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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する

第15話 お題は幻獣

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「ちょっと! 他のクラスの人を驚かせるような事しないの!」
「えぇー。俺はソフィアの為と思って……」
「いいから、席に着きなさいよ。先生も困っているでしょ!」

 まったく。
 アルフレッドのせいで、変に目立っちゃったじゃない。

「……さっきの赤髪の人って、あの剣聖の息子だよな?」
「……あぁ。ドラゴンと戦ったっていう凄い人だろ?」
「……その凄い人を尻に敷いているって、あの女の子は何者なんだ?」

 ヒソヒソと誰かの話し声が聞こえてきたけど、尻に敷くですって?
 私がアルフレッドを?
 どういう事? 私は自分の席に座っているし、アルフレッドは隣に座っている。
 私はアルフレッドに腰掛けたりしていないんだけど。
 不思議に思いながらも、先生が話し始めたので、そちらに集中する事に。

「……という訳で、既に担任から聞いているかと思いますが、主には錬金魔法の上達。また、少し召喚魔法の能力向上にも繋がるかと思います。では、今日は初日ですので、簡単な事から始めてみましょう」

 そう言って、先生が何かを取り出し、皆に見せる。

「今、作業台に五人ずつ座ってもらっていますが、その作業台の真ん中に、これと同じ粘土を置いています。おそらく、幼少の頃に誰もが触った事があると思います。今日は、これを使って好きな生物を作ってください」

 え……? 粘土……って何?
 見た感じは土だけど……要は、土で生き物を作れって事?

「そうそう。言い忘れていましたが、皆さんは幼児ではないので、それなりのクオリティは要求しますので。あと、魔法学校の生徒ですし、出来れば何らかの幻獣を題材にして欲しいですね。それでは、始めてください」

 困惑しながらも、作業台に置かれている、四角い粘土を手に取る。
 五つ置かれているので、一人一つという事だろう。
 ……何だか、ヒンヤリしたかんじで、かなり湿った変な感じの土を手にしながら、何を作るか考えてみる。
 幻獣かぁ。今日召喚した妖精か、リュカが召喚していた子供ドラゴンくらいしか見た事ないけど、どっちも一度見ただけだから、細部が分からない。
 だけど、ふと気付けば、同じ作業台で悩んでいるのは私だけで、他の四人は既に何かを作り始めていた。

「アルフレッドは何を作っているの?」
「ん? そんなの教えたら面白くないだろ? 出来てからのお楽しみだ」

 うぅ……けち。
 教えてくれても良いのに。
 じゃあマルクは……あ、見ようとしたら隠された。
 だったら、他のクラスの人は……うーん、まだ作り始めたばかりだから、何を作っているか分からないわね。
 仕方がない。幻獣では無いけれど、一番良く見てきた生き物を作りましょう。
 先ずは顔から……そして、次は身体。
 手と足が……こんな感じね。
 うん……中々良いんじゃないかしら。初めて作ったにしては、上出来ね。

「そろそろ、良いでしょうか。では、同じ作業台のグループ内で、互いに作った物を見せ合いましょう」

 作り終わって一息ついたところで、作業終了となり、他の人のを皆で見る事に。

「先ずはアルフレッドの……凄い。ドラゴンね」
「ふっふっふ。実際に戦ったしな。近くで見たから、細部まで細かく作ったぜ」
「チッ……」

 意外に手先が器用なのか、アルフレッドが作った物は一目でドラゴンだと分かる代物だった。
 ただ、何故かマルクが小さく舌打ちしていたけど。

「次は……えっ!? めちゃくちゃリアルなユニコーン!」
「ふはははっ! 馬は見慣れているからな。それに角をつければ、ユニコーンだ」
「なるほど。けど、それよりもマルクって、手先が器用なのね。すっごく上手」
「ふははははっ! 当然だっ! 俺様は何でも出来るオールラウンダーだからなっ!」

 今にも動きだしそうなユニコーンを見て、

「くっ……やるじゃねーか」

 アルフレッドが対抗心を燃やしだす。
 ふふっ。けど、私だって負けないんだから!

「じゃあ、次は私ねっ! どうかしらっ!」

 自信満々で私が作った物を見せ、

「……うん。見事なクラーケンだよな」
「……クラーケンだと? これはタコではないのか?」

 何故か海の魔物と間違われる。

「違うわよっ! 悪魔よ、悪魔」
「……そ、そうだな。あ、悪魔……かな」
「いや、どう見ても、死にかけたタコだろ」

 どういう訳か、アルフレッドもマルクも悪魔だと認識してくれないので、他のクラスの二人にも聞いてみたけど、

「良く言えば……クラゲ?」
「ちょっと歪なヒトデかと思いました」

 どうして誰も分かってくれないのよーっ!
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