神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人

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第1章 ゴミスキルと古代兵器

第35話 D級冒険者に昇格

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「キータグチの街だよ。何故か予定より、早く着いたけど、気にしないでくれ」

 御者さんが馬車を停め、僕たちを含めた乗客たちが降りていく。
 とりあえず、夕食を済ませて宿の部屋に入ったんだけど、

「お兄ちゃん、どうしよう。馬車で寝ちゃったから、クリス……寝れないよー」

 ベッドで寝ようとしたら、クリスがゴロゴロと転がり、くっついてくる。
 僕は騎士やマリーと色々あったから、ちょっと眠たいんだけど……あまりにもクリスが退屈そうなので、ちょっとお喋りする事に。

「馬車の中でも話したけど、クリスはこの国を出ても大丈夫?」
「もちろんっ! そもそも、クリスはこの国で産まれた訳でもないしね」

 あ、そうか。クリスは悪い奴らに拐われて来たのか。

「じゃあ、どうせ国を出るなら、クリスの故郷に行こうか。騎士たちも国を越えて追って来る事は出来ないはずだから、迷惑を掛ける方はないと思うし」
「えっ!? それは、クリスのパパやママに会ってくれるって事?」
「そうだね。クリスの実家を目指すのもよいかもね」

 今は見知らぬ地で、身寄りも無い状態だから僕について来ているけど、家族に会えばクリスの考えも変わるかもしれない。
 暫く一緒に居たから、今更行動を別にするのは寂しいけれど、クリスにとって一番良い状態を考えてあげないとね。

「え、えっと、お兄ちゃん。不束者ですが、よ、宜しくお願いします」
「ん? よ、宜しく? ……クリス、顔が真っ赤だけど、大丈夫?」
「だっ……大丈夫! 大丈夫だもん!」

 突然クリスがベッドに倒れ込み、頭から毛布を被る。
 いや、変な体勢だからパンツが見えちゃってて……とりあえず、クリスも寝るみたいだから、僕も寝よう。
 灯りを消せば何も見えないしね。

「クリス。じゃあ、灯りを消すね」
「っ!? ひゃっ、ひゃいっ!」
「じゃあ……おやすみ」
「お、おやすみなさ……えぇっ?」

 元々眠たかった上に、クリスとお喋りしていたから、直ぐに眠気が襲ってきて、夢の世界へ旅立つ。
 その直前にクリスが何か言いながら、くっついてきた気もするけど、僕の意識は……うん。クリスの高い体温のおかげか、あっという間に眠れたよ。

……

『おはようございます、ご主人様。今は朝の七時です。そろそろ起きる時間です……が、昨晩のあれは、少々酷いかと』

 翌朝。いつも通りシャルロットが起こしてくれて……って、いつも通りではなかったね。
 何だかよく分からない事を言われたんだけど、隣で眠るクリスに声を掛けると、

「クリス、おはよう」
「むー……お兄ちゃん。おはよ」

 何故か少し不機嫌だった。
 だけど、そう言いつつも、いつもより距離が近い気もする。
 よく分からないけど、とりあえず着替えたいから少し離れて欲しいかな。

「じゃあ準備も済んだし、先ずは馬車で移動しようか」

 一先ず、何とかクリスに離れてもらい、身支度を整える。

「く、クリスのお家――ロールシア国へ行くんだよね?」
「そうだよ。えっと、クリスのお家はロールシア国にあるんだね。……ここからだと、ちょっと遠いかな」
「そうなの?」
「うん。でも騎士たちも、僕たちが遠いロールシア国へ行くとは思わないだろうから、丁度良いんじゃないかな」

 ロールシア国は実際に行った事がないけど、ここからだと馬車を乗り継いで行かないといけないはずだ。
 その辺りは、馬車の停留場で聞けば良いやと思いつつ、クリスを連れて宿を出る。
 暫く歩くと、冒険者ギルドの建物が目に留まり、

「あ……そういえば、ギルドに来いって言われていたよね。ちょっとだけ寄って行こうか」

 寄るように言われていた事を思い出して、建物の中へ。
 受付のお姉さんに事情を話して、冒険者カードを渡すと、

「おめでとうございます。これで、お二人はD級冒険者となりました。街の近くで、比較的弱いとされる魔物を倒す依頼が受けられるようになっていますので、是非そちらの掲示板でご確認ください」

 新しいカードが返ってきた。
 昨日ので騎士を撒き、シャルロットからも周囲に怪しい人物が居ないと言われている。
 更に念を入れて次の街へ移動したら、魔物退治の依頼を受けてみようかな。

 一先ずここでは依頼を請けず、クリスの故郷を目指して次の街、グルガンに移動した僕たちは、そこで魔物退治の依頼を請ける事にした。
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