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第67話 ダンジョンの後に
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――ルーシーさん! 今の魔法は何なの!? 何か木の矢を放っていたけど。あんな魔法、見た事も聞いた事もないわ!異様にダンジョンの事にも詳しいし、どういう事か説明してくださる!?
メリッサさんに木魔法の事を見られ、そんな事を言われるだろうと覚悟し、どうやって言い訳しようかと考えて居たら、
「ルーシーさん! ありがとう……私のせいで、ローランドが危険な目に遭ってしまった。もっと素直に貴女の忠告を聞いておくべきだったわ」
予想に反して、素直な感謝の言葉を伝えられてしまった。
「いえ、私の方こそ、もっと分かりやすく話せば良かったです。理由も説明されずに言われても、納得出来ないですもんね」
「まぁ、突然の事だったし、仕方ないと言えば仕方ないけど、ルーシーのおかげで俺たちは死ななくて済んだ。本当にありがとう」
「えぇ、そうね。さぁ、ルーシーさん。あのボスを倒したのは貴女だし、ドロップアイテムは貴女に得る権利があるわ。見に行きましょう」
メリッサさんに促されて見に行くと、倒したイビルミラーの奥にあったのは、小さな三角錐の形をしたお香だった。
「これは何かしら? お香?」
「え、えぇ。えーっと、これは私には必要無い物から、メリッサさんが使うと良いかも」
「ダメよ。今回、私は二人に迷惑を掛けただけで何もしていないもの。これが何かは私には分からないけど、上級ダンジョンのボスが落としたくらいなんだから、きっと貴重な物よ。とりあえず、貴女が持っておいてよ」
そう言って、メリッサさんが渡してきたのは、相愛のお香っていうアイテムで、ときメイで攻略対象に使うと一気に親愛度が上がる消費アイテムなのよね。
ゲーム内では凄く有効なアイテムだけど、ルーシーである私が持っていても全く意味が無い。
使う相手が居ないし、使ったとしても、私はいずれ辺境の地へ飛ばされるのだから。
とはいえ、メリッサさんから強引に渡され、仕方なく受け取ると、奥の魔法陣から外へ戻る事に。
「ローランドさんも、メリッサさんもお疲れ様でした」
「お疲れ様。……もうこんな時間なのか。ダンジョンの中で時間間隔がおかしくなっていたのかな」
「そうかもしれないわね。とりあえず、今日は帰りましょうか。先生への報告は明日で良いでしょ。ローランドもルーシーさんも、お疲れ様」
そう言って、メリッサさんが足早に帰って行く。
やはり上級ダンジョンでの事で、かなり精神的に参っているようだ。
「ローランドさん。では、私たちも帰りましょうか」
「待ってくれ。ルーシー……さっき、ダンジョンの中で俺に治癒魔法を使ったよね?」
「つ、使いましたけど……あれは、アニエスさんとかも使える低位の治癒魔法なんですよ」
「いや、俺は鑑定スキルを持っているからね。あの時、俺はもう自分が助からない事が分かって居た。死ぬ間際の最後の力を振り絞って、意識だけは保っていたけど……ルーシーは俺の命の恩人だ」
そうだ、ローランドさんは鑑定スキル持ちだった。
どうやって切り抜けようかと思っていたら、
「ルーシー、俺と婚約してくれ。短い期間ではあるが、これまで共に時間を過ごしてきた中で、君と一緒に居る時が本当に楽しかったんだ。本当は卒業する時に言うつもりでいたが、命の恩人であるルーシーを、俺はもう放したくない!」
「え!? えぇぇぇっ!? こ、婚約っ!?」
ローランドさんからとんでもない事を言われてしまった。
メリッサさんに木魔法の事を見られ、そんな事を言われるだろうと覚悟し、どうやって言い訳しようかと考えて居たら、
「ルーシーさん! ありがとう……私のせいで、ローランドが危険な目に遭ってしまった。もっと素直に貴女の忠告を聞いておくべきだったわ」
予想に反して、素直な感謝の言葉を伝えられてしまった。
「いえ、私の方こそ、もっと分かりやすく話せば良かったです。理由も説明されずに言われても、納得出来ないですもんね」
「まぁ、突然の事だったし、仕方ないと言えば仕方ないけど、ルーシーのおかげで俺たちは死ななくて済んだ。本当にありがとう」
「えぇ、そうね。さぁ、ルーシーさん。あのボスを倒したのは貴女だし、ドロップアイテムは貴女に得る権利があるわ。見に行きましょう」
メリッサさんに促されて見に行くと、倒したイビルミラーの奥にあったのは、小さな三角錐の形をしたお香だった。
「これは何かしら? お香?」
「え、えぇ。えーっと、これは私には必要無い物から、メリッサさんが使うと良いかも」
「ダメよ。今回、私は二人に迷惑を掛けただけで何もしていないもの。これが何かは私には分からないけど、上級ダンジョンのボスが落としたくらいなんだから、きっと貴重な物よ。とりあえず、貴女が持っておいてよ」
そう言って、メリッサさんが渡してきたのは、相愛のお香っていうアイテムで、ときメイで攻略対象に使うと一気に親愛度が上がる消費アイテムなのよね。
ゲーム内では凄く有効なアイテムだけど、ルーシーである私が持っていても全く意味が無い。
使う相手が居ないし、使ったとしても、私はいずれ辺境の地へ飛ばされるのだから。
とはいえ、メリッサさんから強引に渡され、仕方なく受け取ると、奥の魔法陣から外へ戻る事に。
「ローランドさんも、メリッサさんもお疲れ様でした」
「お疲れ様。……もうこんな時間なのか。ダンジョンの中で時間間隔がおかしくなっていたのかな」
「そうかもしれないわね。とりあえず、今日は帰りましょうか。先生への報告は明日で良いでしょ。ローランドもルーシーさんも、お疲れ様」
そう言って、メリッサさんが足早に帰って行く。
やはり上級ダンジョンでの事で、かなり精神的に参っているようだ。
「ローランドさん。では、私たちも帰りましょうか」
「待ってくれ。ルーシー……さっき、ダンジョンの中で俺に治癒魔法を使ったよね?」
「つ、使いましたけど……あれは、アニエスさんとかも使える低位の治癒魔法なんですよ」
「いや、俺は鑑定スキルを持っているからね。あの時、俺はもう自分が助からない事が分かって居た。死ぬ間際の最後の力を振り絞って、意識だけは保っていたけど……ルーシーは俺の命の恩人だ」
そうだ、ローランドさんは鑑定スキル持ちだった。
どうやって切り抜けようかと思っていたら、
「ルーシー、俺と婚約してくれ。短い期間ではあるが、これまで共に時間を過ごしてきた中で、君と一緒に居る時が本当に楽しかったんだ。本当は卒業する時に言うつもりでいたが、命の恩人であるルーシーを、俺はもう放したくない!」
「え!? えぇぇぇっ!? こ、婚約っ!?」
ローランドさんからとんでもない事を言われてしまった。
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