めでたく婚約破棄で教会を追放されたので、神聖魔法に続いて魔法学校で錬金魔法も極めます。……やっぱりバカ王子は要らない? 返品はお断りします!

向原 行人

文字の大きさ
上 下
8 / 58
第1章 神聖魔法を極めた聖女。魔法学校へ入学する

第7話 神に選ばれし者?

しおりを挟む
「ふはは……待たせたな。ロレーヌ家の長男、マルク=ロレーヌである」

 騒がしいアルフレッドを転送した直後、何処かで聞いた事のある声が聞こえてきた。
 部屋の入り口に目を向けると、キラキラした如何にも貴族だといった感じの……って、この人、受験の時に騒いでいた人か。
 言動は最低だけど、Sクラスに入るだけの成績だったのね。

「これで、一先ず全員揃ったね。……いや、アルフレッドが居なくなったから揃ってないんだけど、とりあえず僕の自己紹介から始めるから、各自自己紹介をしていこう。最短でも半年は同じクラスだからね」

 半年は……そっか。半年毎のテストで、入学時みたいにクラスが変わるのね。
 ……って、もしかして私は、半年後まで(仮)のままって事!?

「改めて、皆さん入学おめでとう。諸事情で三人しか居ないけど、僕が君たちの担任のヴィクトール=ジェランだ。錬金魔法の授業では、直接指導するので、よろしく! ……じゃあ、教室へ来た順という事で、次はソフィア」
「えっと、私はソフィア=ロートレックです。色んな魔法を知りたいと思い、入学しました。唯一使える魔法は神……」
「げふんげふん!」
「……使える魔法は神……」
「げふんげふんげふんっ!」
「……よ、よろしくお願いします」

 何故か私が使える魔法を説明しようとしたら、ヴィクトール先生が、わざとらしく咳をする。
 神聖魔法が使える事を言うなって事かしら?

「では、次はリュカ」
「……リュカです。召喚魔法が好き」

 ん? 終わり? 今ので終わりなの?
 まだ続きがあるのかと思って一応目を向けていると、

「ふははははっ! 俺様は皆も知っているであろう、ロレーヌ侯爵家のマルクだ! 俺様は全ての魔法が得意だから、俺様と比較しショックを受ける事もあるかもしれん。だが、そこは生まれ持った才能の差だ。仕方ないと諦め、俺様を崇めるが良い」

 一番最後に来たマルクが自己紹介を始める。
 この人、言動は最低だけど、全ての魔法が使えるというのは、確かに凄いのかも。
 自分に自信があるからこそ、この言動だという事だろうか。
 ……とはいえ、ある程度は自重した方が良いと思うけど。

「では最初に、この学校の制服と教科書を配布します。あと、Sクラスの五人は、一人を除いて全員が魔法理論を理解しているので、この授業を割愛し、代わりに僕が錬金魔法の授業をします」

 えーっと、ヴィクトール先生が私をじっと見つめながら話をしてくる。
 これはつまり、私に錬金魔法を専門に勉強してね……っていう事かしら。
 まぁ神聖魔法以外使えないから、私としては別に構わないんだけどね。
 そんな事を思いつつ、渡された教科書を眺めてみると、基礎と書かれた様々な魔法の本があるのに、その中に神聖魔法の本は無い。
 そんなに難しい魔法でもないのに、何故だろう。

「ヴィクトール先生。配られた教科書の中に、神聖魔法が無いのは何故でしょうか」
「はっはっは。神聖魔法を学びたいなどと言うという事は、さては先程の唯一魔法理論を理解していない生徒というのがお前だな? だが、安心するが良い。このマルク様が教えてやろう。神聖魔法とは、神の魔法。つまり、神に選ばれし者にしか使えない魔法なのだ」
「神に選ばれし者?」
「そうだ。その為、全ての魔法が使える俺様が、唯一使えない魔法という訳だ」

 いや、だったら全ての魔法が使えるって言わない方が良いんじゃない?
 それに、教会の侍祭たちは、得手不得手はあるとしても、ほぼ全員が使えるんだけど。
 流石に間違っているのではないかしら。でないと、私も神に選ばれし者だなんて、大袈裟な事になっちゃうわよ? ……と、ヴィクトール先生に目を向けると、

「えー、まぁマルク君の説明は、遠からず近からず……」
「マルク……君?」
「……マルク様の言う通りですね。では、先ず僕が得意な錬金魔法の話をしましょう」

 言葉を濁した上に、様付けで呼ばされる。
 ……何だろう。明らかに様子がおかしいし、何かありそうね。
しおりを挟む
感想 166

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります

秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。 そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。 「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」 聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。

婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。

ぽっちゃりおっさん
恋愛
 公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。  しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。  屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。  【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。  差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。  そこでサラが取った決断は?

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様

岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです 【あらすじ】  カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。  聖女の名前はアメリア・フィンドラル。  国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。 「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」  そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。  婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。  ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。  そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。  これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。  やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。 〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。  一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。  普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。  だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。  カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。  些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。

聖女として豊穣スキルが備わっていたけど、伯爵に婚約破棄をされました~公爵様に救済され農地開拓を致します~

安奈
ファンタジー
「豊穣スキル」で農地を豊かにし、新鮮な農作物の収穫を可能にしていたニーア。 彼女は結婚前に、肉体関係を求められた婚約者である伯爵を拒否したという理由で婚約破棄をされてしまう。 豊穣の聖女と呼ばれていた彼女は、平民の出ではあったが領主である伯爵との婚約を誇りに思っていただけに非常に悲しんだ。 だがニーアは、幼馴染であり現在では公爵にまで上り詰めたラインハルトに求婚され、彼と共に広大な農地開拓に勤しむのだった。 婚約破棄をし、自らの領地から事実上の追放をした伯爵は彼女のスキルの恩恵が、今までどれだけの効力を得ていたのか痛感することになるが、全ては後の祭りで……。

《完結》国を追放された【聖女】は、隣国で天才【錬金術師】として暮らしていくようです

黄舞
恋愛
 精霊に愛された少女は聖女として崇められる。私の住む国で古くからある習わしだ。  驚いたことに私も聖女だと、村の皆の期待を背に王都マーベラに迎えられた。  それなのに……。 「この者が聖女なはずはない! 穢らわしい!」  私よりも何年も前から聖女として称えられているローザ様の一言で、私は国を追放されることになってしまった。 「もし良かったら同行してくれないか?」  隣国に向かう途中で命を救ったやり手の商人アベルに色々と助けてもらうことに。  その隣国では精霊の力を利用する技術を使う者は【錬金術師】と呼ばれていて……。  第五元素エーテルの精霊に愛された私は、生まれた国を追放されたけれど、隣国で天才錬金術師として暮らしていくようです!!  この物語は、国を追放された聖女と、助けたやり手商人との恋愛話です。  追放ものなので、最初の方で3話毎にざまぁ描写があります。  薬の効果を示すためにたまに人が怪我をしますがグロ描写はありません。  作者が化学好きなので、少し趣味が出ますがファンタジー風味を壊すことは無いように気を使っています。 他サイトでも投稿しています。

聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした

猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。 聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。 思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。 彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。 それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。 けれども、なにかが胸の内に燻っている。 聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。 ※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

処理中です...