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第18話 一日目のカリキュラム終了
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最初の課題として出された四つの文字を確認し、スタート地点へ戻ってきた。
……来たんだが、こんなのが課題なのだろうか。
「うーん、もう終わりか。本当に歩いただけだったな」
「そうだな。物足りないというか、こんなので良いのか?」
「あの、途中で丸太とか落とし穴とか、色々あったと思うんですけど……あ、あれは何も無かった事になるんですね」
ソフィアに言われて思い出したが、そういえばあったな。
全然大した事がなかったけど。
「あれ? そう言えば、あの二人組に全く会わなかったな」
「二人組? アルフレッド、誰の事だ?」
「いや、存在すら忘れるのは可哀想だと思うんだが。俺たちより先に来ていた二人が居ただろ?」
「……あぁ、確かに。ん……今、戻って来たみたいだな。何故か、全身ボロボロだが」
フレイアの視線の先を見てみると、服が破れ、全身土まみれになった男二人が、長い枝を杖代わりにして歩いて来ていた。
この辺りに魔物は居ないと聞いていたが、運悪く遭遇してしまい、襲われたのだろうか。
「そうか! 私たちは運悪く何も無いルートを進んでしまったのか。これでは何の修行にもならないではないか」
「そうだな。俺も冒険者として活動出来るだけの実力を身に付けないといけないし、運が悪いのは俺たちの方だったか」
「あの、お二人とも、何も無いルートは運が良かったのでは……」
ソフィアは魔法が使えるから、何も無い事を喜んでいるが、俺には何も無いからな。
フレイアとソフィアの二人に危険が及ばなかったのは喜ばしい事だが、もうちょっと修行っぽい何かがあって欲しかったとは思う。
「全員戻って来たか。随分と早く、時間も余っているのだが、カリキュラム上は、本日の内容はここまでだ。残りは自由時間とする。では、また明日の朝にここへ集合だ」
そう言って、オジサンが去って行ってしまった。
まぁあの人にも、決められた仕事内容があるのだろうから仕方ないか。
「では、アルフレッドよ。時間もある事だし、稽古を頼む」
「分かった。ソフィアはどうする?」
「私はお二人と違って疲れたので、休憩させていただきますね。お二人の稽古の様子を見学させていただきます」
いつもの少し開けた場所へ行き、フレイアの攻撃をひたすら避け、防ぐ。
これはこれで、フレイアの訓練になるから良いんだけど、あんまり俺の訓練にはならないんだよな。
かと言って、俺の訓練の為に白虎の力を使わずにいると、死んでしまいそうだし……難しいな。
「えぇー。お二人とも、何がどうなって……フレイアさんの動きなんて、目で追う事すら出来ないんですけど」
あー、ソフィアの気持ちは良く分かる。
大自然の中で育ったからか、動体視力は良いから、何とか俺はフレイアの動きが見えるけど、普通はこんなの見えないし、そもそも動けないよな。
「まぁそれを余裕で避けているアルフレッドさんは、瞬間移動しているかのように見えるんですけどね」
「はっはっは。私は常に全力だが、おそらくアルフレッドは実力の半分も出していないぞ。だが、いつか必ず追いつき、横に並んでみせるのだっ!」
あー、白虎の力を使っているから俺の評価が高いけど、本当の俺は全然大した事無いってば。
使うのをやめた瞬間、フレイアに斬られるから解除して実演出来ないけどさ。
それから日暮れまでフレイアと稽古し、三人で川へ行って汗を……今回は二人に塀の中へ入ってもらい、問題ない状態で水浴びをして、いつものように夕食を作る。
「アルフレッドさん! 私、貴方にずっとついて行きます! 昨日も思いましたけど、何もない森の中でこんなに美味しい料理が作れるなんて、素晴らし過ぎますっ!」
「なっ!? ま、待て! わ、私が……私がアルフレッドの横に並ぶのだっ!」
作っているのは、普通のシチューもどきなんだけど、二人とも女性にしては食べっぷりが良くて作り甲斐があるな。
二人に話を聞くと、この世界にも米はあるそうなので、この職業学校を無事に卒業したら、是非買いに行こうと考えつつ、就寝する。
相変わらずソフィアは寝相が悪いけど、日本で幼い弟たちに抱きつかれていた事を思い出しながら、朝を迎え……待ち望んでいた攻撃について、教えて貰える事になった。
……来たんだが、こんなのが課題なのだろうか。
「うーん、もう終わりか。本当に歩いただけだったな」
「そうだな。物足りないというか、こんなので良いのか?」
「あの、途中で丸太とか落とし穴とか、色々あったと思うんですけど……あ、あれは何も無かった事になるんですね」
ソフィアに言われて思い出したが、そういえばあったな。
全然大した事がなかったけど。
「あれ? そう言えば、あの二人組に全く会わなかったな」
「二人組? アルフレッド、誰の事だ?」
「いや、存在すら忘れるのは可哀想だと思うんだが。俺たちより先に来ていた二人が居ただろ?」
「……あぁ、確かに。ん……今、戻って来たみたいだな。何故か、全身ボロボロだが」
フレイアの視線の先を見てみると、服が破れ、全身土まみれになった男二人が、長い枝を杖代わりにして歩いて来ていた。
この辺りに魔物は居ないと聞いていたが、運悪く遭遇してしまい、襲われたのだろうか。
「そうか! 私たちは運悪く何も無いルートを進んでしまったのか。これでは何の修行にもならないではないか」
「そうだな。俺も冒険者として活動出来るだけの実力を身に付けないといけないし、運が悪いのは俺たちの方だったか」
「あの、お二人とも、何も無いルートは運が良かったのでは……」
ソフィアは魔法が使えるから、何も無い事を喜んでいるが、俺には何も無いからな。
フレイアとソフィアの二人に危険が及ばなかったのは喜ばしい事だが、もうちょっと修行っぽい何かがあって欲しかったとは思う。
「全員戻って来たか。随分と早く、時間も余っているのだが、カリキュラム上は、本日の内容はここまでだ。残りは自由時間とする。では、また明日の朝にここへ集合だ」
そう言って、オジサンが去って行ってしまった。
まぁあの人にも、決められた仕事内容があるのだろうから仕方ないか。
「では、アルフレッドよ。時間もある事だし、稽古を頼む」
「分かった。ソフィアはどうする?」
「私はお二人と違って疲れたので、休憩させていただきますね。お二人の稽古の様子を見学させていただきます」
いつもの少し開けた場所へ行き、フレイアの攻撃をひたすら避け、防ぐ。
これはこれで、フレイアの訓練になるから良いんだけど、あんまり俺の訓練にはならないんだよな。
かと言って、俺の訓練の為に白虎の力を使わずにいると、死んでしまいそうだし……難しいな。
「えぇー。お二人とも、何がどうなって……フレイアさんの動きなんて、目で追う事すら出来ないんですけど」
あー、ソフィアの気持ちは良く分かる。
大自然の中で育ったからか、動体視力は良いから、何とか俺はフレイアの動きが見えるけど、普通はこんなの見えないし、そもそも動けないよな。
「まぁそれを余裕で避けているアルフレッドさんは、瞬間移動しているかのように見えるんですけどね」
「はっはっは。私は常に全力だが、おそらくアルフレッドは実力の半分も出していないぞ。だが、いつか必ず追いつき、横に並んでみせるのだっ!」
あー、白虎の力を使っているから俺の評価が高いけど、本当の俺は全然大した事無いってば。
使うのをやめた瞬間、フレイアに斬られるから解除して実演出来ないけどさ。
それから日暮れまでフレイアと稽古し、三人で川へ行って汗を……今回は二人に塀の中へ入ってもらい、問題ない状態で水浴びをして、いつものように夕食を作る。
「アルフレッドさん! 私、貴方にずっとついて行きます! 昨日も思いましたけど、何もない森の中でこんなに美味しい料理が作れるなんて、素晴らし過ぎますっ!」
「なっ!? ま、待て! わ、私が……私がアルフレッドの横に並ぶのだっ!」
作っているのは、普通のシチューもどきなんだけど、二人とも女性にしては食べっぷりが良くて作り甲斐があるな。
二人に話を聞くと、この世界にも米はあるそうなので、この職業学校を無事に卒業したら、是非買いに行こうと考えつつ、就寝する。
相変わらずソフィアは寝相が悪いけど、日本で幼い弟たちに抱きつかれていた事を思い出しながら、朝を迎え……待ち望んでいた攻撃について、教えて貰える事になった。
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