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第26話 コルドバ公爵の屋敷へ突撃
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クララが攫われたと聞き、フレイアと共に向かおうとして、
「あ、あの……私も一緒に行って良いのでしょうか? あ、足手纏いになりませんか?」
遠慮がちにソフィアが口を開く。
「ソフィアは足手纏いになんてならないよ。だけど危険だと思うなら、待っていてくれて構わない。無理強いは出来ないからさ」
「えっと、じゃあ私も一緒に行って良い……んですか?」
「あぁ。あと一緒に来るのであれば、何があってもソフィアは俺が守ってみせる。だから、心配しないでくれ」
不安そうなソフィアだったけど、その手を取ると、嬉しそうに握り返してきた。
なので、改めて出発しようとしたのだが、
「……アルフレッドは、私の事は護ってくれないのか?」
「もちろんフレイアも護るよ。フレイアには言わなくても伝わるかなって思っていたんだけど」
「そ、それはそうだが、その……お、思っている事は口に出して伝えて欲しいではないか」
何故かフレイアが口を尖らせ……一先ず出発する事に。
しかし、やはり女性との接し方は難しいな。前世を含めた人生の中で、一番長い時間を共に過ごしたフレイアでさえ、言葉にして伝えないと伝わらないのか。
男なら……というか弟たちは以心伝心で、何も言ってこなくても、腹が減っているとか眠たいとか、小遣いが欲しいとかっていうのが分かったものだが。
……あれ? 男だから分かったというより、弟だから分かったのか?
うーん。フレイアやソフィアを妹の様に思ってみると良いのだろうか。
「アルフレッド、ソフィア。貸切馬車に乗ろう。乗合馬車よりも早く着く」
「あ、あの。私、貸切馬車に乗れる程のお金が……」
「そんなもの、私が出すに決まっているだろう。それより早く乗ってくれ! ……すまんが、全速力でクァドロンの街まで頼む!」
俺たちが馬車に乗ると、すぐさまフレイアが御者に声を掛け、出発する。
前にクララと一緒に乗った馬車だが、ソフィアの話っぷりだと代金が高額のようだ。
俺も姉さんの山で狩った魔物の素材を換金出来ていないから、全くお金を持っていないんだが。
「フレイア。この馬車の代金だが、昨日拾ったドラゴンの鱗で足りるだろうか?」
「え? 馬車ごと買い取るのか? まぁ余裕で買えるが、置き場にも困るし、都度利用する形で良いのではないか?」
「え?」
「え?」
あれ? 俺はフレイアの言う街へ向かう為の代金の事を言っているのだが……まぁ払えるのであれば良いか。
「ところで、さっき言っていたクララを拐った疑いのあるコルドバ公爵というのは?」
「今向かっているクァドロンの街の領主だ。以前より黒い噂が絶えず、だが公爵という立場と、証拠を残さぬやり口の為、今まで手が出せずにいたのだ」
「ふむ……しかし、どうしてクララが狙わたんだ?」
「クララ様は聖女だからな。聖女の力を使えば、一国を滅ぼす事だって出来る。その力が欲しいのだろう」
聖女の力って、あの治癒魔法の事だろうか?
あれはあれで凄いけど、国を滅ぼすなんて……でも傷付いた兵士をすぐに戦線へ戻せるという意味では、強力といえば強力か。
でも、治癒魔法ではないけど、それに近い事は姉さんも出来たからな……俺は、その一部しか使えないけどさ。
それから、コルドバ公爵が召喚魔法とかいう魔法を使う者を雇ったという話を聞いたところで馬車が止まった。
「アルフレッド、ソフィア。着いたぞ。コルドバ公爵の居るクァドロンの街だ。ついて来てくれ」
フレイアが何処かへ向かって走って行くので、ソフィアと共について行く。
「ところで、どうするんだ?」
「決まっている! クララ様を拐ったのだから、正義はこちらにある! 正面突破だっ!」
「えぇぇっ!? フレイアさん!? というか、アルフレッドさんも、相手は公爵ですよっ!? あぁぁぁ、フレイアさーんっ!」
ソフィアの叫び声が響く中、フレイアが大きな門を斬り、公爵の屋敷と思われる敷地の中へ。
「我が名は剣聖フレイア! コルドバ公爵っ! 聖女クララ様を返してもらうっ!」
「ふ、フレイアさんっ!? 名前が同じだなーって思ってましたけど、あの剣聖本人だったんですかっ!? ま、まさかアルフレッドさんも、何か凄い人なんですかっ!?」
「いや、俺はただのアルフレッドだ。冒険者になったばかりの」
フレイアが大きな声で名乗りを上げた後、ソフィアと話をしていると、
「おっと。ソフィア、大丈夫か?」
「だ、大丈夫ですけど……アルフレッドさん。普通の冒険者は、横から飛んできた矢を指で挟んで止めたりしませんからーっ!」
飛んで来た矢からソフィアを守ったのに、絶叫されてしまった。
「あ、あの……私も一緒に行って良いのでしょうか? あ、足手纏いになりませんか?」
遠慮がちにソフィアが口を開く。
「ソフィアは足手纏いになんてならないよ。だけど危険だと思うなら、待っていてくれて構わない。無理強いは出来ないからさ」
「えっと、じゃあ私も一緒に行って良い……んですか?」
「あぁ。あと一緒に来るのであれば、何があってもソフィアは俺が守ってみせる。だから、心配しないでくれ」
不安そうなソフィアだったけど、その手を取ると、嬉しそうに握り返してきた。
なので、改めて出発しようとしたのだが、
「……アルフレッドは、私の事は護ってくれないのか?」
「もちろんフレイアも護るよ。フレイアには言わなくても伝わるかなって思っていたんだけど」
「そ、それはそうだが、その……お、思っている事は口に出して伝えて欲しいではないか」
何故かフレイアが口を尖らせ……一先ず出発する事に。
しかし、やはり女性との接し方は難しいな。前世を含めた人生の中で、一番長い時間を共に過ごしたフレイアでさえ、言葉にして伝えないと伝わらないのか。
男なら……というか弟たちは以心伝心で、何も言ってこなくても、腹が減っているとか眠たいとか、小遣いが欲しいとかっていうのが分かったものだが。
……あれ? 男だから分かったというより、弟だから分かったのか?
うーん。フレイアやソフィアを妹の様に思ってみると良いのだろうか。
「アルフレッド、ソフィア。貸切馬車に乗ろう。乗合馬車よりも早く着く」
「あ、あの。私、貸切馬車に乗れる程のお金が……」
「そんなもの、私が出すに決まっているだろう。それより早く乗ってくれ! ……すまんが、全速力でクァドロンの街まで頼む!」
俺たちが馬車に乗ると、すぐさまフレイアが御者に声を掛け、出発する。
前にクララと一緒に乗った馬車だが、ソフィアの話っぷりだと代金が高額のようだ。
俺も姉さんの山で狩った魔物の素材を換金出来ていないから、全くお金を持っていないんだが。
「フレイア。この馬車の代金だが、昨日拾ったドラゴンの鱗で足りるだろうか?」
「え? 馬車ごと買い取るのか? まぁ余裕で買えるが、置き場にも困るし、都度利用する形で良いのではないか?」
「え?」
「え?」
あれ? 俺はフレイアの言う街へ向かう為の代金の事を言っているのだが……まぁ払えるのであれば良いか。
「ところで、さっき言っていたクララを拐った疑いのあるコルドバ公爵というのは?」
「今向かっているクァドロンの街の領主だ。以前より黒い噂が絶えず、だが公爵という立場と、証拠を残さぬやり口の為、今まで手が出せずにいたのだ」
「ふむ……しかし、どうしてクララが狙わたんだ?」
「クララ様は聖女だからな。聖女の力を使えば、一国を滅ぼす事だって出来る。その力が欲しいのだろう」
聖女の力って、あの治癒魔法の事だろうか?
あれはあれで凄いけど、国を滅ぼすなんて……でも傷付いた兵士をすぐに戦線へ戻せるという意味では、強力といえば強力か。
でも、治癒魔法ではないけど、それに近い事は姉さんも出来たからな……俺は、その一部しか使えないけどさ。
それから、コルドバ公爵が召喚魔法とかいう魔法を使う者を雇ったという話を聞いたところで馬車が止まった。
「アルフレッド、ソフィア。着いたぞ。コルドバ公爵の居るクァドロンの街だ。ついて来てくれ」
フレイアが何処かへ向かって走って行くので、ソフィアと共について行く。
「ところで、どうするんだ?」
「決まっている! クララ様を拐ったのだから、正義はこちらにある! 正面突破だっ!」
「えぇぇっ!? フレイアさん!? というか、アルフレッドさんも、相手は公爵ですよっ!? あぁぁぁ、フレイアさーんっ!」
ソフィアの叫び声が響く中、フレイアが大きな門を斬り、公爵の屋敷と思われる敷地の中へ。
「我が名は剣聖フレイア! コルドバ公爵っ! 聖女クララ様を返してもらうっ!」
「ふ、フレイアさんっ!? 名前が同じだなーって思ってましたけど、あの剣聖本人だったんですかっ!? ま、まさかアルフレッドさんも、何か凄い人なんですかっ!?」
「いや、俺はただのアルフレッドだ。冒険者になったばかりの」
フレイアが大きな声で名乗りを上げた後、ソフィアと話をしていると、
「おっと。ソフィア、大丈夫か?」
「だ、大丈夫ですけど……アルフレッドさん。普通の冒険者は、横から飛んできた矢を指で挟んで止めたりしませんからーっ!」
飛んで来た矢からソフィアを守ったのに、絶叫されてしまった。
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