12 / 48
第10話 冒険者になったフレイア
しおりを挟む
クララを王宮の近くで待機していた騎士たちの所へ連れて行き、ようやく冒険者ギルドへ行ける……そう思ったのだが、無言のフレイアが付かず離れず俺について来る。
どうしたものかと思いながら、話し掛けてみると、
「フレイア。一つ聞いておきたいんだけど……」
「なんだ、アルフレッド。私たちは仲間なんだ。さぁ、何でも聞いてくれ」
顔を輝かせながら、口を開く。
何て言うか、フレイアは距離を掴みかねているというか、あまり人と接するのに慣れて居ないというか……もしかして、あんまり友達が居ないとか?
いや、流石にそんな事を本人に聞けないし、俺だってこの世界ではクララが初めての友達なんだけどさ。
「フレイアは俺が怖くないのか?」
「怖い? アルフレッドが……か? 少しも思わないが、どうしてそんな事を聞くのだ?」
「いや、それなら良いんだ。気にしないでくれ」
なるほど。姉さんの教えである、人間族の前で白虎の力を使うな……というのは、意外に大丈夫らしい。
クララもフレイアも、白虎の力を使ったのに、怯えたりしていないしな。
良かった。職業学校では、白虎の力を使わずに過ごすつもりだったけど、気にしなくて良いみたいだ。
それから、ようやく冒険者ギルドへ来る事が出来たのだけど、
「……お、おい。剣聖フレイアだ。一緒に居る男は何をやらかしたんだ?」
「……ギルドに突き出されるって事は、何か不正な事をしでかしたって事か」
「……でもそれなら騎士団へ連行されるんじゃないのか? 全く意味が分からないんだが」
何だか物凄く目立っているんだが。
しかも俺が何か悪事を働き、フレイアによって逮捕された……的な感じに見られているし。
ラスカフリャの村と違い、人が多くて活気に溢れているのは良いのだが、勘違いで冷たい視線を向けられるのは困ったな。
だが、そんな誤解を解く間もなく受付に着くと、
「ふ、フレイアさん。冒険者ギルドへ一体どのような御用件でしょうか? こちらの冒険者が何か……」
職員の女性が俺の後ろに居るフレイアに向かって話しだす。
この街でフレイアはかなり有名なようだが……職員までそんな態度だと、ちょっと悲しいんだが。
「うむ。私は、このアルフレッドと寝食を共にしようと思うのだ。その手続きをお願いしたい」
「えっ!? け、結婚されるのですか!? お、おめでとうございます。ですが、それならギルドではなく、教会へ……」
「ち、違うっ! な、な、何を言い出すんだっ! そ、そういう事ではなくて、な……なんと言ったか。あの、冒険者同士で仲間になって、行動を共にするやつだ!」
フレイアが耳まで真っ赤に染めて怒りだすが、今のはフレイアが悪いと思うぞ。
隣で聞いている俺だって驚いたからな。
「あ、パーティを組まれるという事ですね。ビックリしました……って、フレイアさんがっ!? ぼ、冒険者になられるのですかっ!?」
「うむ。アルフレッドの強さに惚れ……あ、あくまで強さにだぞ!? へ、変な意味はなくて……というか、早く手続きを頼む」
「は、はいっ! フレイアさんでしたら、A級冒険者からのスタートとなりますが、宜しいでしょうか?」
凄いな。
俺なんて、いろいろ質問されたあげくにF級からのスタートとなったのに、何も聞かれずにA級からのスタートなのか。
まぁ、フレイアはあの強さだしな。妥当と言えば妥当な気がするのだが、フレイアは納得出来ないようで、職員の女性に食い下がる。
「ん? いや、それは困るな」
「し、しかし、いくらフレイアさんでも、いきなりS級からの登録というのは前例が無くて……」
「そうではない。アルフレッドと同じF級からにして欲しいのだ」
「……はい? あの、仰る意味が分からないのですが」
「だから、私はアルフレッドと一緒じゃないと嫌なのだ! アルフレッドと同じ等級にしてくれ」
フレイアは気付いていないようだが、よく通る大きな声がギルドに響き渡り、
「……あの剣聖フレイアがダメ彼氏のせいで、とんでもない事になっているぞ!?」
「……フレイアがF級って何の冗談だよ! D級の俺よりフレイアが下だなんて、勘弁してくれよ」
「……しかし、あの堅物のフレイアに男が出来たのか。……あー、一緒に居る男に染まるタイプだったのか。意外だな」
最初にフレイアが変な事を大声で言った事もあり、とんでもない勘違いをされているぞ!?
「あの、出来れば普通にA級冒険者として……」
「ダメだ。私はアルフレッドと一緒が良いのだ!」
「……わかりました。少しお待ちください」
職員の女性が折れて手続きを始めたんだが……溜息を吐きながら、冷たい目で俺を見るのはやめてくれよ。
どうしたものかと思いながら、話し掛けてみると、
「フレイア。一つ聞いておきたいんだけど……」
「なんだ、アルフレッド。私たちは仲間なんだ。さぁ、何でも聞いてくれ」
顔を輝かせながら、口を開く。
何て言うか、フレイアは距離を掴みかねているというか、あまり人と接するのに慣れて居ないというか……もしかして、あんまり友達が居ないとか?
いや、流石にそんな事を本人に聞けないし、俺だってこの世界ではクララが初めての友達なんだけどさ。
「フレイアは俺が怖くないのか?」
「怖い? アルフレッドが……か? 少しも思わないが、どうしてそんな事を聞くのだ?」
「いや、それなら良いんだ。気にしないでくれ」
なるほど。姉さんの教えである、人間族の前で白虎の力を使うな……というのは、意外に大丈夫らしい。
クララもフレイアも、白虎の力を使ったのに、怯えたりしていないしな。
良かった。職業学校では、白虎の力を使わずに過ごすつもりだったけど、気にしなくて良いみたいだ。
それから、ようやく冒険者ギルドへ来る事が出来たのだけど、
「……お、おい。剣聖フレイアだ。一緒に居る男は何をやらかしたんだ?」
「……ギルドに突き出されるって事は、何か不正な事をしでかしたって事か」
「……でもそれなら騎士団へ連行されるんじゃないのか? 全く意味が分からないんだが」
何だか物凄く目立っているんだが。
しかも俺が何か悪事を働き、フレイアによって逮捕された……的な感じに見られているし。
ラスカフリャの村と違い、人が多くて活気に溢れているのは良いのだが、勘違いで冷たい視線を向けられるのは困ったな。
だが、そんな誤解を解く間もなく受付に着くと、
「ふ、フレイアさん。冒険者ギルドへ一体どのような御用件でしょうか? こちらの冒険者が何か……」
職員の女性が俺の後ろに居るフレイアに向かって話しだす。
この街でフレイアはかなり有名なようだが……職員までそんな態度だと、ちょっと悲しいんだが。
「うむ。私は、このアルフレッドと寝食を共にしようと思うのだ。その手続きをお願いしたい」
「えっ!? け、結婚されるのですか!? お、おめでとうございます。ですが、それならギルドではなく、教会へ……」
「ち、違うっ! な、な、何を言い出すんだっ! そ、そういう事ではなくて、な……なんと言ったか。あの、冒険者同士で仲間になって、行動を共にするやつだ!」
フレイアが耳まで真っ赤に染めて怒りだすが、今のはフレイアが悪いと思うぞ。
隣で聞いている俺だって驚いたからな。
「あ、パーティを組まれるという事ですね。ビックリしました……って、フレイアさんがっ!? ぼ、冒険者になられるのですかっ!?」
「うむ。アルフレッドの強さに惚れ……あ、あくまで強さにだぞ!? へ、変な意味はなくて……というか、早く手続きを頼む」
「は、はいっ! フレイアさんでしたら、A級冒険者からのスタートとなりますが、宜しいでしょうか?」
凄いな。
俺なんて、いろいろ質問されたあげくにF級からのスタートとなったのに、何も聞かれずにA級からのスタートなのか。
まぁ、フレイアはあの強さだしな。妥当と言えば妥当な気がするのだが、フレイアは納得出来ないようで、職員の女性に食い下がる。
「ん? いや、それは困るな」
「し、しかし、いくらフレイアさんでも、いきなりS級からの登録というのは前例が無くて……」
「そうではない。アルフレッドと同じF級からにして欲しいのだ」
「……はい? あの、仰る意味が分からないのですが」
「だから、私はアルフレッドと一緒じゃないと嫌なのだ! アルフレッドと同じ等級にしてくれ」
フレイアは気付いていないようだが、よく通る大きな声がギルドに響き渡り、
「……あの剣聖フレイアがダメ彼氏のせいで、とんでもない事になっているぞ!?」
「……フレイアがF級って何の冗談だよ! D級の俺よりフレイアが下だなんて、勘弁してくれよ」
「……しかし、あの堅物のフレイアに男が出来たのか。……あー、一緒に居る男に染まるタイプだったのか。意外だな」
最初にフレイアが変な事を大声で言った事もあり、とんでもない勘違いをされているぞ!?
「あの、出来れば普通にA級冒険者として……」
「ダメだ。私はアルフレッドと一緒が良いのだ!」
「……わかりました。少しお待ちください」
職員の女性が折れて手続きを始めたんだが……溜息を吐きながら、冷たい目で俺を見るのはやめてくれよ。
54
お気に入りに追加
2,136
あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中


称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる