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第2章 ゴミスキルと魔導少女たち

第77話 重力魔法

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「ベルナルドさん!? どうしてこんな所に!? というか、どうやって!?」
「はっはっは。もちろん、レナから情報を得ているからに決まっているだろう。ふん……貴様が屋敷でシャルロットを出さなかったお陰で、こんな所まで来る事になってしまったではないか」

 という事は、最初からベルナルド伯爵もレナさんも、シャルロットを狙っていた!?
 でも、レナさんは……いや、今はベルナルド伯爵に集中しよう。
 高齢だから、そこまで魔力は高くないはずだけど、その分狡猾な気がする。

「グラビティ」

 ベルナルド伯爵が唐突に魔法を使い、小さな小石を投げると……レナさんを閉じ込めた穴の氷の蓋が、崩れ落ちた。

「あれは重力操作の魔法です。使い方次第では普通に攻撃魔法を使われるより厄介ですが、あれは魔力の消費が激しいはずです」

 シャルロットが説明してくれたけど、それより気になるのは、

「レナ」
「はい。お手数をお掛けしてしまい、申し訳ありません」

 一旦戦闘不能にしたと思っていたレナさんが、あっという間に復活してしまった。
 しかも、後衛にベルナルド伯爵が居て、魔法攻撃を放ってくる……って、闇魔法は全く効かなかったから良かったけど、今回は直接攻撃を仕掛けてくるから、さっきより厳しい。
 一先ず、ベルナルド伯爵に向けて氷の弾を撃つと……届かずに途中で地面に落ちた!?

「ふっ、ワシにその武器は効かぬぞ。お主たちの事は良く調べている。魔銃という古代の武器を使う事や、最強と呼ばれるシャルロットの弱点が、お主である事もな」
「え? そんな事は無いと思うけど……」
「えぇぇぇっ!? こんなに分かり易いのに、そんな事言うんですかっ!? あの……頑張ってください」

 何だろう。ベルナルド伯爵が、誤った事を言ったから訂正したら、何故かレナさんに驚かれてしまった。

「あー、話を戻すが、そちらは中距離攻撃が主体であろう。だが、先程見せた通り、我々に砲撃は効かぬ。その上で言うが、我々はシャルロットに敵対する気は無い」
「は? ちょっとアンタたち、何を言っているの!? 現に、さっき攻撃して来たじゃない!」
「その男にはな。だが、決してシャルロットは攻撃していないハズだ。そのように指示を出しているからな」

 言われてみれば、攻撃されたのは僕とクリスだけ……か?

「いや、貴方は闇魔法で街を混乱させ、シャルロットやマリーを攻撃したじゃないか!」
「それはワシではなく、そこの愚息の仕業だ。全く……シャルロットに攻撃するなど、言語道断。大事な鍵になんという事をしてくれたのだ」

 あ、ベルナルド伯爵と息子の仲が悪いのは本当なのか。

「ん? 鍵って、何? シャルロットに何をさせる気なんだっ!?」
「何もせんよ。ただ、ある封印を解いて欲しいだけなのじゃ。それさえ解いてくれれば、全員の安全を保証しようではないか」

 何かは分からないけど、とりあえずダメな気がする。
 シャルロットが関与するっていう事は、昔の凄い何かなんだよね?
 屋敷では見破れなかったけど、悪い事を企んでいる気がする。
 なので、チラッとマリーに目配せすると、

「ライトニング・ボルト!」

 一筋の雷がベルナルド伯爵に向かって伸びる!
 これは重力で曲げられないだろうし、そもそも物凄く速い。
 ガードする時間なんてないだろうと思っていたのだけど、二人共無傷で立っている。

「……レナさんの風の魔法か」
「そういう事です。カーディさん。私の力不足で間に合いませんでしたが、どうか武器を下ろしてください。私はカーディさんたちを傷付けたくないんです」

 何故か、レナさんが泣き出しそうな表情でそう言った直後、

「お兄ちゃんを攻撃するなーっ!」

 獣人モードのクリスがレナさんに突っ込んで行くけど……重量を操作されているからか、先程のスピードが目に見えて無くなっていて、明らかに遅くなっている。

「ふん。薄汚い獣人に用は無い!」
「やめろぉぉぉっ!」

 ベルナルドがレナさんに何かを指示した所で、僕も駆け出しながら、氷の魔銃に魔力を込める。
 離れた攻撃がダメなら、近付いて撃てば良い!
 魔力が十分とは言えないけど、急いで放ち……やはりベルナルドに届かず、レナさんの足下に落ちる。
 だが、それでいい。
 着弾点に氷の壁が生まれ、レナさんの動きを止めたので、自分が遅くなっている事に気付いていなさそうなクリスの手を引き、その場を離れる。
 ……あれ? 今、僕は普通に動けたよ?
 よく分からないけど、これが反撃の糸口になるかも!
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