上 下
19 / 48

第16話 三人で一緒に行動

しおりを挟む
「フレイア。今日はそろそろ終わろうか」
「そうだな。では、先ずは汗を流してくるよ」

 そう言って、フレイアが昨日作った川の中の塀へと入る。
 一方で俺も川で水浴びをしながら、今晩の夕食となる川魚を……捕まえたっ!
 山と言わずとも、自然の中での食材確保は自信があるからな。
 素手で川魚を捕まえ、竹で作った籠の中へ沢山入れていると、

「えぃっ! とぉっ! もぉーっ! どうして、逃げるのっ!?」

 ソフィアが川面を叩きながら、俺の所まで近付いて来ていた。

「ソフィア。何をしているんだ? 服がびしょ濡れだぞ?」
「え? ……あ! アルフレッドさん。美味しそうなお魚さんを見つけたんですけど、中々捕まえられなくて」
「川魚を捕まえるのなら、いろいろと方法はあるけど……素手で捕まえるなら、コツがあるんだよ」

 悪戦苦闘していたソフィアに、魚の後ろから捕まえるとか、追いかけずに待つといった簡単なコツを教え、俺が川の中で魚を追い詰める役を買って出て、

「やったぁー! お魚捕まえたーっ!」

 ソフィアが無事に魚を捕まえる事が出来た。

「良かったな」
「うんっ! ありがと……えっ!? あ、アルフレッドさん……その、今更ですけど、どうして下……履いてない……」

 突然ソフィアが顔を赤らめ、チラチラとこちらを見てくるので、一体どうしたのかと思ったら……俺、水浴びの途中だったよ!
 完全に全裸だった事を思い出し、慌てて服を着る。

「す、すみません。私がアルフレッドさんの水浴びを邪魔してしまったんですね」
「いや、俺もソフィアが近付いて来ているのに、魚を獲る事に夢中で自分の格好を失念していたよ。ごめん」
「い、いえ。は、初めて見ましたけど……な、何でもないですっ! そ、それより、晩御飯も獲れた事ですし、一緒に食べませんか?」
「そうだな。そろそろフレイアも水浴びを終えているだろうしな」

 ソフィアと一緒に夕食を食べようという話をした所で、

「……アルフレッド。私は既に水浴びを終えて居るのだが」

 横から少し冷たいフレイアの声が聞こえて来た。

「フレイア。遅くなってすまない。魚を捕まえていて……昨日のカマドの所へ行こうか」
「……わかった」

 待たせてしまったからか、フレイアが凄く不機嫌な気がする。
 うーん。こういう時はどうすれば良いのだろうか。
 クララやフレイアのおかげで女性と普通に話せるようになったものの、相変わらず対女性の経験値が少なすぎて対処方法が分からない。
 どうしたものかと困っていると、

「あの、フレイアさんはいつから川岸に居られたんですか?」
「ん? 二人が私に気付かず、はしゃいでいる所からだが」
「つまり、アルフレッドさんの身体を黙って凝視していた……とか?」
「――っ!? な、何を……そ、そんな訳ないじゃないかっ! わ、私はそんな、は、ハレンチな事を考えたりしない……しないんだからーっ!」

 ソフィアの言葉でフレイアが俺から背を向けてしまった。
 耳まで真っ赤に染まっているし……フレイアは怒りっぽいのか?
 そういえば、今日の稽古の時も剣に怒りが籠っていたよな。
 剣に力が籠るのは、決して悪い事ではないのだが、良い事でもないと思うんだよな。
 そんな事を考えながら、カマドに到着したので、

「フレイア。悪いが昨日と同じく火を点けておいて欲しい。俺は、もう少し食材を集めてくるよ」

 フレイアに火を頼み、昨日同様に足へ白虎の力を使って食材を採りに行く。
 今日の昼はフルーツだけで済ませたし、ソフィアも似たような感じだったので肉や山菜を三人分集めると、大急ぎで戻って来た。

「ただいま」
「早っ!? アルフレッドさん……足、速過ぎませんか? それに、何か不思議な力を感じたんですけど」

 しまったぁぁぁっ! フレイアが全く気にしていないから大丈夫なのかと思っていたけど、普通の人は白虎の力を怖がるんだった!
 ソフィアが不思議そうに俺の事を見つめてくるので、どうやって誤魔化そうかと考えていると、

「確かに速いが、私だって本気を出せばアルフレッドについて行くくらいは出来るぞ」
「そ、そうなんですね。フレイアさんも凄いんですね」
「もちろんだ。それに、以前からアルフレッドとは一緒に行動しているし、私は、その……し、寝食を共にしているんだからな」

 フレイアがフォローしてくれた。
 ……まぁ後半の言葉は関係ないような気もするが、とりあえずソフィアも納得してくれたようで、皆で食事をする事に。

「よし、出来たぞ」
「わぁっ! 凄い! 私には串焼きにしか出来ないけど、これは……お、美味しいっ! アルフレッドさん、一体どうやったらこんなに美味しいご飯が作れるんですかっ!?」
「それは、醤油っていう調味料で味付けをしていて……」

 ソフィアは食べ物に興味があるのか、いろいろ質問してくるので、俺も好きな料理の説明をしながら、楽しく夕食を終える事が出来た。
 そして就寝となったのだが、ソフィアも虫が苦手らしく、フレイアの毛布の中で寝る事になってしまったのだが、

「あの……どうして俺が真ん中なんだ? いろいろと問題が……」
「アルフレッドさんは変な事しなさそうですし、大丈夫ですよー。……まぁその、変な物は見ちゃいましたが……」
「……アルフレッドのばか……」

 何故かフレイアが俺に背を向けて眠ってしまった。
 しかも、怒っている……というか、拗ねている? 女性の心が全然分からないよ。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...