神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人

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第1章 ゴミスキルと古代兵器

挿話2 密約を交わすジェームズ

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 いつの間にか黒髪の美少女から、謎のカードに戻ってしまったマリーこと、マジックフォンとやらを手にして自室に戻り、暫く休んで居ると、

「お待たせしました。ジェームズ様、こちらで宜しいでしょうか」
「あぁ、そこに置いておいてくれ」
「しかし、高価なマジックポーションをこんなに沢山……一体何をされるおつもりですか?」
「うるさいっ! お前には関係無い! それを置いて、今すぐ部屋から出ていけっ!」

 俺の命でメイドが大量のマジックポーションの入ったビンを置いて行く。
 すぐにメイドを部屋から追い出し、早速持って来させたマジックポーションの一つを飲み干す。

「不味い……が、これで魔法力が回復した。さて、出て来てもらうぜ! マリー!」

 先程と同様に緑色の円に触れると、光と共にマリーが現れた。

「またお前か。確かジェームズと呼ばれていたな」
「おぉ……俺の名を覚えてくれたのか!」
「……マジックフォンでもあるからな。起動者の名前は嫌でも履歴に残ってしまう」
「さて、マリー。すぐ傍のテーブルを見てみろ! これだけマジックポーションを用意したんだ。時間はたっぷりあるから、質問に答えてもらうぞ」
「……好きにすればいい」

 先程同様に、冷たい目で見つめられ……変な気持ちになってしまう。
 何故、俺はマリーに見られるだけで、こうも心がざわつくのだろう。……珍しい黒目だからか?

「……こほん。先ず、マジックフォンとは何だ?」
「大昔に作られた文明の利器だ」
「文明の利器? よく分からんが、古代兵器と呼ばれているそうだが?」
「この時代の文明レベルからすれば、兵器と呼ばれるかもしれないな。我々は普通のマジックフォンなのだが」

 マリーが何を言っているのか、サッパリ分からない。
 だが、人間がこんなに小さくなれるのも変な話だし、いわゆる変身魔法というやつだろうか。
 ただしあれは、机上の空論で、実践など出来るとは思っていなかったのだが。
 少し頭痛がしてきたので、二本目となるマジックポーションを飲み、再びマリーと向き合う。

「わかった。質問を変えよう。俺は、最近復活したと言われる古代兵器を探さなければならないのだが、マリーはその在り処が分かるのか?」
「……お前の言う古代兵器が、お姉様の事であれば、ある程度分かる」
「お姉様?」
「……私よりも先に作られたマジックフォンで、ずっと眠りに就いておられたのだが、つい最近目覚められたのだ。しかしお姉様は、初期型で戦闘機能など皆無だと言うのに、優れた索敵機能や天候予測機能などを有する為、軍事利用が可能というくだらない理由で破壊された。……許せないっ!」

 索敵機能? 何だそれは?
 天候予測? そんな事出来る訳がないだろう。天気なんて、空の上に居らっしゃる太陽神が定めるものだ。
 ただ、マリーが例の古代兵器を探せるというのは事実らしい。

「で、その古代兵器はどこにあるんだ?」
「何故、お前にお姉様の事を教えなければならないのだ」
「そ、それがお前の役目だろう!」
「違うな。それはお前の仕事であり、私が協力する筋合いはない」
「……き、協力しないのであれば、俺がお前を壊す!」
「やれるものなら、やってみれば良いだろう。言っておくが、私はマジックフォンの形態でも、周囲の会話は聞こえている。私の真の所有者は、騎士団長のローガンという男だ。お前は一時的に私を貸与されているに過ぎず、かつあの男より地位が低い。そんなお前が、私を破壊出来るのか?」

 くっ……全てお見通しなのか。
 だが、マリーに協力してもらわなければ、騎士団長からの依頼は達成できず、ルイス家の評価が下がってしまう。
 どうすれば、マリーのやる気を出せる?
 ……そうだ!

「わかった。マリーのお姉様? とやらは、過去に破壊されているのだろう? ならば、それを俺が保護するというのはどうだ?」
「……どういう事?」
「そのままの意味だ。そのお姉様を回収し、マリーと共にどこか遠くへ逃げてやるよ。それなら、マリーも姉も自由だし、壊されたりしないだろ?」
「…………その言葉、本当だな?」
「あぁ、もちろん。だから、マリーの姉の元へ案内してくれ」
「わかった」

 ふっ……チョロいな。
 そんなの嘘に決まっているだろ。
 古代兵器を回収したら、即騎士団に引き渡してやる!
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