神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人

文字の大きさ
上 下
52 / 90
第1章 ゴミスキルと古代兵器

第47話 命令

しおりを挟む
「ダメだよっ! 僕にはマリーさんを攻撃なんて出来ないっ!」
「何を言っているの!? 私を壊さなきゃ、私に攻撃されるが確定しているのよ!?」

 マリーさんは、所有者であるローガンに命令されると拒まない。
 だからと言って、今まで一緒に行動してきた仲間を攻撃なんて出来る訳ないよっ!

「お嬢ちゃん。貴女でも良いわ。そのナイフで、私を滅多刺しにして」
「む、無理だよーっ! そりゃあ、お兄ちゃんにキスした時は……げふんげふん。何とか違う方法を考えようよ」
「……今、私を壊さないと、カーティスにもっと凄い事するわよ? 最期の思い出作りだもの。あんな事やこんな事だってしちゃうんだからっ!」
「そ、それならクリスも混ぜ……こほん。とにかく、それもダメーっ!」

 何をする気なのかは分からないけど、何となく良くない事なのだろう。
 この状況で、どうすればマリーさんを壊さず、無事に切り抜けられるかを考え、

「……シャルロットはどう思う?」
『……マリーが所有者の命令に逆らえないのは本当かと。攻撃能力だけを破壊出来れば理想的ですが、流石にそれは難しいかと』
「……マリーさんをストレージに収納出来れば良いんだけどね」

 シャルロットに話を聞いてみたものの、特に有益な情報は無かった。
 シャルロット曰く、このダンジョンに他の出入口は無いらしいので、やはりあのローガンの前を通るしかないようだ。

「そうだ! もう入り口のそばまで来ているし、マリーさんの魔法で壁を壊して、ダンジョンから出るとかはどう?」
「出来なくはないけど、ここって山の中の洞窟よ? そんな事をしたら、山が崩れて生き埋めになるわよ」
「生き埋め……は嫌かな」

 どうしたものかと思っていると、

『カーティスさん。洞窟の入口に居る者たちが、こっちへ向かっています』
「げっ……皆、隠れよう」

 シャルロットの言葉で慌てて後ろに下がり、岩陰に隠れる。
 少しすると、何人かの足音が聞こえ、

「ふっ、隠れても無駄だ。黒髪の人形が居るだろう。そいつには、何処にいても居場所が分かる追跡魔法を掛けている。さぁ人形よ、隠れてないで出て来い」

 マリーさんの事を人形呼ばわりしてきた。
 だけど、そのマリーさんが立ち上がり、歩いて行こうとする。

「マリーさんっ!?」

 慌ててその手を掴むけど、マリーさんは振り向きもせずに、歩きだす。
 なので後ろから抱き締め、羽交い締めにして、無理矢理止める。

「ふむ。一緒に居る男……カーティスとか言ったか。そやつがカード形態にしているのか。まぁ良い。ならば、出て来たくなるようにしてやろう」

 何とかマリーさんを抑えていると、遠目にローガンたちが何かを取り出したのが見えた。
 それが何かは分からないけど、何をする気なのだろうか。

「お前たちがこの近くに居るのは分かっている。出て来るなら今だぞ。まぁ嫌でも出て来る事になるのだが……これは、ダンジョンに魔物を出現させるマジックアイテムだ。しかも、魔物の強さや量を指定出来る。お前たちは……A級ダンジョンの魔物に勝てるかな?」

 ローガンがそう言った直後、ダンジョンが震えた……気がした。

『カーティスさん! 残念ながら、あの男の言う事は本当かと。周囲にこれまでよりも遥かに強い魔物が居ます!』

 待って! これまでよりも強い魔物って言うけど、マリーさんがこの状態で戦うなんて無理だよっ!?
 だけど、そう思った時には、

『カーティスさん。後ろから魔物が来ています!』

 背後に熊みたいな魔物が居て……仕方ないっ!
 マリーさんの手を握りつつ、片手で魔銃の狙いをつけ……撃つっ!
 あぁぁ……片手だからか、思っているところから少しズレてるっ!
 幸い、複数の敵を対象にして、範囲攻撃となるような弾を込めていたから命中したけど、そうでなければ、外れていた。
 片手で戦闘は無理だと思った所で、クリスが飛び出し、魔物に斬りかかる。

「硬ーい!」

 幸い、動きはそれ程速くないみたいだけど、クリスの攻撃が効いていないみたいだし、早く次弾を……撃つっ!
 クリスを巻き込む訳にはいかないので、両手でしっかり狙いを定めたので、無事魔物に命中し、倒す事が出来たんだけど、

「はっはっは。そんな所に居たのか。追跡魔法は大雑把にしか位置が分からんのが困ったものだが……人形よ。古代兵器は何処にある!」

 手を離してしまったが故に、マリーさんがローガンに見つかり、シャルロットの位置を聞かれてしまった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

ダンジョンで同棲生活始めました ひと回り年下の彼女と優雅に大豪邸でイチャイチャしてたら、勇者だの魔王だのと五月蝿い奴らが邪魔するんです

もぐすけ
ファンタジー
勇者に嵌められ、社会的に抹殺されてしまった元大魔法使いのライルは、普通には暮らしていけなくなり、ダンジョンのセーフティゾーンでホームレス生活を続けていた。 ある日、冒険者に襲われた少女ルシアがセーフティゾーンに逃げ込んできた。ライルは少女に頼まれ、冒険者を撃退したのだが、少女もダンジョン外で貧困生活を送っていたため、そのままセーフティゾーンで暮らすと言い出した。 ライルとルシアの奇妙な共同生活が始まった。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

処理中です...