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第17話 最初の課題

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 翌朝。何か柔らかい物に包まれている……と思ったら、

「……お魚。おっきいお魚……」

 ソフィアから抱き枕のように抱きつかれていた。
 しかも、意味不明な寝言を言いながら甘噛みされているっ!?
 とりあえずソフィアを起こして、この状況から脱出しなければと思ったんだけど、

「う、うーん。むにゃむにゃ……」

 逆側からフレイアもくっついてきた。
 というか、「むにゃむにゃ」って寝言を言う人って居るのか!? いや、ここに居るんだけどさ。
 ソフィアが俺の身体の上に太ももまで乗せているのに対し、フレイアは腕にしがみ付いているだけなんだけど……メチャクチャ腕が痛いんだけど。
 これ、下手をすれば腕が折れるのでは?

「……フレイア?」
「――っ! す、すやすや……」
「すやすやって言いながら寝る人は居ないと思うんだが」
「……あ、アルフレッドがいけないのだっ! 私を放って、ソフィアにばかり構うからっ!」

 えぇぇぇっ! フレイアが起きていて、しかも怒りだしたーっ!
 若干理不尽さを覚えながらソフィアを起こし、朝の支度を済ませると、

「チッ……浮かれやがって」

 少しも浮かれていないのに、二人組の男から舌打ちされて……一体俺が何をしたというのだろうか。
 それから少しすると、最初に会った古傷だらけのオジサンがやって来た。

「冒険者見習の諸君、おはよう。ではこれより月曜日のカリキュラムを開始する」

 おぉ、やっとだな。
 どんな訓練をしてくれるのだろうか。
 俺としては、せっかくの異世界なので魔法が使えるようになりたいが、フレイアのように剣が使えるようになってみたいとも思う。
 なんせ、今の俺に出来るのは殴るか蹴るかだけだからな。
 いろいろとファンタジーっぽい事を期待して待っていたのだが、

「諸君。冒険者は身体が資本だ。最初は基礎体力を向上させたいと思う。今から地図を配るので、各自それに描かれた四つのポイントへ行く事。各ポイントには文字が書かれた板を設置してあるので、最後にその文字を俺に伝えればゴールだ」

 残念ながら、最初はただ歩くだけのようだ。
 とはいえ体力には自信があるし、白虎の力を使わなくても良いし、最初の訓練としては良いのかもな。

「尚、各ポイントへどのように行くかは自由だが、遭難しないように気をつける事。余程変な道を行かなければ迷う事も無いし、魔物も出ないはずだ」
「あ、あの。質問なんですけど、万が一遭難したり魔物に出逢ってしまった場合は、どうすれば良いのでしょうか? 私、実は……」
「自力でどうにかするしかないな。君がこれから冒険者となってダンジョンへ潜る事になったとして、同じ状況に陥ったとしても誰も助けてはくれないぞ?」
「うぅ……そ、そうですか」

 オジサンの言葉で、ソフィアが俯いてしまったが、

「ただ、ダンジョンへ入るのと同じで、パーティを組む事はこの見習い講習でも可としている。信頼出来る仲間を見つけ、一緒に行動する事は構わない」
「わ、わかりましたっ! あの、アルフレッドさん、フレイアさん。私もご一緒させてくださいっ!」

 続く言葉で顔を上げ、すぐさま俺たちの所へやって来た。

「勿論、構わないさ。な、フレイア」
「う、うむ。そ、そうだな……くっ! 二人っきりで親睦を深めるはずだったのに……」
「お二人とも、ありがとうございますぅーっ!」

 小声で何か言っていて聞こえない箇所もあったが、フレイアも同意してくれたようなので、昨日と同じく三人で行動する事に。

「ふんっ……おい。先回りして、罠を仕掛けるぞ……」
「えっ!? ……アニキ。流石にそれはやり過ぎじゃないか? 今までそんなのした事ない……」
「うるせぇっ! ……あぁいう浮かれた奴らは痛い目に遭わせて、冒険者を舐めるなって教えてやるんだよ……」

 別ルートから行った二人組みの男から、何となく不穏な空気が流れていた気がしたが……はっきりとは聞こえず、ひとまず俺たちも出発する事にした。
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