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第20話 三日目は実践訓練
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風魔法を使えるようになり、早速ソフィアに見て貰ったのだが、
「う、うん。何て言うか、アルフレッドさんはいろんな意味で凄いと思う」
何故か魔法の話をすると目を逸らされてしまう。
それ以外の話だと、物凄く食いついてくれるのに、何故だろうか。
……あー、ソフィアのように魔法を主体としている人からすると、俺の魔法はまだまだ未熟で、その程度では褒められないという事か。
確かに、ウインド・カッターという名前からすると、スパッと刃物で斬りそうな魔法だけど、俺が使うと斬るという感じではないし、これからも練習を続けよう。
それから、いつもの様に就寝し、
「三日目のカリキュラムは実践訓練を行う。訓練用のダンジョンがあるので、そちらへ移動するのでついて来てくれ」
新たな訓練が始まった。
実践訓練という事は、魔物と戦うという事だろうが、考えてみたら白虎の力を使わずに魔物と戦った事が無いんだよな。
若干心配ではあるが、移動中もオジサンが説明を続けるので、そちらへ意識を集中させる。
「先ずは最弱の魔物と言われるプチ・ラビットと戦ってもらう。尚、今回は訓練であるため、先ずは魔物の攻撃を一回防ぐか避けるかしてから攻撃に移るように」
なるほど。防御の訓練も兼ねるという事か。
普通は攻撃される前に倒すのが基本だろうけど、最弱の魔物っていうくらいだから、攻撃されたとしても大した威力ではないのだろう。
「あと、防御は盾か魔法で行い、回避はそのまま避けるように」
「すみません。魔法で防御という話でしたが、俺は防御魔法っていうのを知らないんですけど」
「ならば、回避するしかないな。残念ながら、俺も防御魔法は使えないから、教える事は出来ないのだ」
残念。別の魔法を教えてもらえると思ったのに。
そんな事を思っている内に、小さな洞窟に到着した。
「このダンジョンは訓練用に、冒険者ギルドが作った人工ダンジョンだ。その為、中に生えている光苔で灯りを用意しなくても大丈夫だが、普通のダンジョンだと松明やランタンなどが必須なので忘れないように」
洞窟へ入ると、オジサンの言う通り、薄暗いものの見えなくはない。
洞窟の中を暫く進むと、
「あ、可愛いー!」
小さなウサギたちがぴょこぴょこ歩いていて、ソフィアが嬉しそうな声をあげる。
「こいつが、今日倒してもらうプチ・ラビットだ。一人、五体倒せば今日の訓練は終わりだ」
「ひぃぃぃっ! こ、こんなに可愛いウサギちゃんを倒すんですかっ!?」
「その通りだ。プチ・ラビットは放置すれば農作物を荒らす魔物だ。だが毛皮は防具に加工出来るし、肉は食べる事も出来る。倒して、それらの素材を回収する所までやってもらうからな」
ソフィアが絶望的な顔をしているが、まぁこればっかりは慣れだろうな。
姉さんと暮らして居た山にもウサギの魔物は居て、倒しまくったしね。……まぁ大きさと狂暴さが、このプチ・ラビットとは雲泥の差だったけどさ。
「……五体倒したが、もう戻って良いのか?」
「いや、訓練用とはいえダンジョンだからな。この訓練は全員が終わるまで待っていてもらおう」
「そうか。まぁ仕方が無いか」
フレイアがあっという間にプチ・ラビットを五体倒し、暇そうにしているので、俺も早く終わらせるか。
まずは適当なプチ・ラビットに近付き、突撃してきた所を軽く避け、
「ウインド・カッター」
昨日覚えた風魔法を使うと、プチ・ラビットが数体まとめて吹き飛び、壁に激突して絶命した。
うーん。やはりカッターって感じじゃないな。
まぁそれはそれとして、せっかく命をいただいた訳だから、美味しく食べないとね。
常備している石刀でプチ・ラビットを捌き、血抜きをして、肉と毛皮とそれ以外に分ける。
それ以外の内臓だったり骨だったりは、適当に穴を掘って埋めていると、
「ほう。随分と手慣れて居るな」
「あぁ、山で暮らして居たからな」
「なるほど。山暮らしが長いのであれば、魔法使いよりも狩人という弓矢を使う役割の方が適して居るかもしれないな」
オジサンから弓矢を使ってみてはどうかと提案してもらった。
ファンタジーといえば魔法というイメージだったけど、弓矢か。少し考えてみようと思ったのだが、
「……アルフレッドは体術が最強だと思うのだが」
オジサンが離れた後で、フレイアがこそっと耳打ちしてくる。
確かに白虎の力を使えば体術で戦えるんだけど、使わなくても戦えるようになりたいからなぁ。
とりあえず一度、弓矢も試してみようか。
そんな事を考えながら、
「うわぁぁぁんっ! つぶらな瞳で見ないでぇぇぇっ! ごめん、ごめんねぇぇぇっ!」
泣きながらプチ・ラビットに攻撃魔法を放つソフィアを、心の中で応援する事にした。
「う、うん。何て言うか、アルフレッドさんはいろんな意味で凄いと思う」
何故か魔法の話をすると目を逸らされてしまう。
それ以外の話だと、物凄く食いついてくれるのに、何故だろうか。
……あー、ソフィアのように魔法を主体としている人からすると、俺の魔法はまだまだ未熟で、その程度では褒められないという事か。
確かに、ウインド・カッターという名前からすると、スパッと刃物で斬りそうな魔法だけど、俺が使うと斬るという感じではないし、これからも練習を続けよう。
それから、いつもの様に就寝し、
「三日目のカリキュラムは実践訓練を行う。訓練用のダンジョンがあるので、そちらへ移動するのでついて来てくれ」
新たな訓練が始まった。
実践訓練という事は、魔物と戦うという事だろうが、考えてみたら白虎の力を使わずに魔物と戦った事が無いんだよな。
若干心配ではあるが、移動中もオジサンが説明を続けるので、そちらへ意識を集中させる。
「先ずは最弱の魔物と言われるプチ・ラビットと戦ってもらう。尚、今回は訓練であるため、先ずは魔物の攻撃を一回防ぐか避けるかしてから攻撃に移るように」
なるほど。防御の訓練も兼ねるという事か。
普通は攻撃される前に倒すのが基本だろうけど、最弱の魔物っていうくらいだから、攻撃されたとしても大した威力ではないのだろう。
「あと、防御は盾か魔法で行い、回避はそのまま避けるように」
「すみません。魔法で防御という話でしたが、俺は防御魔法っていうのを知らないんですけど」
「ならば、回避するしかないな。残念ながら、俺も防御魔法は使えないから、教える事は出来ないのだ」
残念。別の魔法を教えてもらえると思ったのに。
そんな事を思っている内に、小さな洞窟に到着した。
「このダンジョンは訓練用に、冒険者ギルドが作った人工ダンジョンだ。その為、中に生えている光苔で灯りを用意しなくても大丈夫だが、普通のダンジョンだと松明やランタンなどが必須なので忘れないように」
洞窟へ入ると、オジサンの言う通り、薄暗いものの見えなくはない。
洞窟の中を暫く進むと、
「あ、可愛いー!」
小さなウサギたちがぴょこぴょこ歩いていて、ソフィアが嬉しそうな声をあげる。
「こいつが、今日倒してもらうプチ・ラビットだ。一人、五体倒せば今日の訓練は終わりだ」
「ひぃぃぃっ! こ、こんなに可愛いウサギちゃんを倒すんですかっ!?」
「その通りだ。プチ・ラビットは放置すれば農作物を荒らす魔物だ。だが毛皮は防具に加工出来るし、肉は食べる事も出来る。倒して、それらの素材を回収する所までやってもらうからな」
ソフィアが絶望的な顔をしているが、まぁこればっかりは慣れだろうな。
姉さんと暮らして居た山にもウサギの魔物は居て、倒しまくったしね。……まぁ大きさと狂暴さが、このプチ・ラビットとは雲泥の差だったけどさ。
「……五体倒したが、もう戻って良いのか?」
「いや、訓練用とはいえダンジョンだからな。この訓練は全員が終わるまで待っていてもらおう」
「そうか。まぁ仕方が無いか」
フレイアがあっという間にプチ・ラビットを五体倒し、暇そうにしているので、俺も早く終わらせるか。
まずは適当なプチ・ラビットに近付き、突撃してきた所を軽く避け、
「ウインド・カッター」
昨日覚えた風魔法を使うと、プチ・ラビットが数体まとめて吹き飛び、壁に激突して絶命した。
うーん。やはりカッターって感じじゃないな。
まぁそれはそれとして、せっかく命をいただいた訳だから、美味しく食べないとね。
常備している石刀でプチ・ラビットを捌き、血抜きをして、肉と毛皮とそれ以外に分ける。
それ以外の内臓だったり骨だったりは、適当に穴を掘って埋めていると、
「ほう。随分と手慣れて居るな」
「あぁ、山で暮らして居たからな」
「なるほど。山暮らしが長いのであれば、魔法使いよりも狩人という弓矢を使う役割の方が適して居るかもしれないな」
オジサンから弓矢を使ってみてはどうかと提案してもらった。
ファンタジーといえば魔法というイメージだったけど、弓矢か。少し考えてみようと思ったのだが、
「……アルフレッドは体術が最強だと思うのだが」
オジサンが離れた後で、フレイアがこそっと耳打ちしてくる。
確かに白虎の力を使えば体術で戦えるんだけど、使わなくても戦えるようになりたいからなぁ。
とりあえず一度、弓矢も試してみようか。
そんな事を考えながら、
「うわぁぁぁんっ! つぶらな瞳で見ないでぇぇぇっ! ごめん、ごめんねぇぇぇっ!」
泣きながらプチ・ラビットに攻撃魔法を放つソフィアを、心の中で応援する事にした。
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