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第2章 ゴミスキルと魔導少女たち

第60話 国境へ

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「着いたよ。ケセラーの街だ」

 鍛冶師になってから、各街でゴミを集めつつ、最初に作った短剣と同じ物を馬車の中で作っては、ギルドに販売を委託してきた。
 というのも、あくまで今の僕たちはこの国から出る事を最優先にしているので、昇格とかはクリスの生まれ故郷の国へ着いてからにしよう……という話をしているからだ。

「すみません。武器を作ったので、委託販売をお願いしたいんですけど」
「はいはい。じゃあ、先ずはギルド証を……って、貴方がカーディさんなのね。という事は、お三方がCCCの武器を作っている鍛冶師たちね」
「えぇ、僕たち三人で短剣を作っています」
「あの短剣は耐久性と斬れ味が共に良くて、とっても人気よ。あれなら、ギルドへ委託販売するより、どこかの商人にでも直接売った方が良いんじゃない? 委託販売はギルドが手数料をもらうから、その分損するわよ?」
「いえ、今は旅の途中なので、売買であまり時間を取りたく無いのと、委託販売だと鍛冶ギルドがある街なら何処でも売上を受け取れるので、こっちの方が都合が良くて」

 ギルドのお姉さんが、なるほどねーと言いながら、僕が出した短剣を受け取り、これまでに売れた短剣の代金を出してくれる。
 しかし、手数料が引かれているのと、何より今は鉄の短剣しか売ってないから、買取屋のテレーズさんの所へ行くよりも、かなり少ないけど、まぁ仕方ないという事で。

「ところで、貴方たちは短剣以外は作らないの? 冒険者に短剣はよく売れているし、剣や斧、それから盾や鎧なんかを作れば、すぐにB級へ昇格出来そうなのに」

 お姉さん曰く、短剣は冒険者の予備の武器や、貴族の護身用。それから女性やスピード重視の人が買うらしい。
 だけど予備の武器なので、中々買い替えなかったり、貴族は武器としては微妙でも、装飾の付いた煌びやかな物を選ぶので、売れない訳ではないが、めちゃくちゃ売れる訳でもないと。
 なので、オーソドックスな剣や斧の方が良く売れるそうだ。……特に、冒険者はよく壊すので。
 一先ず、旅が落ち着いたら作ると答え、宿の確保と、ゴミの回収へ。

「そういえば、お兄ちゃんはどうして短剣ばかり作るの?」
「ん? あぁ、短剣は一度イメージが固まったから、作るのが楽というか、すぐ作れるからね。さっきの職員さんが言っていたみたいに、新たに剣を作ろうと思ったら、先ずは見本を見つけて、じっくり観察して、イメージを固めて……って、ちゃんと作ろうとすると、それなりに時間が掛かっちゃうからさ」

 とはいえ、普通に剣を作るのに比べれば、きっと遙かに楽で早いんだろうけどね。

「そっかー。それに、短剣より剣の方が沢山材料が要りそうだもんねー」
「まぁでも、新たな街に着く度に、こうしてゴミの回収をしているから、そこは大丈夫だと思うよ。それより……シャルロット。確か次の街はロールシア国だよね?」
「はい、その通りです。明日の朝に馬車に乗れば、お昼前には国境の村ですね」

 いよいよだ。
 十六年間、一度も他の国へ行った事がなかったから、実は凄く楽しみだったりする。
 それに、クリスを家に帰してあげる事も出来るしね。
 
「お兄ちゃん、いよいよだね! パパとママに紹介するから、頑張ってね!」
「ん? 頑張る? 挨拶は普通にするよ?」
「流石、カーティスさん。余裕ですね。こればっかりは私やマリーには出来ないイベントですので、しっかり体験してきてください」

 んん? ただ、クリスのご両親に挨拶するだけだよね?
 シャルロットやマリーの親に挨拶出来ないっていうのは分かるけどさ。
 とりあえず夕食を済ませ、お風呂……も何とか済ませて、就寝。
 翌朝は、予定通り乗合馬車で移動し、あっさりと国境へ。

「お客様方。すみませんが、一旦馬車から降りて下さい。兵士さんが身分証の確認をされますので、そちらに並んでいただけますか?」

 馬車の御者さんが手慣れた感じでお客さんを誘導していき、僕たちもそれに倣う。
 意外にサクサクと進んでいき、

「ふむ、鍛冶師か」
「はい。ロールシア国には観光です」
「そうか。別に戦争をする訳ではないが、他国で良い武器を作らぬようにな」
「は、はぁ……」
「よし、通って良いぞ」

 無事に国境を越える事が出来た。
 ここからは、ロールシア側で馬車を見つけないといけないので、シャルロットに案内してもらっていると、

「カーティスさん……つけられていますね。どうしますか?」

 不穏な言葉が告げられてしまった。
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