料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人

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第7話 ロゾヤの街のフレイア

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 ロゾヤの街へ到着すると、街の門で兵士さんに馬車が止められたのだが、

「く、クララ様っ!? し、失礼いたしました。どうぞ」

 窓からクララが顔を出して何かを言っただけで、あっさり通れてしまった。
 せっかくラスカフリャの村で冒険者証を作ってもらったのに……まぁいいか。
 とりあえず、そろそろ降ろしてもらおうかと思った所で、丁度馬車が停車した。

「アルフレッド様。参りましょう」
「え? あぁ、送ってくれてありがとう。この馬車の代金は……」
「違いますよ。ロゾヤの街へ向かう私をアルフレッド様が護衛してくださったのです。ありがとうございます」

 そう言って、クララが頭を下げてくるが、本当に何もしていないってば。
 そんな事を話しながら、クララと一緒に馬車を降りると、

「クララ様っ! よくぞ御無事で!」
「フレイア!? 貴女は、別の任務で遠出していたのでは?」
「クララ様が襲われたと聞き、大急ぎで戻って参りました」

 いつの間に現れたのか、クララの傍に青髪の凛とした女性が立っていた。
 腰に高そうな剣を差しているし、きっと女性騎士とか姫騎士とかって感じの人なのだろう。
 しかし、流石は異世界だ。大きな街だからか、目の前の青髪の女性を始め、赤髪の人やピンク色の髪の人も居るし、獣人と言うのだろうか。頭から大きな耳が生えた人が、通りを歩いて居たりする。

「むっ……クララ様。先程からキョロキョロしているこの男は、一体誰なのでしょうか? 遠目にクララ様と同じ馬車から降りてきたようにも見えたのですが」
「あら? フレイアには伝わっていないのかしら? こちらのアルフレッド様が、私を助けてくださった命の恩人なの」
「クララ。助けたのは事実だけど、そう何度も恩人だって言わなくても大丈夫だよ? それにクララは俺の友達になったんだろ? だったら、貸し借りなんて無しにしようよ」

 クララを助ける為に俺が死にかけたとかって訳でも無いから気にしなくても良いし、お礼も要らないのだけど、クララは意外に頑固なのか、事ある毎に命の恩人だと言ってくる。
 俺としては、命の恩人よりも、友達だって紹介される方が嬉しいんだけどな。
 そう思った所で、

「ちょっと貴方っ! クララ様を助けてくださった事には感謝します。ですが、クララ様になんて口の聞き方をしているのですかっ!?」
「ふ、フレイアっ!? 待って!」

 フレイアと呼ばれた女性が、いきなり詰め寄って来る。

「いや、クララとは友達になったからなんだけど」
「友だ……な、何ですって!? そんな、ふざけた事を言って許されるとでも!?」
「フレイア、待ってください! アルフレッド様には、私からお友達になって欲しいとお願いしたのです!」

 慌ててクララがフレイアを止めに入るが……どうして、こんなに怒っているんだ?

「クララ様から!? で、ですが、この者は……ご覧ください! この冒険者証は、見習いとされるFランクを示しています。このような者がクララ様のお傍に居るのは相応しくな……」
「フレイア。貴女と同じ様な事を言ったA級冒険者が私の護衛に居ました。その人は、アルフレッド様に手も足も出ませんでした。おそらく、フレイアでもアルフレッド様には……」
「ま、待ってください! そのお言葉には同意しかねます。国内でも、五本の指に入ると言われている私が、この者に勝てないと思われるのですか?」
「……」
「わかりました。アルフレッド……と言ったかな。私と付き合って欲しい」

 えぇっ!? この流れで、どうしてそういう話になるんだ!?
 いや、もちろんフレイアさんは凄く綺麗だし、おそらく歳も近いだろう。
 だけど、会って数分で付き合ってだなんて……い、異世界だからだろうか。
 どうしたものかと思っていると、

「アルフレッド! どちらがクララ様をお守りするのに相応しいか、勝負だっ!」
「……え? えぇぇぇっ!?」

 何がどうなったのか、フレイアさんという女性と勝負する事になってしまった。
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