69 / 90
第2章 ゴミスキルと魔導少女たち
第63話 ご招待
しおりを挟む
「はい? 僕たちに何か用ですか?」
さて、どう出てくるだろうか。
クリスと共に、相手の出方を待っていると、
「貴方たちをベルナルド伯爵が、お呼びです。一緒について来てください」
「えっ!? どういう事ですか?」
「詳しい事は我々にも分かりません。我々は、貴方たちをお連れするようにとしか言われておりませんので」
理由を告げずに、ただ来いとだけ言われてしまった。
「すみませんが、先を急ぐので」
「先を急ぐ? こんな草むらを進んで何処へ行くと言うのですか? 何か疾しい事でも?」
「……僕は鍛冶師です。他人に知られたくない鉄の採掘場所があるんです」
「貴方が仮に鍛冶師だとして……鍛冶師が自分で鉄を採掘すると?」
「……えぇ、その通りです」
咄嗟に誤魔化したけど、言われてみれば、確かに変かも。
だけど、今更引けないので、それで押し通そうとしたんだけど、
「まぁ採掘については分かりました。ですが、それは貴族からの呼び出しを断る理由に足りますか? 伯爵からの呼び出しを断らなければならない程、急いで採掘する理由は?」
結局これ以上言い逃れが出来ず、呼び出しに応じる事になってしまった。
ここに居る冒険者は十人程。
マリーに出て来てもらい、戦う事も出来るかもしれない。
だけど、中距離を得意とするマリーは、この距離感は不利だし、ならばこのまま知らないと押し通す方が良さそうだ。
「お兄ちゃん……ど、何処に連れて行かれるんだろ?」
「んー、その伯爵の家じゃないかな? でも、大丈夫だよ。僕たちが人違いだって分かって、すぐに解放してくれるよ」
一度街まで戻らされると、用意されていた馬車に乗って揺られる事、暫し。
貴族の馬車だからか、小さな窓が付いただけの、完全個室の狭い馬車なので、途中でマリーを呼び出し、状況説明を行なっておく。
「んー、ここに居る全員を倒しちゃえば?」
「この人たちは伯爵に雇われているって言っていたから、そんな事をしちゃったら、僕たちがお尋ね者になっちゃうよ」
「騎士は倒したのに?」
「いや、だから偽名で身分証とかを作って、国を出たんだけど」
「……そっか。もぅっ! ほんとに面倒ねっ! でもまぁ状況は分かったわ。誰かは分からないけど、マジックフォンが居るんでしょうね」
かつてのマリーと同じく、シャルロットを狙うマジックフォンが居るって事か。
そして、おそらくそれがベルナルド伯爵っていう人の所に居る。
けど、前のマリーみたいに、戦いたくないのに戦わざるを得ないっていう状況は避けたい。
だから今回は、シャルロットもマリーも、ストレージから出さない事に決め……馬車が止まった。
扉が開く前にマリーをストレージに収納し、
「こちらへどうぞ。伯爵がお待ちです」
案内……というか、連行される。
大きな屋敷の中へ入ると、
「ようこそ、お越し下さいました。こちらへどうぞ」
冒険者たちは屋敷に入らず、代わりに綺麗なメイドさんが案内してくれる事に。
しかし、メイドさんにしては、肌の露出が随分と多いというか、らしくない格好だ。
白いエプロンやホワイトブリムはしているのに、ノースリーブで脇が見えていたり、ミニスカートで太ももを出していたり……
「お兄ちゃん。メイドさんを見過ぎ……」
「え? そうじゃなくて、観察を……」
「それが見過ぎなのっ!」
気付いた時には、メイドさんに僕の視線がバレていて、優しく微笑まれてしまった。
違うっ! 違うんだっ!
変な目で見ていた訳じゃなくて、どうしてそんな格好なんだろうかって考えていただけなのに。
「失礼します」
そうこうしている内に、別のメイドさんがお茶を出してくれて……って、こっちのメイドさんは、普通の格好だし。
なんだろう。露出が多いのは、あのメイドさんの趣味なの? それとも伯爵のお気に入りのメイドさんだとか?
そんな事を考えていると、クリスにジト目で見られていて……
「ご主人様が参られました」
そのメイドさんが不意に扉を開くと、ベルナルド伯爵と思われるお爺さんがゆっくりと部屋に入ってきた。
さて、どう出てくるだろうか。
クリスと共に、相手の出方を待っていると、
「貴方たちをベルナルド伯爵が、お呼びです。一緒について来てください」
「えっ!? どういう事ですか?」
「詳しい事は我々にも分かりません。我々は、貴方たちをお連れするようにとしか言われておりませんので」
理由を告げずに、ただ来いとだけ言われてしまった。
「すみませんが、先を急ぐので」
「先を急ぐ? こんな草むらを進んで何処へ行くと言うのですか? 何か疾しい事でも?」
「……僕は鍛冶師です。他人に知られたくない鉄の採掘場所があるんです」
「貴方が仮に鍛冶師だとして……鍛冶師が自分で鉄を採掘すると?」
「……えぇ、その通りです」
咄嗟に誤魔化したけど、言われてみれば、確かに変かも。
だけど、今更引けないので、それで押し通そうとしたんだけど、
「まぁ採掘については分かりました。ですが、それは貴族からの呼び出しを断る理由に足りますか? 伯爵からの呼び出しを断らなければならない程、急いで採掘する理由は?」
結局これ以上言い逃れが出来ず、呼び出しに応じる事になってしまった。
ここに居る冒険者は十人程。
マリーに出て来てもらい、戦う事も出来るかもしれない。
だけど、中距離を得意とするマリーは、この距離感は不利だし、ならばこのまま知らないと押し通す方が良さそうだ。
「お兄ちゃん……ど、何処に連れて行かれるんだろ?」
「んー、その伯爵の家じゃないかな? でも、大丈夫だよ。僕たちが人違いだって分かって、すぐに解放してくれるよ」
一度街まで戻らされると、用意されていた馬車に乗って揺られる事、暫し。
貴族の馬車だからか、小さな窓が付いただけの、完全個室の狭い馬車なので、途中でマリーを呼び出し、状況説明を行なっておく。
「んー、ここに居る全員を倒しちゃえば?」
「この人たちは伯爵に雇われているって言っていたから、そんな事をしちゃったら、僕たちがお尋ね者になっちゃうよ」
「騎士は倒したのに?」
「いや、だから偽名で身分証とかを作って、国を出たんだけど」
「……そっか。もぅっ! ほんとに面倒ねっ! でもまぁ状況は分かったわ。誰かは分からないけど、マジックフォンが居るんでしょうね」
かつてのマリーと同じく、シャルロットを狙うマジックフォンが居るって事か。
そして、おそらくそれがベルナルド伯爵っていう人の所に居る。
けど、前のマリーみたいに、戦いたくないのに戦わざるを得ないっていう状況は避けたい。
だから今回は、シャルロットもマリーも、ストレージから出さない事に決め……馬車が止まった。
扉が開く前にマリーをストレージに収納し、
「こちらへどうぞ。伯爵がお待ちです」
案内……というか、連行される。
大きな屋敷の中へ入ると、
「ようこそ、お越し下さいました。こちらへどうぞ」
冒険者たちは屋敷に入らず、代わりに綺麗なメイドさんが案内してくれる事に。
しかし、メイドさんにしては、肌の露出が随分と多いというか、らしくない格好だ。
白いエプロンやホワイトブリムはしているのに、ノースリーブで脇が見えていたり、ミニスカートで太ももを出していたり……
「お兄ちゃん。メイドさんを見過ぎ……」
「え? そうじゃなくて、観察を……」
「それが見過ぎなのっ!」
気付いた時には、メイドさんに僕の視線がバレていて、優しく微笑まれてしまった。
違うっ! 違うんだっ!
変な目で見ていた訳じゃなくて、どうしてそんな格好なんだろうかって考えていただけなのに。
「失礼します」
そうこうしている内に、別のメイドさんがお茶を出してくれて……って、こっちのメイドさんは、普通の格好だし。
なんだろう。露出が多いのは、あのメイドさんの趣味なの? それとも伯爵のお気に入りのメイドさんだとか?
そんな事を考えていると、クリスにジト目で見られていて……
「ご主人様が参られました」
そのメイドさんが不意に扉を開くと、ベルナルド伯爵と思われるお爺さんがゆっくりと部屋に入ってきた。
15
お気に入りに追加
1,599
あなたにおすすめの小説
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる