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第27話 VS用心棒
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「はぁっ!」
フレイアが剣を振るうと、こちらへ向かって飛んで来ていた炎の弾が掻き消える。
凄いな。フレイアは剣で魔法を打ち消せるのか。
さっき飛んで来たような、物理的な矢なら俺も止められるけど、魔法の矢とかで攻撃されたら避けるしかないだろうな。
「……いや、待てよ」
さっきフレイアがかき消した炎の弾もそうだけど、俺たちへの攻撃として来る魔法は、基本的に真っすぐ直線的に飛んで来ている。
つまり、その先に術者が居る訳で……あそこか!
敷地の奥に人影を見つけたので、足に白虎の力を使い……一瞬で距離を詰める。
「え……?」
「悪いな。少し眠ってくれ」
先ずは一人。一旦、フレイアとソフィアの元へ戻り、攻撃を防いで……二人見つけた。
先程と同様に、パパッと二人を戦闘不能にして、また戻る。
そんな事を何度か繰り返していると、魔法や弓矢での攻撃が無くなった。
「ん? もう攻撃してこないのか? ならば、次はこちらから行かせてもらう!」
フレイアが防御に専念する必要がなくなったからか、敷地内を一気に駆け抜け、屋敷の入口へ。
俺とソフィアも後に続き、
「敵襲だっ! 屋敷の中まで入って来たぞっ! 公爵様を地下へ! あと、先生をお呼びしろっ!」
屋敷内に居たゴロツキっぽい男たちが思いっきり公爵の居場所を叫んでいた。
……いや、流石に襲撃者へ主人の居場所を教えたりしないだろう。これは、地下に居ると思わせておいて、別の場所へ逃がす作戦ではないだろうか。
そう思ったのだが、
「アルフレッド、ソフィア。こっちだ!」
「わかった……が、どこへ向かっているんだ?」
「地下室だ。きっとそこにコルドバ公爵が居る。クララ様も、きっとそこに居るはずだっ!」
フレイアが下る階段を見つけ、自信満々に進んで行く。
とりあえず罠だと思うので止めようとしたのだが、
「クララ様っ!」
「フレイアっ! アルフレッドも!」
クララが居たよ。
えっと、この屋敷の護衛……かなりダメダメなのではないだろうか。
薄暗い通路で、クララが腕と腰を縄でグルグル巻きにされていて、その先端を中年のオッサンが引っ張っている。
おそらく、あのオッサンが公爵とやらだろう。
焦りながら、何かの魔法を使おうとしているので、さっさと眠ってもらおうと思ったんだけど、
「――ッ!?」
突然目の前に人影が現れ、ソフィアを抱きかかえて後ろに飛ぶ。
「今のを避けるのか……やるね」
「おぉっ! 先生っ! すみませんが、その者たちをお願い致します!」
「くっ……アルフレッド、すまない。私はクララ様を追う!」
前に居るフレイアに了解の意を伝え、俺は突然現れた黒い人影と対峙する事に。
改めてよく見てみると、鈍く光る短剣を手にした男が笑みを浮かべ、
「ふむ。君はアルフレッドと言うのか。僕の攻撃を避けた身体能力は惜しいが……これも仕事なんでね。悪いが……死んでもらうよっ!」
走って来た。
その足は大して速くはない……が、突然俺の目の前に現れる。
「クッ! 瞬間移動するみたいに、突然距離を詰めてくるのは厄介だな」
「ふふっ、二度も僕のスキルを避けたのは賛辞に値するよ。だけど、そっちの女の子は避けられるかな?」
「何っ!?」
「はっはっは、≪バックスタブ≫」
男がスキルらしきものを使った瞬間、その姿が消える。
これまでは現れた後に避けていただけで、残念ながらどこに現れるかは分からない。
ソフィアがあの攻撃を避けられるとは思えないので、ソフィアを守りつつ、あの男を倒すには……よし。ソフィアに抱きつき、俺が身を挺して盾になれば、男の短剣は俺の身体に刺さるはず。
その間に奴を殴ろう! そう決めてソフィアに抱きつくと、
「ソフィアっ!」
「あ、アルフレッドさん!? こ、こんな場所でですかっ!? も、もう少しムードを……えっ!? 一体、何処から……」
反応を見る限り、俺の背後に奴が現れたのだろう。
俺の背中に奴の短剣が刺さったら……あれ? 攻撃してこないのか? じゃあ、とりあえず殴っておくか。
「はぁっ!」
「ぐほぁっ!」
裏拳を放ち、何かが吹き飛んだ先を見てみると、奴が崩れ落ちていた。
俺としては助かったんだが、どうして攻撃してこなかったのだろうか。
とりあえず、男の様子を見に行くと、
「クソッ! まさかミスリル繊維を織り込んだ服を着ていたとはね。僕の短剣の方が折れるなんて」
「えっ? これは普通の布の服だが」
「あ、アルフレッドさん。背中の部分、服に穴が開いてます。でも、肌には傷一つついて無さそうですね」
ソフィアが俺の背中を撫でているが……あー、白虎の力で防御力も向上していたのか。
まぁ結果として無傷で良かった。
「あ、あの、アルフレッドさん。フレイアさんとクララさんを助けたら、その後に……も、もう一度抱きしめて欲しいなーなんて……」
ソフィアが小声で何か言っているが、その手を取り、フレイアを追いかける事にした。
フレイアが剣を振るうと、こちらへ向かって飛んで来ていた炎の弾が掻き消える。
凄いな。フレイアは剣で魔法を打ち消せるのか。
さっき飛んで来たような、物理的な矢なら俺も止められるけど、魔法の矢とかで攻撃されたら避けるしかないだろうな。
「……いや、待てよ」
さっきフレイアがかき消した炎の弾もそうだけど、俺たちへの攻撃として来る魔法は、基本的に真っすぐ直線的に飛んで来ている。
つまり、その先に術者が居る訳で……あそこか!
敷地の奥に人影を見つけたので、足に白虎の力を使い……一瞬で距離を詰める。
「え……?」
「悪いな。少し眠ってくれ」
先ずは一人。一旦、フレイアとソフィアの元へ戻り、攻撃を防いで……二人見つけた。
先程と同様に、パパッと二人を戦闘不能にして、また戻る。
そんな事を何度か繰り返していると、魔法や弓矢での攻撃が無くなった。
「ん? もう攻撃してこないのか? ならば、次はこちらから行かせてもらう!」
フレイアが防御に専念する必要がなくなったからか、敷地内を一気に駆け抜け、屋敷の入口へ。
俺とソフィアも後に続き、
「敵襲だっ! 屋敷の中まで入って来たぞっ! 公爵様を地下へ! あと、先生をお呼びしろっ!」
屋敷内に居たゴロツキっぽい男たちが思いっきり公爵の居場所を叫んでいた。
……いや、流石に襲撃者へ主人の居場所を教えたりしないだろう。これは、地下に居ると思わせておいて、別の場所へ逃がす作戦ではないだろうか。
そう思ったのだが、
「アルフレッド、ソフィア。こっちだ!」
「わかった……が、どこへ向かっているんだ?」
「地下室だ。きっとそこにコルドバ公爵が居る。クララ様も、きっとそこに居るはずだっ!」
フレイアが下る階段を見つけ、自信満々に進んで行く。
とりあえず罠だと思うので止めようとしたのだが、
「クララ様っ!」
「フレイアっ! アルフレッドも!」
クララが居たよ。
えっと、この屋敷の護衛……かなりダメダメなのではないだろうか。
薄暗い通路で、クララが腕と腰を縄でグルグル巻きにされていて、その先端を中年のオッサンが引っ張っている。
おそらく、あのオッサンが公爵とやらだろう。
焦りながら、何かの魔法を使おうとしているので、さっさと眠ってもらおうと思ったんだけど、
「――ッ!?」
突然目の前に人影が現れ、ソフィアを抱きかかえて後ろに飛ぶ。
「今のを避けるのか……やるね」
「おぉっ! 先生っ! すみませんが、その者たちをお願い致します!」
「くっ……アルフレッド、すまない。私はクララ様を追う!」
前に居るフレイアに了解の意を伝え、俺は突然現れた黒い人影と対峙する事に。
改めてよく見てみると、鈍く光る短剣を手にした男が笑みを浮かべ、
「ふむ。君はアルフレッドと言うのか。僕の攻撃を避けた身体能力は惜しいが……これも仕事なんでね。悪いが……死んでもらうよっ!」
走って来た。
その足は大して速くはない……が、突然俺の目の前に現れる。
「クッ! 瞬間移動するみたいに、突然距離を詰めてくるのは厄介だな」
「ふふっ、二度も僕のスキルを避けたのは賛辞に値するよ。だけど、そっちの女の子は避けられるかな?」
「何っ!?」
「はっはっは、≪バックスタブ≫」
男がスキルらしきものを使った瞬間、その姿が消える。
これまでは現れた後に避けていただけで、残念ながらどこに現れるかは分からない。
ソフィアがあの攻撃を避けられるとは思えないので、ソフィアを守りつつ、あの男を倒すには……よし。ソフィアに抱きつき、俺が身を挺して盾になれば、男の短剣は俺の身体に刺さるはず。
その間に奴を殴ろう! そう決めてソフィアに抱きつくと、
「ソフィアっ!」
「あ、アルフレッドさん!? こ、こんな場所でですかっ!? も、もう少しムードを……えっ!? 一体、何処から……」
反応を見る限り、俺の背後に奴が現れたのだろう。
俺の背中に奴の短剣が刺さったら……あれ? 攻撃してこないのか? じゃあ、とりあえず殴っておくか。
「はぁっ!」
「ぐほぁっ!」
裏拳を放ち、何かが吹き飛んだ先を見てみると、奴が崩れ落ちていた。
俺としては助かったんだが、どうして攻撃してこなかったのだろうか。
とりあえず、男の様子を見に行くと、
「クソッ! まさかミスリル繊維を織り込んだ服を着ていたとはね。僕の短剣の方が折れるなんて」
「えっ? これは普通の布の服だが」
「あ、アルフレッドさん。背中の部分、服に穴が開いてます。でも、肌には傷一つついて無さそうですね」
ソフィアが俺の背中を撫でているが……あー、白虎の力で防御力も向上していたのか。
まぁ結果として無傷で良かった。
「あ、あの、アルフレッドさん。フレイアさんとクララさんを助けたら、その後に……も、もう一度抱きしめて欲しいなーなんて……」
ソフィアが小声で何か言っているが、その手を取り、フレイアを追いかける事にした。
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