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挿話5 魔物を集める悪漢コンビのアニキ分
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「では、職業学校の最後の課題だ。昨日入ってもらった人工ダンジョンだが、あの先がある場所に繋がっている。その先を出て、地上から宿舎へ戻って来る事が出来たら晴れてEランクの冒険者となり、卒業だ」
チッ……昨日は罠を仕掛けようがなかったが、今日こそあの男に吠え面をかかせてやる!
「アニキ、どうするんだ?」
「もちろん仕掛けるぞ。だが、このダンジョンは知っての通り、物凄く簡単な造りだ。だから先に俺たちが出て、出口で魔物召集スキルを使うんだ」
「えっ!? で、でも、この前はそれで俺たちが酷い目に……」
「だから、召集スキルを使うだろ。そして、その場からすぐに逃げるんだよ」
「なるほど。けど……前回は俺たちですら苦労した、ワイルドウルフが来たぜ? アイツら……死んじまうんじゃないか?」
コイツの言う通りで、思い出すのも嫌だが、前回はD級冒険者が討伐する事が推奨されている魔物が現れてしまった。
ただでメシと寝床が与えられるからと、わざとこの試験に不合格となっていて、実際はE級冒険者の実力を持つ俺たちだから何とかする事が出来たが、見習のアイツらは確かに痛い目に会うだろう。
「だが、この職業学校を含め、冒険者は自己責任だ。魔物との戦いは特にな」
「そうだけど殺しは……」
「まぁ待て。だったら、こうしよう。アイツらの手に負えない魔物が現れたとして、苦戦している所を俺たちが颯爽と助けてやる。そうすると恩を売れて、お礼に金目の物をくれるかもしれねぇし、あの女共が俺たちの方が良いってなびくかもしれねぇ」
とはいえ、アイツらは金持ちだからな。
おそらく前回の丸太を止めたり、落とし穴を発見した時のように、何かしらのマジックアイテムを使うのだろう。
マジックアイテムを使わずに、あれらの罠を回避するなんて不可能に決まっているしな。
戦いの中で、何かのマジックアイテムを落としたりすれば、それを拾って売るだけで大金になるし、最悪どさくさに紛れて魔法使いの少女とお近づきになれれば良しとしよう。
そうと決まれば、先行しないとな。
「じゃあ、俺たちは先に出発させてもらうぜ。過去に何度も受けているから説明は不要だ。ちなみに、左の通路を進ませもらう」
「そうか、わかった。では、残りの三名には説明を続けよう」
ふっ……せいぜい無意味な説明を聞いて時間を費やしてくれ。
その間に俺たちは先へ進み、身を隠させてもらうぜっ!
現れる弱い魔物たちを倒していき、この人工ダンジョンの訓練用のボス……イエロースライムを二人掛かりで倒して外へ。
まぁぶっちゃけ、この人工ダンジョンは距離が長いだけの、時間稼ぎ用のダンジョンだからな。
最後の訓練の本題は、冒険者として野営を経験しろっていうだけの内容だ。
俺たちは慣れて居るが、あの金持ち連中はどうかな? 宿舎でも虫が居たら嫌だとか、そんな事を言っていたやつらだし、案外あっさりギブアップしたりしてな。
実際、過去にもそういう奴らは居たし。
「アニキ……話し声が聞こえるッス。奴ら、来たんじゃないッスかね」
「思っていたよりも早いな。まぁいい。じゃあ手筈通りに行くぞ。先ずは魔物召集スキルだ」
ダンジョンの出口で、俺の魔物を集める草笛スキルを使い、一目散にその場を離れる。
大急ぎで離れた場所まで逃げ、念の為に木の上へと登る。
これなら、ワイルドウルフが現れても襲われないし、かつ奴らにも見つからないだろう。
今回はどんな魔物が現れるのかと、ワクワクしながら出口を見つめていると、
「あ、アニキ! や、ヤバいッスよ!」
「あん? 何がだよ」
「あ、あれを見て欲しいッス! 上ッスよ! 上っ!」
同じ木に登った弟分が騒ぎだす。
一体、どうしたんだよと言われた方向に目を向けると、
「……は? う、嘘だろ!?」
「い、いえ、マジッス! ど、どうします!? あんなのアイツらどころか、俺たちもヤバいッスよ!」
どういう訳か、上空に大きなドラゴンが飛んでいて……降りて来たぁぁぁっ!
俺の草笛スキルは一体どうなっているんだっ!?
どうして、こんな場所にS級冒険者じゃないと手も足も出ないような魔物が現れるんだよっ!
チッ……昨日は罠を仕掛けようがなかったが、今日こそあの男に吠え面をかかせてやる!
「アニキ、どうするんだ?」
「もちろん仕掛けるぞ。だが、このダンジョンは知っての通り、物凄く簡単な造りだ。だから先に俺たちが出て、出口で魔物召集スキルを使うんだ」
「えっ!? で、でも、この前はそれで俺たちが酷い目に……」
「だから、召集スキルを使うだろ。そして、その場からすぐに逃げるんだよ」
「なるほど。けど……前回は俺たちですら苦労した、ワイルドウルフが来たぜ? アイツら……死んじまうんじゃないか?」
コイツの言う通りで、思い出すのも嫌だが、前回はD級冒険者が討伐する事が推奨されている魔物が現れてしまった。
ただでメシと寝床が与えられるからと、わざとこの試験に不合格となっていて、実際はE級冒険者の実力を持つ俺たちだから何とかする事が出来たが、見習のアイツらは確かに痛い目に会うだろう。
「だが、この職業学校を含め、冒険者は自己責任だ。魔物との戦いは特にな」
「そうだけど殺しは……」
「まぁ待て。だったら、こうしよう。アイツらの手に負えない魔物が現れたとして、苦戦している所を俺たちが颯爽と助けてやる。そうすると恩を売れて、お礼に金目の物をくれるかもしれねぇし、あの女共が俺たちの方が良いってなびくかもしれねぇ」
とはいえ、アイツらは金持ちだからな。
おそらく前回の丸太を止めたり、落とし穴を発見した時のように、何かしらのマジックアイテムを使うのだろう。
マジックアイテムを使わずに、あれらの罠を回避するなんて不可能に決まっているしな。
戦いの中で、何かのマジックアイテムを落としたりすれば、それを拾って売るだけで大金になるし、最悪どさくさに紛れて魔法使いの少女とお近づきになれれば良しとしよう。
そうと決まれば、先行しないとな。
「じゃあ、俺たちは先に出発させてもらうぜ。過去に何度も受けているから説明は不要だ。ちなみに、左の通路を進ませもらう」
「そうか、わかった。では、残りの三名には説明を続けよう」
ふっ……せいぜい無意味な説明を聞いて時間を費やしてくれ。
その間に俺たちは先へ進み、身を隠させてもらうぜっ!
現れる弱い魔物たちを倒していき、この人工ダンジョンの訓練用のボス……イエロースライムを二人掛かりで倒して外へ。
まぁぶっちゃけ、この人工ダンジョンは距離が長いだけの、時間稼ぎ用のダンジョンだからな。
最後の訓練の本題は、冒険者として野営を経験しろっていうだけの内容だ。
俺たちは慣れて居るが、あの金持ち連中はどうかな? 宿舎でも虫が居たら嫌だとか、そんな事を言っていたやつらだし、案外あっさりギブアップしたりしてな。
実際、過去にもそういう奴らは居たし。
「アニキ……話し声が聞こえるッス。奴ら、来たんじゃないッスかね」
「思っていたよりも早いな。まぁいい。じゃあ手筈通りに行くぞ。先ずは魔物召集スキルだ」
ダンジョンの出口で、俺の魔物を集める草笛スキルを使い、一目散にその場を離れる。
大急ぎで離れた場所まで逃げ、念の為に木の上へと登る。
これなら、ワイルドウルフが現れても襲われないし、かつ奴らにも見つからないだろう。
今回はどんな魔物が現れるのかと、ワクワクしながら出口を見つめていると、
「あ、アニキ! や、ヤバいッスよ!」
「あん? 何がだよ」
「あ、あれを見て欲しいッス! 上ッスよ! 上っ!」
同じ木に登った弟分が騒ぎだす。
一体、どうしたんだよと言われた方向に目を向けると、
「……は? う、嘘だろ!?」
「い、いえ、マジッス! ど、どうします!? あんなのアイツらどころか、俺たちもヤバいッスよ!」
どういう訳か、上空に大きなドラゴンが飛んでいて……降りて来たぁぁぁっ!
俺の草笛スキルは一体どうなっているんだっ!?
どうして、こんな場所にS級冒険者じゃないと手も足も出ないような魔物が現れるんだよっ!
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