84 / 90
第2章 ゴミスキルと魔導少女たち
第78話 偽名のカーディ
しおりを挟む
「シャルロット、今の見た? ベルナルド伯爵の周りは重力で遅くなるけど、僕は遅くならなかったんだ」
クリスを抱きかかえて、レナさんから離れると、先ずはシャルロットに耳打ちする。
見れば、マリーがベルナルドに攻撃魔法を放っていてくれて、レナさんが防御魔法を使っていたので、追撃されなかったようだ。
「はい、確認しました。本人はともかく、レナも普通通りに動いているので、その辺りに何か秘密がありそうです」
確かに。言われてみれば、その通りだ。
ベルナルドから一定の範囲に近付くと、重力魔法の影響を受けるのは、氷の魔銃やクリスで確認済みだけど、それなのにレナさんが普通に動いているのは変だ。
レナさんだけ除外して、一定範囲に魔法かける……なんて出来るの?
その逆で、レナさんにだけに魔法を掛けるって事なら出来そうだけど。
「……やはり、消費魔力量がおかしい気がします。重力系の魔法は魔力消費が激しいのですが、あの人の周囲全体に有効となるように魔法を掛けているにしては、少な過ぎます」
「つまり、何か仕掛けがあるって事だよね?」
「えぇ。あの魔力量では、せいぜい数人に魔法かけるのがせいぜいかと」
ん? という事は、ベルナルド伯爵の範囲全てに重力魔法を有効にしている訳ではなく、現れる前に、予め僕たちに重力魔法を掛けていたって事?
言われてみれば、ベルナルド伯爵から離れたクリスの動きが未だに遅いし、マリーも少し鈍いような気もする。
シャルロットは攻撃する意思がないっていっていたから対象外だとして、僕に掛けられていないのは何故?
でも、氷の魔銃の弾は重力の影響を受けているし。
「さて。シャルロットが協力してくれるという相談は終わったかね? 今のも、追撃しようと思えば出来たんだがね」
おそらく、これは事実なのだろう。
動きが鈍くなっている状態で、こちら側にレナさんのスピードに対応出来る訳がない。
だけど、だからと言ってシャルロットを変な事に協力させる訳にはいかないんだっ!
再び氷の魔銃に魔力を込めて、撃つ。
「砲撃系は効かぬと言ってやったのに、まだ分からぬのか?」
これまでと同様に、ベルナルド伯爵へ届く前に氷の弾が地面に落ち……氷の壁を作る。
先程の氷と合わさり、ベルナルド伯爵の視界を塞いだ瞬間、こっそり出して魔力を込めておいた火の魔銃を撃つ!
「こんなもの……レナ」
レナさんがベルナルドの指示で氷の壁を蹴り壊したけど、もう遅い。
火の魔銃は、弾の速度が遅く、射程も短いけど、放物線を描くように飛ぶ。
既にベルナルドの頭上に火の弾が飛んでいて、そこから落下してくるんだけど、重力によって落下速度が速くなる。
「……何の、音だ!? 何かが飛んで来るような……」
音のする方向……頭上にレナさんが気付き、チラッと見上げたけど、何も言わない?
ベルナルドは耳が遠いのか、何かが飛来している事には気付いているみたいだけど、方向が分かって居ない。
「レナ。何か分からんが、防御魔法を……」
「手遅れですよ」
レナさんがそう言った直後、加速された火炎弾がベルナルドに直撃する!
魔力はそれほど込めて居ないけど、相手は老人だから……仕方が無いとは言え、やり過ぎたかも!?
「マリー! 治癒魔法の準備を!」
「貴方……まぁいいわ」
「シャルロット! 何か危険な罠とかの検知を!」
バラバラに吹き飛んだベルナルドとレナさんを見て……レナさんは火炎弾が来る事が分かっていたからか、服が燃えただけで、命の別状は無さそうだ。
一方のベルナルドは……良かった。生きている。
一先ずベルナルドに近寄り、先ずは氷の銃を構え、
「まだ戦うつもりはありますか? 無ければ治療しますが、戦いを選ぶのであれば、容赦なく撃ちます」
先ずは戦意の確認を。
出来れば、撃ちたくはないけど、回答に依る。
「くっ……ま、待て。待ってくれ。一つ聞かせて欲しい。その水色の魔銃と赤色の魔銃……どうして、そんなに素早く持ち替えられるのだ!? 何故ワシの重力魔法が効かぬのだ……カーディよ」
「……おそらくですが、その魔法って、相手の名前を必要としませんか? だとしたら、カーディは偽名なので」
「くっ……まさかギルドに偽名で登録しているとはな」
そう言って、ベルナルドがガックリと項垂れた所で……突然その首が鮮血と共に宙を舞った。
クリスを抱きかかえて、レナさんから離れると、先ずはシャルロットに耳打ちする。
見れば、マリーがベルナルドに攻撃魔法を放っていてくれて、レナさんが防御魔法を使っていたので、追撃されなかったようだ。
「はい、確認しました。本人はともかく、レナも普通通りに動いているので、その辺りに何か秘密がありそうです」
確かに。言われてみれば、その通りだ。
ベルナルドから一定の範囲に近付くと、重力魔法の影響を受けるのは、氷の魔銃やクリスで確認済みだけど、それなのにレナさんが普通に動いているのは変だ。
レナさんだけ除外して、一定範囲に魔法かける……なんて出来るの?
その逆で、レナさんにだけに魔法を掛けるって事なら出来そうだけど。
「……やはり、消費魔力量がおかしい気がします。重力系の魔法は魔力消費が激しいのですが、あの人の周囲全体に有効となるように魔法を掛けているにしては、少な過ぎます」
「つまり、何か仕掛けがあるって事だよね?」
「えぇ。あの魔力量では、せいぜい数人に魔法かけるのがせいぜいかと」
ん? という事は、ベルナルド伯爵の範囲全てに重力魔法を有効にしている訳ではなく、現れる前に、予め僕たちに重力魔法を掛けていたって事?
言われてみれば、ベルナルド伯爵から離れたクリスの動きが未だに遅いし、マリーも少し鈍いような気もする。
シャルロットは攻撃する意思がないっていっていたから対象外だとして、僕に掛けられていないのは何故?
でも、氷の魔銃の弾は重力の影響を受けているし。
「さて。シャルロットが協力してくれるという相談は終わったかね? 今のも、追撃しようと思えば出来たんだがね」
おそらく、これは事実なのだろう。
動きが鈍くなっている状態で、こちら側にレナさんのスピードに対応出来る訳がない。
だけど、だからと言ってシャルロットを変な事に協力させる訳にはいかないんだっ!
再び氷の魔銃に魔力を込めて、撃つ。
「砲撃系は効かぬと言ってやったのに、まだ分からぬのか?」
これまでと同様に、ベルナルド伯爵へ届く前に氷の弾が地面に落ち……氷の壁を作る。
先程の氷と合わさり、ベルナルド伯爵の視界を塞いだ瞬間、こっそり出して魔力を込めておいた火の魔銃を撃つ!
「こんなもの……レナ」
レナさんがベルナルドの指示で氷の壁を蹴り壊したけど、もう遅い。
火の魔銃は、弾の速度が遅く、射程も短いけど、放物線を描くように飛ぶ。
既にベルナルドの頭上に火の弾が飛んでいて、そこから落下してくるんだけど、重力によって落下速度が速くなる。
「……何の、音だ!? 何かが飛んで来るような……」
音のする方向……頭上にレナさんが気付き、チラッと見上げたけど、何も言わない?
ベルナルドは耳が遠いのか、何かが飛来している事には気付いているみたいだけど、方向が分かって居ない。
「レナ。何か分からんが、防御魔法を……」
「手遅れですよ」
レナさんがそう言った直後、加速された火炎弾がベルナルドに直撃する!
魔力はそれほど込めて居ないけど、相手は老人だから……仕方が無いとは言え、やり過ぎたかも!?
「マリー! 治癒魔法の準備を!」
「貴方……まぁいいわ」
「シャルロット! 何か危険な罠とかの検知を!」
バラバラに吹き飛んだベルナルドとレナさんを見て……レナさんは火炎弾が来る事が分かっていたからか、服が燃えただけで、命の別状は無さそうだ。
一方のベルナルドは……良かった。生きている。
一先ずベルナルドに近寄り、先ずは氷の銃を構え、
「まだ戦うつもりはありますか? 無ければ治療しますが、戦いを選ぶのであれば、容赦なく撃ちます」
先ずは戦意の確認を。
出来れば、撃ちたくはないけど、回答に依る。
「くっ……ま、待て。待ってくれ。一つ聞かせて欲しい。その水色の魔銃と赤色の魔銃……どうして、そんなに素早く持ち替えられるのだ!? 何故ワシの重力魔法が効かぬのだ……カーディよ」
「……おそらくですが、その魔法って、相手の名前を必要としませんか? だとしたら、カーディは偽名なので」
「くっ……まさかギルドに偽名で登録しているとはな」
そう言って、ベルナルドがガックリと項垂れた所で……突然その首が鮮血と共に宙を舞った。
5
お気に入りに追加
1,599
あなたにおすすめの小説
追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚
ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。
しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。
なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!
このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。
なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。
自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!
本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。
しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。
本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。
本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。
思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!
ざまぁフラグなんて知りません!
これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。
・本来の主人公は荷物持ち
・主人公は追放する側の勇者に転生
・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です
・パーティー追放ものの逆側の話
※カクヨム、ハーメルンにて掲載
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい
桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる