神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人

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第1章 ゴミスキルと古代兵器

第13話 買取屋のテレーズさん

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「お兄さん、お名前は?」
「え? カーティスです」
「じゃあ、カー君って呼ぶねー。カー君は、お姉さんと何をしたいのかなー?」

 背丈でいうとクリスと殆ど変わらないくらいに小さくて、でも物凄く胸の大きな女の子――テレーズさんが、机の上に重量感のある胸を乗せる。
 ……きっとあの胸が重いから、支えがないと辛いんだろうな。
 胸が大きいと大変そうだなと思っていると、

「お兄ちゃん、帰ろう。入るお店を間違えたんだよ」
「クリス? 待って、とりあえず話を聞いてみようよ」
「むー……お兄ちゃんのえっち!」
「え、どうして!?」

 何故かクリスが不機嫌になってしまった。
 一先ず、先に用件を進める事にして、

「あの、こちらで武器や防具を買い取ってくれると聞いたのですが」
「えぇ、買い取るわよー。でも、普通の買い取り屋さんとは違って、買い取れない物もあるからね」
「……例えば、この鉄の盾なんて、如何でしょうか?」

 ストレージから取り出した、盾を机に置く。
 さっきのお店みたいに、盗品呼ばわりされるなら、すぐに帰ろうと思っていると、

「凄い。綺麗で質の良い盾ね。この感じからすると、スキルで作ったのね」
「はい! わ、わかるんですか!?」
「もちろんよ。こう見えて、お姉さんは凄いんだから」

 説明する前に、テレーズさんがスキルで作った盾だと分かってくれた。
 ただ、胸を張って「凄いんだから」なんて言われると、ただでさえ大きなテレーズさんの胸が……

「お兄ちゃん」
「え? クリス、どうしたの?」
「……べっつにー」

 何故か口を尖らせるクリスを不思議に思っていると、テレーズさんが自動計算機と呼ばれるマジックアイテムを叩く。

「この盾なら、このくらいの金額で買い取るけど、如何かしら?」
「え? 買い取ってくれるんですか? 僕、鍛治ギルドとかに所属していませんけと……」
「えぇ、大丈夫よ。というのも、私は買い取った物をそのまま売る訳じゃないのよ。冒険者をしている姉に使ってもらおうと思って」
「あ……買い取れない物があるっていうのは、テレーズさんのお姉さんが使わない物は買い取らないって事ですか?」
「そういう事。と言っても、姉はクランに所属しているし、予備の装備も要るから、沢山買い取るわよー」

 クランというと、多くの冒険者パーティが集まった集団の事で、大小様々だけど最低でも十数人は居るはず。
 今の話からすると、テレーズさんはお姉さんが所属しているクランにも協力しているみたいだ。
 という事は、それなりの数があっても大丈夫って事かな?

『カーティスさん。買い取り価格は妥当だと思いますよ。高くも安くもないです』

 シャルロットが買い取り価格をチェックして問題ないと言ってくれたので、一先ず修理した鉄の武器や防具を全て出すと、

「……じゃあ、これくらいでどうかしら」
「こんなに! ありがとうございます!」

 元はゴミだった物が、銀貨三十枚にもなってしまった。
 流石に毎日大量のゴミが出るとは思えないけど、数日おきにやってみても良いかもしれない。

「じゃあ、カー君の用事はおしまいかな?」
「はい、そうですね」
「じゃあ、沢山装備を売ってくれたお礼に、お茶でも飲んでいく?」

 よろこんで!
 ……って答えようしたんだけど、

「お兄ちゃん。クリスとお買い物に行くんだよね?」

 クリスが頬を膨らませて僕を見ていた。
 あー、僕がずっとテレーズさんと話し込んでいたから、暇だったのかな。

「すみません。今日は時間が無いので、またの時に」
「そっかー、残念。うちの紅茶、美味しいって評判なんだけどなー」
「お兄ちゃん……」

 クリスが涙目になってしまったので、テレーズさんに頭を下げ、お店を出る事に。

「カー君、また来てねー!」

 テレーズさんに見送られて店を出ると、すぐにクリスが口を尖らせる。

「もうっ! あのエルフ……お兄ちゃんを誘惑してっ!」
「えっ!? テレーズさんって、エルフだったの!? よく、わかったね」
「よく分かったね……って、思いっきり耳が尖っていたんだけど。……お兄ちゃん、テレーズさんの顔じゃなくて、何処を見て話していたの?」

 いや、まぁその。と、時々目線が胸に……でもテーブルの上に乗っているからさ。
 買取の品に目を向けたら、どうしても視界に入ってしまう訳で。

 でも、エルフなら色々と納得かな。
 あんなに幼いのに店長だったり、一目見てスキルで作られた装備だって見抜いたり。
 だけど、どうしてシャルロット曰く、評判が悪いんだろ?

「お兄ちゃん! また、あのおっぱいエルフの事を考えてるでしょっ!」
「ち、違うってば」

 ……もしかして、買取以外の余計な事を考えてしまったり、お店が買取屋に見えないから、評判が悪いのかな?
 そんな事を考えながら、何故か不機嫌なクリスに手を引かれ、街の大通りへ向かう事にした。
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