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第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する
挿話3 渾身の魔法を打ち砕かれた貴族マルク=ロレーヌ
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「す、凄い。この学校で長年召喚魔法を教えていますが、子供とはいえ、ドラゴンを召喚した一年生は初めてですね」
召喚魔法の授業で、女教師がよく分からない事を言い出した。
ドラゴンを召喚だと?
ふっ! 何を言い出したかと思えば、よりによってドラゴンを召喚だなんて、そんなの有り得ないだろう。
大きな鳥の幻獣と見間違え……
「な、何だと!?」
確かに、アレはドラゴンだ。
かつて冒険者が王宮に献上したという竜の卵が孵化し、ドラゴンの雛が孵った……と、まだ俺が幼い頃に王族が騒ぎだし、父上にねだって見学させてもらいに行った事がある。
あの時に見たドラゴンの雛と比べると、二回りほど大きいが、ドラゴンの子供に違いないだろう。
しかも、召喚後に何も指示をしなくても、そこに居続けるという事は、子供ドラゴンはあの男の使い魔になっているという事だ。
くっ……羨ましい。
俺が欲しい物、第一位である格好良い光魔法と、第二位であるドラゴンのペット……その両方が、俺ではなく、今日会ったばかりの者が所有している。
悔しい。欲しい。奪ってでも手に入れたい。
そんな想いが俺の頭の中をグルグルと回っていると、
――ならば、奪えばよい――
ふと、どこかで聞いた事のある声が聞こえてきた。
――欲しい物は、力づくで奪い取る。上に立つ者は、それが許される。そうする権利を持っている――
これはどこで聞いたのだろうか。
確か子供の頃……王宮で父上と逸れて道に迷い、書庫へ入った時に、本に呼ばれた気がして……そうだ。闇色に輝く本があって、俺はそれを開き……本に封印されていた、悪魔の召喚方法を見たんだ。
そう……この魔法陣を描けば、悪魔が召喚出来る!
あの時は、まだ魔法の事がよく分かって居なかったが、今なら出来るはずだっ!
かつての記憶が俺を突き動かし、
「ふははははっ! 俺様の召喚魔法はどうだっ! ドラゴンの子供? そんな雑魚とは比べ物にならないだろう! 見よ、バフォメットだ!」
大悪魔バフォメットが呼び出された。
バフォメットと言えば、かつて世界を恐怖で包み込んだ伝説の悪魔であり、驚異的な強さと凶悪性を持っている。
ふははは……やはり、俺様には召喚魔法の才能があるのだ!
他の誰がこのような悪魔を召喚出来る?
この場に居る全員が俺とバフォメットに釘付けとなっているのは、非常に気分が良い。
そう思った直後、教室が一瞬白く光り輝く。
何事かと思った直後には、
「おぉぉぉ……バカな。我を一撃で倒す程の力だと……」
白い光と共に、バフォメットが消えてしまった。
「な……一体何が起こった!? どういう事なのだっ!?」
「今の、悪魔でしょ? 制御出来ている感じもしなかったし、消させてもらったわよ」
「はぁっ!? 貴様は、何を言っているのだ!? 大悪魔バフォメットだぞ!? 消させてもらった……とは、どういう意味だっ!」
「そのままの意味だけど。あのままだと、貴方……殺されていたわよ?」
この平民の女は何を言っているんだ?
制御出来て居ない?
召喚魔法で呼び出したのだ。制御出来ているに決まっているだろうが。
それに、バフォメットを一撃で倒すなど、聖女様ならともかく、こんな女に出来る訳がない!
だが、バフォメットが消滅した理由も分からずにいると、
「あー、疲れた! やっと着いた! 気付いたら、全然知らない場所に居たんだけど、マジで何だったんだよ!」
「誰だ!? って、アルフレッド……様!?」
「お、一人増えてるんだな。なんか、俺の事を知ってるみたいだけど、よろしく頼む」
どういう訳か、あの剣聖の息子、アルフレッドが教室に入ってきた。
超有名人に、ドラゴンを召喚する奴、それから光魔法を使う平民の女。
このクラスは、一体どうなっているんだ!?
召喚魔法の授業で、女教師がよく分からない事を言い出した。
ドラゴンを召喚だと?
ふっ! 何を言い出したかと思えば、よりによってドラゴンを召喚だなんて、そんなの有り得ないだろう。
大きな鳥の幻獣と見間違え……
「な、何だと!?」
確かに、アレはドラゴンだ。
かつて冒険者が王宮に献上したという竜の卵が孵化し、ドラゴンの雛が孵った……と、まだ俺が幼い頃に王族が騒ぎだし、父上にねだって見学させてもらいに行った事がある。
あの時に見たドラゴンの雛と比べると、二回りほど大きいが、ドラゴンの子供に違いないだろう。
しかも、召喚後に何も指示をしなくても、そこに居続けるという事は、子供ドラゴンはあの男の使い魔になっているという事だ。
くっ……羨ましい。
俺が欲しい物、第一位である格好良い光魔法と、第二位であるドラゴンのペット……その両方が、俺ではなく、今日会ったばかりの者が所有している。
悔しい。欲しい。奪ってでも手に入れたい。
そんな想いが俺の頭の中をグルグルと回っていると、
――ならば、奪えばよい――
ふと、どこかで聞いた事のある声が聞こえてきた。
――欲しい物は、力づくで奪い取る。上に立つ者は、それが許される。そうする権利を持っている――
これはどこで聞いたのだろうか。
確か子供の頃……王宮で父上と逸れて道に迷い、書庫へ入った時に、本に呼ばれた気がして……そうだ。闇色に輝く本があって、俺はそれを開き……本に封印されていた、悪魔の召喚方法を見たんだ。
そう……この魔法陣を描けば、悪魔が召喚出来る!
あの時は、まだ魔法の事がよく分かって居なかったが、今なら出来るはずだっ!
かつての記憶が俺を突き動かし、
「ふははははっ! 俺様の召喚魔法はどうだっ! ドラゴンの子供? そんな雑魚とは比べ物にならないだろう! 見よ、バフォメットだ!」
大悪魔バフォメットが呼び出された。
バフォメットと言えば、かつて世界を恐怖で包み込んだ伝説の悪魔であり、驚異的な強さと凶悪性を持っている。
ふははは……やはり、俺様には召喚魔法の才能があるのだ!
他の誰がこのような悪魔を召喚出来る?
この場に居る全員が俺とバフォメットに釘付けとなっているのは、非常に気分が良い。
そう思った直後、教室が一瞬白く光り輝く。
何事かと思った直後には、
「おぉぉぉ……バカな。我を一撃で倒す程の力だと……」
白い光と共に、バフォメットが消えてしまった。
「な……一体何が起こった!? どういう事なのだっ!?」
「今の、悪魔でしょ? 制御出来ている感じもしなかったし、消させてもらったわよ」
「はぁっ!? 貴様は、何を言っているのだ!? 大悪魔バフォメットだぞ!? 消させてもらった……とは、どういう意味だっ!」
「そのままの意味だけど。あのままだと、貴方……殺されていたわよ?」
この平民の女は何を言っているんだ?
制御出来て居ない?
召喚魔法で呼び出したのだ。制御出来ているに決まっているだろうが。
それに、バフォメットを一撃で倒すなど、聖女様ならともかく、こんな女に出来る訳がない!
だが、バフォメットが消滅した理由も分からずにいると、
「あー、疲れた! やっと着いた! 気付いたら、全然知らない場所に居たんだけど、マジで何だったんだよ!」
「誰だ!? って、アルフレッド……様!?」
「お、一人増えてるんだな。なんか、俺の事を知ってるみたいだけど、よろしく頼む」
どういう訳か、あの剣聖の息子、アルフレッドが教室に入ってきた。
超有名人に、ドラゴンを召喚する奴、それから光魔法を使う平民の女。
このクラスは、一体どうなっているんだ!?
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