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第23話 旨過ぎるドラゴンステーキ
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「さて、何処が旨いんだろうな」
二度目のドラゴンを倒し、目の前に大きな肉があるんだけど、姉さんと一緒に暮らして居た頃もドラゴンを調理した事は無い。
山に熊は居てもドラゴンは居なかったからね。
とりあえず、仮に鶏みたいな感じだとすると、モモ肉が旨いのだろうか?
まぁ食べてみれば分かるか。
「フレイア。火を頼む」
「うむ、任せろ」
適当な石を板状に斬って、フレイアに火を点けてもらったら、ダッシュで調味料の代用品を取って来る。
次はフレイアが切り分けてくれた肉の中から、一番骨が少なそうな赤身の肉の塊を選び、塩コショウで下味を付けて、強火で焼く!
表面をしっかり焼いて旨味を閉じ込めたら、石板の端――火が弱いところでじっくり焼いて……出来たっ!
「うわ、旨っ! ドラゴンってメチャクチャ旨いんだなっ!」
「こ……これはっ! す、凄まじい……旨味が口の中に溢れるっ!」
「はぅぅ……美味し過ぎて、言葉が出ないですっ!」
ただ、塩コショウをして焼いただけなのに、こんなに旨いのかっ!
食べた事はないけど、日本でよく聞いた黒毛和牛とかの最高級品がこんな感じなのかもしれない。
……あ、あれ? 気付いたら、あっという間に食べ終わっていた。
「……もう一枚行くか」
「うむ! これは……止まらないな!」
「い、いいんですか!? 私、何もせずに食べてるだけですけど、こんなに美味しい物を良いんでしょうかっ!?」
フレイアは即答で。ソフィアはオロオロしているが、気にするなと声を掛け、今度は醤油の代用品とワサビ……と俺が勝手に呼んでいる植物をベースに作ったソースで食べてみる。
「こっちも旨いっ! 塩だけの方が肉の旨味がよく分かるが……これはこれでアリだなっ!」
「なっ!? こんな味のソースは初めてだっ! アルフレッド……一体、どれ程沢山の料理のレパートリーがあるんだ!?」
「アルフレッドさん……結婚しましょう! そして、毎日この料理を食べさせてください」
いや、ソフィア。流石に毎日ドラゴン料理は無理があるだろ。
あと、フレイアはどうしてそんな驚いた顔をしているんだ? 流石にソフィアの結婚しよう……は冗談だと思うぞ? ……えーっと、物凄くソフィアの目が輝いているが、冗談……だよな?
暫くドラゴン料理を堪能し……気付けば、かなりの時間が過ぎてしまっていた。
「さて。旨いご飯も食べたし、そろそろ行くか」
「アルフレッド。この残ったドラゴンの肉はどうするのだ? ドラゴンの死骸は鱗や骨に、血も素材として買い取ってもらう事が出来、捨てる所が無いと言われる程だぞ?」
「そうなのか? しかし血はもう無理だな。あと骨と鱗くらいは持ち運べるかもしれないが、肉は傷むからな」
ドラゴンの血が貴重な物だなんて知らずに、普通に血抜きして、地面に掘った穴へ流していたな。
ドラゴンの死骸が買い取ってもらえるというのであれば、装備品を揃えたり宿代にしたりと、冒険者として生活していく資金の足しにしたい。
なので、ダッシュで竹を取ってきて、大きめの籠を作ると、骨と鱗を放り込む。
肉は今晩の食事分くらいだけ取って、後は諦めるか。
「あ、待ってください。それなら、私の水魔法で……フリーズ・ブリッド」
ソフィアが杖をかざし、ドラゴンの肉へ青白い弾を放つと、カチコチと固まっていく。
ソフィア曰く、ドラゴンの鱗は魔法が効きにくいが、その内側の肉には普通に魔法が通じるらしい。
「凄いな! これなら数日はもちそうだな!」
「はいっ! という訳で、暫くアルフレッドさんのドラゴン料理が食べられますね!」
「そうだな。だが、肉ばっかりだとバランスが悪いから、夕食は野菜を多めにしような」
そう言って大きな籠を背負うと、目的地に向かって歩きだす。
とりあえず、道中で野営に適した場所を探しながら進まないとな。
「あの……アルフレッドさん。ドラゴンのお肉に目がくらんで、沢山凍らせちゃいましたけど……それ、重くないですか?」
「ん? いや、これくらいなら全然平気だぞ? 昔住んで居た山で倒した、とてつもなくデカい熊を運ぶ時の方が大変だったな」
「アルフレッドさんが運ぶのに苦労する熊って一体……いえ、やっぱり何でも無いです。聞かない方が幸せな気がしてきました」
ソフィアからよく分からない事を言われながら歩いて行き、日が傾いて来た頃に、丁度良い感じの泉を見つける事が出来た。
二度目のドラゴンを倒し、目の前に大きな肉があるんだけど、姉さんと一緒に暮らして居た頃もドラゴンを調理した事は無い。
山に熊は居てもドラゴンは居なかったからね。
とりあえず、仮に鶏みたいな感じだとすると、モモ肉が旨いのだろうか?
まぁ食べてみれば分かるか。
「フレイア。火を頼む」
「うむ、任せろ」
適当な石を板状に斬って、フレイアに火を点けてもらったら、ダッシュで調味料の代用品を取って来る。
次はフレイアが切り分けてくれた肉の中から、一番骨が少なそうな赤身の肉の塊を選び、塩コショウで下味を付けて、強火で焼く!
表面をしっかり焼いて旨味を閉じ込めたら、石板の端――火が弱いところでじっくり焼いて……出来たっ!
「うわ、旨っ! ドラゴンってメチャクチャ旨いんだなっ!」
「こ……これはっ! す、凄まじい……旨味が口の中に溢れるっ!」
「はぅぅ……美味し過ぎて、言葉が出ないですっ!」
ただ、塩コショウをして焼いただけなのに、こんなに旨いのかっ!
食べた事はないけど、日本でよく聞いた黒毛和牛とかの最高級品がこんな感じなのかもしれない。
……あ、あれ? 気付いたら、あっという間に食べ終わっていた。
「……もう一枚行くか」
「うむ! これは……止まらないな!」
「い、いいんですか!? 私、何もせずに食べてるだけですけど、こんなに美味しい物を良いんでしょうかっ!?」
フレイアは即答で。ソフィアはオロオロしているが、気にするなと声を掛け、今度は醤油の代用品とワサビ……と俺が勝手に呼んでいる植物をベースに作ったソースで食べてみる。
「こっちも旨いっ! 塩だけの方が肉の旨味がよく分かるが……これはこれでアリだなっ!」
「なっ!? こんな味のソースは初めてだっ! アルフレッド……一体、どれ程沢山の料理のレパートリーがあるんだ!?」
「アルフレッドさん……結婚しましょう! そして、毎日この料理を食べさせてください」
いや、ソフィア。流石に毎日ドラゴン料理は無理があるだろ。
あと、フレイアはどうしてそんな驚いた顔をしているんだ? 流石にソフィアの結婚しよう……は冗談だと思うぞ? ……えーっと、物凄くソフィアの目が輝いているが、冗談……だよな?
暫くドラゴン料理を堪能し……気付けば、かなりの時間が過ぎてしまっていた。
「さて。旨いご飯も食べたし、そろそろ行くか」
「アルフレッド。この残ったドラゴンの肉はどうするのだ? ドラゴンの死骸は鱗や骨に、血も素材として買い取ってもらう事が出来、捨てる所が無いと言われる程だぞ?」
「そうなのか? しかし血はもう無理だな。あと骨と鱗くらいは持ち運べるかもしれないが、肉は傷むからな」
ドラゴンの血が貴重な物だなんて知らずに、普通に血抜きして、地面に掘った穴へ流していたな。
ドラゴンの死骸が買い取ってもらえるというのであれば、装備品を揃えたり宿代にしたりと、冒険者として生活していく資金の足しにしたい。
なので、ダッシュで竹を取ってきて、大きめの籠を作ると、骨と鱗を放り込む。
肉は今晩の食事分くらいだけ取って、後は諦めるか。
「あ、待ってください。それなら、私の水魔法で……フリーズ・ブリッド」
ソフィアが杖をかざし、ドラゴンの肉へ青白い弾を放つと、カチコチと固まっていく。
ソフィア曰く、ドラゴンの鱗は魔法が効きにくいが、その内側の肉には普通に魔法が通じるらしい。
「凄いな! これなら数日はもちそうだな!」
「はいっ! という訳で、暫くアルフレッドさんのドラゴン料理が食べられますね!」
「そうだな。だが、肉ばっかりだとバランスが悪いから、夕食は野菜を多めにしような」
そう言って大きな籠を背負うと、目的地に向かって歩きだす。
とりあえず、道中で野営に適した場所を探しながら進まないとな。
「あの……アルフレッドさん。ドラゴンのお肉に目がくらんで、沢山凍らせちゃいましたけど……それ、重くないですか?」
「ん? いや、これくらいなら全然平気だぞ? 昔住んで居た山で倒した、とてつもなくデカい熊を運ぶ時の方が大変だったな」
「アルフレッドさんが運ぶのに苦労する熊って一体……いえ、やっぱり何でも無いです。聞かない方が幸せな気がしてきました」
ソフィアからよく分からない事を言われながら歩いて行き、日が傾いて来た頃に、丁度良い感じの泉を見つける事が出来た。
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