので」

 あー、アルフレッドと同じパターンね。
 という事は、あの(仮)も見られて……

「って、あら? 貴方はSクラスじゃないのに、どうしてSクラスの名前をチェックしているの?」
「そりゃあ皆チェックしますよ。学年トップのクラスですし、次のクラス選定では、Sクラスに上がってみせるって息巻いていますし」

 つまり、尚更(仮)が目立っているって事ね。
 私も次で(仮)を外して貰わなきゃ。

「あの……ソフィアさん。出来ればで良いんですけど、ボクに魔法を教えてくれませんか? ボク、聖女様と同じクラスになりたいんです」
「私で良ければ構わないわよ。やっぱり一番上を目指したいもんね」
「いえ、そういう訳ではなくて、ボクは命の恩人のソフィアさんに憧れているので。さっきの技術の授業でソフィアさんを見た時、同じ学校で、同じ学年だったのかって、感動していたんです」
「そ、そうなんだ。と、とりあえず、私も魔法の勉強はしたいし、頑張りましょうね」
「はい! 是非、お願いしますっ! あっ……ボク、テオドールって言います。では、また放課後に!」

 魔法学校二日目で、他のクラスに知り合いが出来た。
 
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