神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人

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第2章 ゴミスキルと魔導少女たち

第63話 ご招待

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「はい? 僕たちに何か用ですか?」

 さて、どう出てくるだろうか。
 クリスと共に、相手の出方を待っていると、

「貴方たちをベルナルド伯爵が、お呼びです。一緒について来てください」
「えっ!? どういう事ですか?」
「詳しい事は我々にも分かりません。我々は、貴方たちをお連れするようにとしか言われておりませんので」

 理由を告げずに、ただ来いとだけ言われてしまった。

「すみませんが、先を急ぐので」
「先を急ぐ? こんな草むらを進んで何処へ行くと言うのですか? 何か疾しい事でも?」
「……僕は鍛冶師です。他人に知られたくない鉄の採掘場所があるんです」
「貴方が仮に鍛冶師だとして……鍛冶師が自分で鉄を採掘すると?」
「……えぇ、その通りです」

 咄嗟に誤魔化したけど、言われてみれば、確かに変かも。
 だけど、今更引けないので、それで押し通そうとしたんだけど、

「まぁ採掘については分かりました。ですが、それは貴族からの呼び出しを断る理由に足りますか? 伯爵からの呼び出しを断らなければならない程、急いで採掘する理由は?」

 結局これ以上言い逃れが出来ず、呼び出しに応じる事になってしまった。
 ここに居る冒険者は十人程。
 マリーに出て来てもらい、戦う事も出来るかもしれない。
 だけど、中距離を得意とするマリーは、この距離感は不利だし、ならばこのまま知らないと押し通す方が良さそうだ。

「お兄ちゃん……ど、何処に連れて行かれるんだろ?」
「んー、その伯爵の家じゃないかな? でも、大丈夫だよ。僕たちが人違いだって分かって、すぐに解放してくれるよ」

 一度街まで戻らされると、用意されていた馬車に乗って揺られる事、暫し。
 貴族の馬車だからか、小さな窓が付いただけの、完全個室の狭い馬車なので、途中でマリーを呼び出し、状況説明を行なっておく。

「んー、ここに居る全員を倒しちゃえば?」
「この人たちは伯爵に雇われているって言っていたから、そんな事をしちゃったら、僕たちがお尋ね者になっちゃうよ」
「騎士は倒したのに?」
「いや、だから偽名で身分証とかを作って、国を出たんだけど」
「……そっか。もぅっ! ほんとに面倒ねっ! でもまぁ状況は分かったわ。誰かは分からないけど、マジックフォンが居るんでしょうね」

 かつてのマリーと同じく、シャルロットを狙うマジックフォンが居るって事か。
 そして、おそらくそれがベルナルド伯爵っていう人の所に居る。
 けど、前のマリーみたいに、戦いたくないのに戦わざるを得ないっていう状況は避けたい。
 だから今回は、シャルロットもマリーも、ストレージから出さない事に決め……馬車が止まった。
 扉が開く前にマリーをストレージに収納し、

「こちらへどうぞ。伯爵がお待ちです」

 案内……というか、連行される。
 大きな屋敷の中へ入ると、

「ようこそ、お越し下さいました。こちらへどうぞ」

 冒険者たちは屋敷に入らず、代わりに綺麗なメイドさんが案内してくれる事に。
 しかし、メイドさんにしては、肌の露出が随分と多いというか、らしくない格好だ。
 白いエプロンやホワイトブリムはしているのに、ノースリーブで脇が見えていたり、ミニスカートで太ももを出していたり……

「お兄ちゃん。メイドさんを見過ぎ……」
「え? そうじゃなくて、観察を……」
「それが見過ぎなのっ!」

 気付いた時には、メイドさんに僕の視線がバレていて、優しく微笑まれてしまった。
 違うっ! 違うんだっ!
 変な目で見ていた訳じゃなくて、どうしてそんな格好なんだろうかって考えていただけなのに。

「失礼します」

 そうこうしている内に、別のメイドさんがお茶を出してくれて……って、こっちのメイドさんは、普通の格好だし。
 なんだろう。露出が多いのは、あのメイドさんの趣味なの? それとも伯爵のお気に入りのメイドさんだとか?
 そんな事を考えていると、クリスにジト目で見られていて……

「ご主人様が参られました」

 そのメイドさんが不意に扉を開くと、ベルナルド伯爵と思われるお爺さんがゆっくりと部屋に入ってきた。
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