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挿話2 アルフレッドがF級冒険者とされている事が納得いかない聖女クララ
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「アルフレッド様と仰るのですね! 私は、このエスパナ公国で聖女をしておりますクララと申します」
命の恩人であるアルフレッド様へ、ハーヴィーさんが斬りかかった時は血の気が引いたけど……アルフレッド様が寛大な御方で良かった。
護衛として雇っていた私も、共に裁かれても仕方が無いくらいに失礼な事となってしまったのに、あっさりお許しくださって。
アルフレッド様にお話を伺うと、私と同じロゾヤの街へ行かれるらしい。
アルフレッド様はドラゴンを倒し、私の命を救ってくださったのに、一切お礼を受け取ってくださらないので……そうだ! 冒険者だと言っていたし、護衛という形で同行していただこう。
そうすれば、報酬という形でお礼をお渡し出来ます。
これなら、アルフレッド様も私の気持ちを……じゃなくて、お礼を受け取ってくださるはずよっ!
「一緒に行くのは構わないんですけど、俺は護衛の依頼はまだ請けられないんですよ。Fランクの見習い冒険者だから」
……は? いやいや、アルフレッド様は、S級……せめてA級じゃないとおかしいんですけど。
突然現れたドラゴンを一人で倒せる冒険者なんて、この国どころか、世界中でアルフレッド様以外に居ないわよっ!
「少しお待ちください」
アルフレッド様に少しお待ちいただき、一人で冒険者ギルドへ。
「いらっしゃいま……せ、聖女クララ様っ!? い、一体、どういう御用件でしょうか!? 何か、馬車のトラブルですか!? それとも、護衛の冒険者が何か粗相を!?」
「護衛の方がとんでもない事をしでかしましたけど……それはさておき、先程この建物から出て来られた、アルフレッド様の事です」
「アルフレッド……あぁ、あの何のスキルも持たない方ですね? 顔は悪く無いので、冒険者よりも違う職に就いた方が……」
「何を言っているのですか!? アルフレッド様は、A級冒険者が束になって敵わなかった魔物を一人で倒し、私の命を助けてくださったんです! それなのに、あの御方がF級って、どういう事なのですかっ!?」
「えっ!? ど、どういう事でしょうか……」
「今、話した通りです! アルフレッド様の実力は私が保証します! F級なんて誤ったランクではなく、A級……いえ、S級冒険者に認定してください!」
「え、えぇぇぇっ!? あの人、そんなに凄い人なんですか!? そ、そんな風には見えなかった……す、すみません。何でもありません」
聖女である私の言葉を疑うという事が、どういう意味かを思い出したらしく、女性のギルド職員さんが今にも泣き出しそうになる。
泣かなくて良いから、アルフレッド様のランクを正しく直して欲しいんですけど。
「あ、あの……非常に言い難いのですが、あの方にはF級の冒険者証を既に発行してしまっておりまして……」
「ですから、それを本来あるべきS級にしなさいと言って居るんです。でないとハーヴィーさんのように、F級冒険者に手も足も出ないA級冒険者が大量発生しますよ?」
「えっ!? あの、性格は悪いけど、剣の腕は悪く無いハーヴィーさんが!? ……えっと、それがですね。冒険者ギルドの決まりで、一度発行した冒険者証は、不正防止の為に絶対再発行が出来ず、等級も正規の手続きを行わないと、上げられないんです……」
「……聖女である私が依頼してもですか?」
「ご、ごめんなさいっ! 例え、何処かの国王が依頼しても、これは覆す事が出来なくて……ご、ごめんなさいぃぃぃっ!」
何て事でしょう。
……ですが、仕方ありません。無理な事に時間を使って、アルフレッド様をお待たせする訳には参りませんからね。
「わかりました。一先ず、大至急ロゾヤの街行きの貸切馬車を用意してください。あと、ペンと紙を」
「は、はい! 今すぐ準備致しますっ!」
女性からペンと紙を受け取ると、召喚魔法でドラゴンが呼び出され、危うく殺されかけた事。アルフレッド様に助けていただいた事。一旦、ロゾヤの街へ戻る事を記し、転送魔法で王宮へ送る。
この魔法で、文字以外も送る事が出来ればもっと便利なんだけど……まぁ仕方ないわね。
用意してもらった貸切馬車へアルフレッド様と乗り、暫くお喋りをしていると、
「分かった。じゃあ、改めてよろしくな。クララ」
「はいっ! よろしくお願い致しますね。アルフレッド様!」
ふふっ、名前を呼び捨てで呼んでもらえるようになっちゃった。
アルフレッド様は誠実なのは素敵ですが、もう少し私に触れても良いんですよ?
あ、もちろんそれは、私だけにお願いしたいですが。
「アルフレッド様! 見えましたよ。ロゾヤの街です」
「へぇー。大きな街だね」
もう少しお喋りしたかったけど、楽しい時間はすぐに過ぎてしまうもので……ロゾヤの街へ到着した。
命の恩人であるアルフレッド様へ、ハーヴィーさんが斬りかかった時は血の気が引いたけど……アルフレッド様が寛大な御方で良かった。
護衛として雇っていた私も、共に裁かれても仕方が無いくらいに失礼な事となってしまったのに、あっさりお許しくださって。
アルフレッド様にお話を伺うと、私と同じロゾヤの街へ行かれるらしい。
アルフレッド様はドラゴンを倒し、私の命を救ってくださったのに、一切お礼を受け取ってくださらないので……そうだ! 冒険者だと言っていたし、護衛という形で同行していただこう。
そうすれば、報酬という形でお礼をお渡し出来ます。
これなら、アルフレッド様も私の気持ちを……じゃなくて、お礼を受け取ってくださるはずよっ!
「一緒に行くのは構わないんですけど、俺は護衛の依頼はまだ請けられないんですよ。Fランクの見習い冒険者だから」
……は? いやいや、アルフレッド様は、S級……せめてA級じゃないとおかしいんですけど。
突然現れたドラゴンを一人で倒せる冒険者なんて、この国どころか、世界中でアルフレッド様以外に居ないわよっ!
「少しお待ちください」
アルフレッド様に少しお待ちいただき、一人で冒険者ギルドへ。
「いらっしゃいま……せ、聖女クララ様っ!? い、一体、どういう御用件でしょうか!? 何か、馬車のトラブルですか!? それとも、護衛の冒険者が何か粗相を!?」
「護衛の方がとんでもない事をしでかしましたけど……それはさておき、先程この建物から出て来られた、アルフレッド様の事です」
「アルフレッド……あぁ、あの何のスキルも持たない方ですね? 顔は悪く無いので、冒険者よりも違う職に就いた方が……」
「何を言っているのですか!? アルフレッド様は、A級冒険者が束になって敵わなかった魔物を一人で倒し、私の命を助けてくださったんです! それなのに、あの御方がF級って、どういう事なのですかっ!?」
「えっ!? ど、どういう事でしょうか……」
「今、話した通りです! アルフレッド様の実力は私が保証します! F級なんて誤ったランクではなく、A級……いえ、S級冒険者に認定してください!」
「え、えぇぇぇっ!? あの人、そんなに凄い人なんですか!? そ、そんな風には見えなかった……す、すみません。何でもありません」
聖女である私の言葉を疑うという事が、どういう意味かを思い出したらしく、女性のギルド職員さんが今にも泣き出しそうになる。
泣かなくて良いから、アルフレッド様のランクを正しく直して欲しいんですけど。
「あ、あの……非常に言い難いのですが、あの方にはF級の冒険者証を既に発行してしまっておりまして……」
「ですから、それを本来あるべきS級にしなさいと言って居るんです。でないとハーヴィーさんのように、F級冒険者に手も足も出ないA級冒険者が大量発生しますよ?」
「えっ!? あの、性格は悪いけど、剣の腕は悪く無いハーヴィーさんが!? ……えっと、それがですね。冒険者ギルドの決まりで、一度発行した冒険者証は、不正防止の為に絶対再発行が出来ず、等級も正規の手続きを行わないと、上げられないんです……」
「……聖女である私が依頼してもですか?」
「ご、ごめんなさいっ! 例え、何処かの国王が依頼しても、これは覆す事が出来なくて……ご、ごめんなさいぃぃぃっ!」
何て事でしょう。
……ですが、仕方ありません。無理な事に時間を使って、アルフレッド様をお待たせする訳には参りませんからね。
「わかりました。一先ず、大至急ロゾヤの街行きの貸切馬車を用意してください。あと、ペンと紙を」
「は、はい! 今すぐ準備致しますっ!」
女性からペンと紙を受け取ると、召喚魔法でドラゴンが呼び出され、危うく殺されかけた事。アルフレッド様に助けていただいた事。一旦、ロゾヤの街へ戻る事を記し、転送魔法で王宮へ送る。
この魔法で、文字以外も送る事が出来ればもっと便利なんだけど……まぁ仕方ないわね。
用意してもらった貸切馬車へアルフレッド様と乗り、暫くお喋りをしていると、
「分かった。じゃあ、改めてよろしくな。クララ」
「はいっ! よろしくお願い致しますね。アルフレッド様!」
ふふっ、名前を呼び捨てで呼んでもらえるようになっちゃった。
アルフレッド様は誠実なのは素敵ですが、もう少し私に触れても良いんですよ?
あ、もちろんそれは、私だけにお願いしたいですが。
「アルフレッド様! 見えましたよ。ロゾヤの街です」
「へぇー。大きな街だね」
もう少しお喋りしたかったけど、楽しい時間はすぐに過ぎてしまうもので……ロゾヤの街へ到着した。
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