めでたく婚約破棄で教会を追放されたので、神聖魔法に続いて魔法学校で錬金魔法も極めます。……やっぱりバカ王子は要らない? 返品はお断りします!

向原 行人

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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する

第11話 Sクラス魔法対決

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 日が昇る前の、まだ薄暗い朝。
 新しい自室となった、寮のベッドで起床すると、いつもの様に神様へお祈りを捧げ……って、しまった。また、やってしまった。
 バカ王子とシャルロットに教会を追い出され、早数日が過ぎているというのに、数年間続いた習慣だからか、未だに起床と共にお祈りを捧げてしまう。

「……シャルロットは、ちゃんと毎朝お祈りをしているのかしら」

 大昔の聖女が、一日お祈りをしなかった事があったらしく、その時は国に災いが起こった……などという言い伝えがある。
 本来この世界は酷い状態にあるのだけど、聖女が神に祈りを捧げる事によって、神が人々に安らぎを与えてくれているのだ。
 具体的に何が起こるのかは知らないけれど、聖女と呼ばれる者の祈りは特別らしく、絶対に欠いてはいけない……それが教会の教えだった。
 シャルロットは朝が弱かった気がする……と、今更ながらに思い出しながら、準備を済ませて、学校へ。

……

「では、これで朝のホームルームを終わります」

 今日もクラスメイトの一人が欠席だという話以外は、特に何もないホームルームが終わった所で、

「ふははははっ! 皆の者、俺様から一つ提案がある! せっかくSクラスという、魔法学校の成績トップの者たちが集まっているのだ。この中での順位を明確にしたいとは思わぬか!?」

 いきなりバカ……もといマルクが意味不明な事を言い出した。

「マルクく……様。やめておいた方が良いと思いますよ。それに、学校側としては、入学試験でハッキリと分かっていますし」
「ふふ……だが、その学校側が付けた順位は本当に妥当なものなのか? そこれは、純粋な魔法の実力以外の順位付けがなされているのではないのか?」
「……だからこそ、やめておいた方が……」
「そこでだ。俺様が正しい順位を決める為の方法を考えて来た。これを、ここに居る生徒四人で行おうではないか」

 マルクがどこからともなく大きな巻物を取り出し、それを広げると、三つ何かが書かれている。
 一応読んでみると、「攻撃魔法の射程測定」、「攻撃魔法の発動速度測定」、「攻撃魔法の威力測定」……って、全部攻撃魔法なのね。

「俺は面倒臭いからパス」
「……興味ない」
「やりたければ、お一人でどうぞ」

 アルフレッド、リュカ、私……と、全員が拒否すると、

「ふはははは……やはりな。これで明らかになった。剣聖の息子と名高いアルフレッドは、魔法が使えないのであろう。だが、父親の威光だけで入学し、かつSクラスに入ったのだな!」
「お前なぁ。言っておくが、この学校へ入学したのは俺の意志だ。親父は関係無いどころか、入学には反対されたんだが」
「そして、平民の女。お前は魔法を使っておらず、何かイカサマをしているのであろう! だから、このようなシンプルな魔法勝負には参加出来ないのだ!」

 アルフレッドと私に何やら文句をつけて来た。

「あの……昨日一緒に授業を受けたでしょ? あと、私は攻撃魔法っていうのは得意じゃないから。入学試験の実技だって、神……」
「げふんげふんげふん!」
「……えーっと、攻撃魔法は使っていないわ」

 ヴィクトール先生……どうして神聖魔法を使えるって言っちゃダメなのかしら。
 すっかり忘れていたけど、昨日の自主勉強会の時に聞いておけば良かった。

「ふっ……ついに馬脚を露わしたな! 攻撃魔法を使っていないという事は、該当する魔法は錬金魔法か召喚魔法となるが、お前は昨日、どちらも使った事が無いと言っていたではないか!」
「その通りだけど?」
「つまりお前は、普段から虚言癖があるという事だ! ならば、光魔法を使ったというのも嘘で、何かしらの仕掛けがあると考えるのが妥当であろう」

 えぇ……神聖魔法の存在は完全に除外されているのね。
 攻撃魔法ではないけど、悪魔を倒した退魔魔法を昨日目の前で使っているのに。

「という訳で、本日の錬金魔法の授業時間をいただきたい。構わんだろう?」
「……僕は止めましたからね?」
「ふははははっ! 学校側としては真の順位が公になると不味いのかもしれぬが、安心するが良い。あくまで、このSクラスでの順位だ。この結果を使って学校へ何かをしようという訳ではないからな」

 ヴィクトール先生がマルクの権力? の前に折れてしまい、よく分からない順位付けをする事になってしまった。
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