65 / 90
第2章 ゴミスキルと魔導少女たち
第60話 国境へ
しおりを挟む
「着いたよ。ケセラーの街だ」
鍛冶師になってから、各街でゴミを集めつつ、最初に作った短剣と同じ物を馬車の中で作っては、ギルドに販売を委託してきた。
というのも、あくまで今の僕たちはこの国から出る事を最優先にしているので、昇格とかはクリスの生まれ故郷の国へ着いてからにしよう……という話をしているからだ。
「すみません。武器を作ったので、委託販売をお願いしたいんですけど」
「はいはい。じゃあ、先ずはギルド証を……って、貴方がカーディさんなのね。という事は、お三方がCCCの武器を作っている鍛冶師たちね」
「えぇ、僕たち三人で短剣を作っています」
「あの短剣は耐久性と斬れ味が共に良くて、とっても人気よ。あれなら、ギルドへ委託販売するより、どこかの商人にでも直接売った方が良いんじゃない? 委託販売はギルドが手数料をもらうから、その分損するわよ?」
「いえ、今は旅の途中なので、売買であまり時間を取りたく無いのと、委託販売だと鍛冶ギルドがある街なら何処でも売上を受け取れるので、こっちの方が都合が良くて」
ギルドのお姉さんが、なるほどねーと言いながら、僕が出した短剣を受け取り、これまでに売れた短剣の代金を出してくれる。
しかし、手数料が引かれているのと、何より今は鉄の短剣しか売ってないから、買取屋のテレーズさんの所へ行くよりも、かなり少ないけど、まぁ仕方ないという事で。
「ところで、貴方たちは短剣以外は作らないの? 冒険者に短剣はよく売れているし、剣や斧、それから盾や鎧なんかを作れば、すぐにB級へ昇格出来そうなのに」
お姉さん曰く、短剣は冒険者の予備の武器や、貴族の護身用。それから女性やスピード重視の人が買うらしい。
だけど予備の武器なので、中々買い替えなかったり、貴族は武器としては微妙でも、装飾の付いた煌びやかな物を選ぶので、売れない訳ではないが、めちゃくちゃ売れる訳でもないと。
なので、オーソドックスな剣や斧の方が良く売れるそうだ。……特に、冒険者はよく壊すので。
一先ず、旅が落ち着いたら作ると答え、宿の確保と、ゴミの回収へ。
「そういえば、お兄ちゃんはどうして短剣ばかり作るの?」
「ん? あぁ、短剣は一度イメージが固まったから、作るのが楽というか、すぐ作れるからね。さっきの職員さんが言っていたみたいに、新たに剣を作ろうと思ったら、先ずは見本を見つけて、じっくり観察して、イメージを固めて……って、ちゃんと作ろうとすると、それなりに時間が掛かっちゃうからさ」
とはいえ、普通に剣を作るのに比べれば、きっと遙かに楽で早いんだろうけどね。
「そっかー。それに、短剣より剣の方が沢山材料が要りそうだもんねー」
「まぁでも、新たな街に着く度に、こうしてゴミの回収をしているから、そこは大丈夫だと思うよ。それより……シャルロット。確か次の街はロールシア国だよね?」
「はい、その通りです。明日の朝に馬車に乗れば、お昼前には国境の村ですね」
いよいよだ。
十六年間、一度も他の国へ行った事がなかったから、実は凄く楽しみだったりする。
それに、クリスを家に帰してあげる事も出来るしね。
「お兄ちゃん、いよいよだね! パパとママに紹介するから、頑張ってね!」
「ん? 頑張る? 挨拶は普通にするよ?」
「流石、カーティスさん。余裕ですね。こればっかりは私やマリーには出来ないイベントですので、しっかり体験してきてください」
んん? ただ、クリスのご両親に挨拶するだけだよね?
シャルロットやマリーの親に挨拶出来ないっていうのは分かるけどさ。
とりあえず夕食を済ませ、お風呂……も何とか済ませて、就寝。
翌朝は、予定通り乗合馬車で移動し、あっさりと国境へ。
「お客様方。すみませんが、一旦馬車から降りて下さい。兵士さんが身分証の確認をされますので、そちらに並んでいただけますか?」
馬車の御者さんが手慣れた感じでお客さんを誘導していき、僕たちもそれに倣う。
意外にサクサクと進んでいき、
「ふむ、鍛冶師か」
「はい。ロールシア国には観光です」
「そうか。別に戦争をする訳ではないが、他国で良い武器を作らぬようにな」
「は、はぁ……」
「よし、通って良いぞ」
無事に国境を越える事が出来た。
ここからは、ロールシア側で馬車を見つけないといけないので、シャルロットに案内してもらっていると、
「カーティスさん……つけられていますね。どうしますか?」
不穏な言葉が告げられてしまった。
鍛冶師になってから、各街でゴミを集めつつ、最初に作った短剣と同じ物を馬車の中で作っては、ギルドに販売を委託してきた。
というのも、あくまで今の僕たちはこの国から出る事を最優先にしているので、昇格とかはクリスの生まれ故郷の国へ着いてからにしよう……という話をしているからだ。
「すみません。武器を作ったので、委託販売をお願いしたいんですけど」
「はいはい。じゃあ、先ずはギルド証を……って、貴方がカーディさんなのね。という事は、お三方がCCCの武器を作っている鍛冶師たちね」
「えぇ、僕たち三人で短剣を作っています」
「あの短剣は耐久性と斬れ味が共に良くて、とっても人気よ。あれなら、ギルドへ委託販売するより、どこかの商人にでも直接売った方が良いんじゃない? 委託販売はギルドが手数料をもらうから、その分損するわよ?」
「いえ、今は旅の途中なので、売買であまり時間を取りたく無いのと、委託販売だと鍛冶ギルドがある街なら何処でも売上を受け取れるので、こっちの方が都合が良くて」
ギルドのお姉さんが、なるほどねーと言いながら、僕が出した短剣を受け取り、これまでに売れた短剣の代金を出してくれる。
しかし、手数料が引かれているのと、何より今は鉄の短剣しか売ってないから、買取屋のテレーズさんの所へ行くよりも、かなり少ないけど、まぁ仕方ないという事で。
「ところで、貴方たちは短剣以外は作らないの? 冒険者に短剣はよく売れているし、剣や斧、それから盾や鎧なんかを作れば、すぐにB級へ昇格出来そうなのに」
お姉さん曰く、短剣は冒険者の予備の武器や、貴族の護身用。それから女性やスピード重視の人が買うらしい。
だけど予備の武器なので、中々買い替えなかったり、貴族は武器としては微妙でも、装飾の付いた煌びやかな物を選ぶので、売れない訳ではないが、めちゃくちゃ売れる訳でもないと。
なので、オーソドックスな剣や斧の方が良く売れるそうだ。……特に、冒険者はよく壊すので。
一先ず、旅が落ち着いたら作ると答え、宿の確保と、ゴミの回収へ。
「そういえば、お兄ちゃんはどうして短剣ばかり作るの?」
「ん? あぁ、短剣は一度イメージが固まったから、作るのが楽というか、すぐ作れるからね。さっきの職員さんが言っていたみたいに、新たに剣を作ろうと思ったら、先ずは見本を見つけて、じっくり観察して、イメージを固めて……って、ちゃんと作ろうとすると、それなりに時間が掛かっちゃうからさ」
とはいえ、普通に剣を作るのに比べれば、きっと遙かに楽で早いんだろうけどね。
「そっかー。それに、短剣より剣の方が沢山材料が要りそうだもんねー」
「まぁでも、新たな街に着く度に、こうしてゴミの回収をしているから、そこは大丈夫だと思うよ。それより……シャルロット。確か次の街はロールシア国だよね?」
「はい、その通りです。明日の朝に馬車に乗れば、お昼前には国境の村ですね」
いよいよだ。
十六年間、一度も他の国へ行った事がなかったから、実は凄く楽しみだったりする。
それに、クリスを家に帰してあげる事も出来るしね。
「お兄ちゃん、いよいよだね! パパとママに紹介するから、頑張ってね!」
「ん? 頑張る? 挨拶は普通にするよ?」
「流石、カーティスさん。余裕ですね。こればっかりは私やマリーには出来ないイベントですので、しっかり体験してきてください」
んん? ただ、クリスのご両親に挨拶するだけだよね?
シャルロットやマリーの親に挨拶出来ないっていうのは分かるけどさ。
とりあえず夕食を済ませ、お風呂……も何とか済ませて、就寝。
翌朝は、予定通り乗合馬車で移動し、あっさりと国境へ。
「お客様方。すみませんが、一旦馬車から降りて下さい。兵士さんが身分証の確認をされますので、そちらに並んでいただけますか?」
馬車の御者さんが手慣れた感じでお客さんを誘導していき、僕たちもそれに倣う。
意外にサクサクと進んでいき、
「ふむ、鍛冶師か」
「はい。ロールシア国には観光です」
「そうか。別に戦争をする訳ではないが、他国で良い武器を作らぬようにな」
「は、はぁ……」
「よし、通って良いぞ」
無事に国境を越える事が出来た。
ここからは、ロールシア側で馬車を見つけないといけないので、シャルロットに案内してもらっていると、
「カーティスさん……つけられていますね。どうしますか?」
不穏な言葉が告げられてしまった。
11
お気に入りに追加
1,599
あなたにおすすめの小説
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい
桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる