神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人

文字の大きさ
上 下
29 / 90
第1章 ゴミスキルと古代兵器

第25話 全裸にさせられるクリス

しおりを挟む
「お兄ちゃん。また、騎士さんたちだね」
「そうだね。王都周辺ならともかく、こんな辺境の地に珍しいね」

 クリスと昼食を済ませ、ゴミ捨て場も回り切ってしまったので、街をプラプラしていると、ちょくちょく騎士に遭遇する。
 露店で雑貨を見ていた時には、食堂で持ち物チェックをされた騎士に、再び遭遇した程だ。

「んー、こんなに沢山騎士が派遣されているって事は、相当凶悪な人が潜んでいるのかもね」
「国家反逆だっけ? 怖いよね。お兄ちゃん、クリスを守ってくれる?」
「もちろん。クリスは僕が守るよ」
「えへへー。お兄ちゃん、カッコ良い! あと、大好きっ!」

 クリスが僕に抱きつき、周りの人たちが微笑ましい目を向けてくる。
 クリスを男の娘から元に戻すべく、男らしさを見せているつもりなんだけど……逆効果になっていないよね?

「けど、そんなに危ない人たちが居るなら、宿をキャンセルして、もう次の街へ移動しようか。一日に二回も馬車に乗る事になっちゃうけど」
「クリスは大丈夫だよー。それより、変な事に巻き込まれる事の方がイヤかな」
「分かった。じゃあ、そうしようか」

 今から特急馬車に乗れば、陽が落ちる前には移動出来るんじゃないかと思う。
 そこから慌てて宿を探さないといけないけど、シャルロットが居れば大丈夫かな?

「……シャルロット。マリーさんたちは、今どうしているの?」
『マリーは、割と近くに居ます。区画二つくらい離れた所ですね』

 マリーさんとジェームズは、相変わらずシャルロットを探しているみたいだし、やっぱり移動するなら特急馬車だね。
 普通の乗合馬車だと、夜になっちゃうだろうし、ジェームズたちが特急馬車を使ったら、追いつかれちゃうしね。

 早速宿へ戻り、キャンセル料を払って馬車の停留所へ。
 北のカンパッチ行きの特急馬車に乗ったのは、僕たちを含めて六人だけ。
 魔法使いっぽい男の人と、子供連れの三人家族、そして僕たちの三組だ。

 一先ず、クリスと共にゆったりとしたシートへ腰掛け、到着を待っていると、まだ道半ばといった所なのに、突然馬車が停止する。
 何かトラブルかな? と思っていると、

「急ぎのところをすまない。この馬車に、国家反逆を企てる者が乗っているという情報が……また君たちか」

 またもや同じ騎士さんに遭遇した。
 しかし、その危ない人から逃げる為に特急馬車で街を出たのに、まさかその人と同じ馬車に乗ってしまうなんて。
 ついてないなと苦笑しつつ、これまでと同様にシャルロットをストレージに収納すると、

「街の中とは違い、この周辺に人が居ない。つまり二人の御者を含め、この八人の中に、ある危険な物を隠し持っている者が居るはずだ。悪いが全員服を脱いでもらい、詳細に身体を調べさせてもらう!」

 とんでもない事を言い出した。
 服を脱いで……って、全裸になれって事なの!?
 僕はともかく、クリスが……と心配していると、

「では、男性は馬車の外へ出てもらおう。尚、女性は馬車の中で、女性騎士が調べるので、協力いただきたい」

 クリスが馬車に残り、僕は外へ出される。
 ど、どうしよう。
 クリスを外へ出さないと!
 全裸にされて、クリスが男の娘だってわかったら、良くて変質者扱いで、最悪女性の着替えを覗いた……と、投獄されてしまうかもしれない。
 だけど、既に場所の扉が閉められた上に、

「では先ずそこの少年からだ」

 真っ先に僕が調べられる事になってしまった。

「ふむ……何度も遭遇しているから、一番怪しいと思ったのだが、本当に隠し持っていないな。ならば、女の子の方か?」

 下着も含めて脱がされ、服の中も細かく調べられ……関係無いのに酷い目に遭った。
 これと同じ事をクリスがされているのかと思うと、物凄く不安なんだけど、

「女性と、二人の幼女を徹底的に調べましたが、例の物は見つかりませんでした」

 意外にも何事もなく終わる。
 けど女性っていうのは、あのお母さんで、二人の幼女って、その娘さんと、クリスの事?
 あれ? 流石に女の子は下着を脱がされたりはしなかったって事なの?

「何だと!? 男性側にも無かったし……下着の中も調べたんだな?」
「当然です」
「くっ。所有スキル判別するマジックアイテムには、ゴミスキルとしかでないし、こっちの女児は未だスキルを授かっていない。誰もストレージスキルを持っていないとなると、馬車や馬に隠されているのか!?」

 下着も脱がされたって言っているけど、クリスも……だよね?
 じゃあ、いくらクリスの見た目が女の子でも、実際は男だって分かっちゃうはずなのに。
 訳が分からず困惑していると、着替えを済ませたクリスが僕の隣にやってきて、

「うぅ……女の人とはいえ、お兄ちゃん以外の人に色々見られちゃったよー!」

 涙目で僕に抱きついてくる。
 ……って、待って。
 え? えぇっ!? まさか……まさかクリスって、男の娘じゃなくて、本当に女の子なのっ!?
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

異世界悪霊譚 ~無能な兄に殺され悪霊になってしまったけど、『吸収』で魔力とスキルを集めていたら世界が畏怖しているようです~

テツみン
ファンタジー
『鑑定——』  エリオット・ラングレー  種族 悪霊  HP 測定不能  MP 測定不能  スキル 「鑑定」、「無限収納」、「全属性魔法」、「思念伝達」、「幻影」、「念動力」……他、多数  アビリティ 「吸収」、「咆哮」、「誘眠」、「脱兎」、「猪突」、「貪食」……他、多数 次々と襲ってくる悪霊を『吸収』し、魔力とスキルを獲得した結果、エリオットは各国が恐れるほどの強大なチカラを持つ存在となっていた! だけど、ステータス表をよーーーーっく見てほしい! そう、種族のところを! 彼も悪霊――つまり「死んでいた」のだ! これは、無念の死を遂げたエリオット少年が悪霊となり、復讐を果たす――つもりが、なぜか王国の大惨事に巻き込まれ、救国の英雄となる話………悪霊なんだけどね。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...