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第28話 封じられたクララの力
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ソフィアと共に地下通路の先を進むと、
「フレイア!?」
「アルフレッド! 来てはダメだっ! 逃げるんだっ!」
フレイアがクララと同じように紐で縛られていた。
その側には中年のオッサンと、如何にも魔法使いですといった感じの女性が居る。
どちらもフレイアが遅れを取るような相手とは思えないのだが……とりあえず殴っておくか。
「ふはははっ! おい、そこの男よ! この聖女……グボぁぁぁっ!」
「なっ!? そこのお前! よくも公爵様をっ! というか止まれっ! でないと、聖女の……っ!? 話を聞……け」
公爵と女を戦闘不能にすると、女の手から何かが溢れた。
「あぁぁぁっ! アルフレッド! その魔石を……あぁぁぁぁぁっ!」
「ん? この割れた白い石か? ……あ、白く光らなくなったな」
「クララ様が……クララ様の力がぁぁぁっ!」
フレイアが物凄く叫ぶので、一旦落ち着かせて事情を聞くと、この女の力で、クララの聖女の力がこの白い石に吸い取られてしまったらしい。
その石を盾にされ、フレイアも手が出せなかったらしく……うん。壊れてしまったな。
「クララ、すまない」
「いえ、アルフレッド様のおかげで助かる事が出来ました。本当にありがとうございます。フレイアも、ありがとう。……ヒール」
一先ずクララとフレイアの縄を解くと、クララが治癒魔法でフレイアの傷を治す。
「あれ? クララの力は吸い取られたんじゃないのか?」
「はい。聖女としての力は使えなさそうですが、治癒魔法は普通に使えるようです」
「ん? 聖女の力って、その治癒魔法の事ではなかったのか?」
「えぇ、別の力です。聖女の力は、聖獣様の位置を知る為の力。聖獣様のお力をお借りしたいと、お願いをする際に必要なのです」
へぇー、聖獣なんてのが居るのか。
力を借りるっていうくらいだから、コミュニケーションが取れるんだよな?
姉さんみたいに人の言葉を話すのだろうか。
「ちなみに、その聖獣ってどんなのなんだ?」
「西の山辺りに住んでいらっしゃる、白虎様です」
「……えーっと、もしかして、その聖獣って女性というか、メスだったりする?」
「そうですね。確かめた訳ではありませんが、声は女性ですね」
「……あー、その聖獣なんだけど……俺、知り合いというか、物凄く良く知っているというか。ぶっちゃけ身内だわ」
「…………あの、どういう意味でしょうか? 聖獣様は白虎で……」
「いや、幼い頃に山へ捨てられた俺を、姉さん……白虎に助けてもらって、ここまで育ててもらったんだよ」
俺の身の上話を口にすると、静寂が辺りを包み込み……抱きしめられた!?
「アルフレッド様! 辛い時をお過ごしになられたのですね」
「え!? クララっ!?」
「何か私に出来る事があれば、何でも言ってくださいね」
えぇっ!? フレイアやソフィアのように、寝相が悪くて抱き枕にされている訳ではなくて、クララは自分の意思で俺を抱きしめてくれていて……えぇぇぇっ!?
「……私もアルフレッドを抱きしめに……」
「……フレイアさん。ここは空気を読む所ですよ……」
背後でフレイアとソフィアの声が聞こえたような気もするが……こほん。勘違いしてはダメだ。これは、幼少期に親から捨てられた俺へのただの同情。
姉さんだって、言っていたじゃないか。
『姉さんの教えその三――女性は優しいが故に、時に残酷。
アルが人間族の女性に優しくされたとしても、それは愛情ではなく、打算や一時の気の迷いという可能性もある。
十年も共にした我は別として、出会ってすぐの女性に優しくされ、自分に行為を抱いて居るなどと思わない事。
ただの誤解だった時に、傷つくのはアルフレッドなのだ』
そう。クララが俺を抱きしめて居るのは、俺が姉さんとの出会いを話してしまったからだ。
冷静になるんだ。
「……こ、こほん。とりあえず、クララが白虎に会う必要があるなら、会わせられると思うけど」
「ほ、本当ですか!? 是非、お願い致します。先日も白虎様の所へ向かおうとして、ドラゴンに襲われ、アルフレッド様に助けていただいたのです。なるべく早く白虎様のお力をお借りしたくて……」
「わかった。だが、この公爵だとか、気絶させた用心棒? みたいな奴らはどうしようか」
流石に、クララを攫っておいて無罪放免というのは俺が許せないのだが、
「それなら、騎士団に引き渡そう。その女性は私が運ぶから、アルフレッドは公爵を頼む」
フレイアの提案でこの者たちを騎士たちの詰所まで運ぶ事となった。
「フレイア!?」
「アルフレッド! 来てはダメだっ! 逃げるんだっ!」
フレイアがクララと同じように紐で縛られていた。
その側には中年のオッサンと、如何にも魔法使いですといった感じの女性が居る。
どちらもフレイアが遅れを取るような相手とは思えないのだが……とりあえず殴っておくか。
「ふはははっ! おい、そこの男よ! この聖女……グボぁぁぁっ!」
「なっ!? そこのお前! よくも公爵様をっ! というか止まれっ! でないと、聖女の……っ!? 話を聞……け」
公爵と女を戦闘不能にすると、女の手から何かが溢れた。
「あぁぁぁっ! アルフレッド! その魔石を……あぁぁぁぁぁっ!」
「ん? この割れた白い石か? ……あ、白く光らなくなったな」
「クララ様が……クララ様の力がぁぁぁっ!」
フレイアが物凄く叫ぶので、一旦落ち着かせて事情を聞くと、この女の力で、クララの聖女の力がこの白い石に吸い取られてしまったらしい。
その石を盾にされ、フレイアも手が出せなかったらしく……うん。壊れてしまったな。
「クララ、すまない」
「いえ、アルフレッド様のおかげで助かる事が出来ました。本当にありがとうございます。フレイアも、ありがとう。……ヒール」
一先ずクララとフレイアの縄を解くと、クララが治癒魔法でフレイアの傷を治す。
「あれ? クララの力は吸い取られたんじゃないのか?」
「はい。聖女としての力は使えなさそうですが、治癒魔法は普通に使えるようです」
「ん? 聖女の力って、その治癒魔法の事ではなかったのか?」
「えぇ、別の力です。聖女の力は、聖獣様の位置を知る為の力。聖獣様のお力をお借りしたいと、お願いをする際に必要なのです」
へぇー、聖獣なんてのが居るのか。
力を借りるっていうくらいだから、コミュニケーションが取れるんだよな?
姉さんみたいに人の言葉を話すのだろうか。
「ちなみに、その聖獣ってどんなのなんだ?」
「西の山辺りに住んでいらっしゃる、白虎様です」
「……えーっと、もしかして、その聖獣って女性というか、メスだったりする?」
「そうですね。確かめた訳ではありませんが、声は女性ですね」
「……あー、その聖獣なんだけど……俺、知り合いというか、物凄く良く知っているというか。ぶっちゃけ身内だわ」
「…………あの、どういう意味でしょうか? 聖獣様は白虎で……」
「いや、幼い頃に山へ捨てられた俺を、姉さん……白虎に助けてもらって、ここまで育ててもらったんだよ」
俺の身の上話を口にすると、静寂が辺りを包み込み……抱きしめられた!?
「アルフレッド様! 辛い時をお過ごしになられたのですね」
「え!? クララっ!?」
「何か私に出来る事があれば、何でも言ってくださいね」
えぇっ!? フレイアやソフィアのように、寝相が悪くて抱き枕にされている訳ではなくて、クララは自分の意思で俺を抱きしめてくれていて……えぇぇぇっ!?
「……私もアルフレッドを抱きしめに……」
「……フレイアさん。ここは空気を読む所ですよ……」
背後でフレイアとソフィアの声が聞こえたような気もするが……こほん。勘違いしてはダメだ。これは、幼少期に親から捨てられた俺へのただの同情。
姉さんだって、言っていたじゃないか。
『姉さんの教えその三――女性は優しいが故に、時に残酷。
アルが人間族の女性に優しくされたとしても、それは愛情ではなく、打算や一時の気の迷いという可能性もある。
十年も共にした我は別として、出会ってすぐの女性に優しくされ、自分に行為を抱いて居るなどと思わない事。
ただの誤解だった時に、傷つくのはアルフレッドなのだ』
そう。クララが俺を抱きしめて居るのは、俺が姉さんとの出会いを話してしまったからだ。
冷静になるんだ。
「……こ、こほん。とりあえず、クララが白虎に会う必要があるなら、会わせられると思うけど」
「ほ、本当ですか!? 是非、お願い致します。先日も白虎様の所へ向かおうとして、ドラゴンに襲われ、アルフレッド様に助けていただいたのです。なるべく早く白虎様のお力をお借りしたくて……」
「わかった。だが、この公爵だとか、気絶させた用心棒? みたいな奴らはどうしようか」
流石に、クララを攫っておいて無罪放免というのは俺が許せないのだが、
「それなら、騎士団に引き渡そう。その女性は私が運ぶから、アルフレッドは公爵を頼む」
フレイアの提案でこの者たちを騎士たちの詰所まで運ぶ事となった。
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