悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

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第66話 木魔法

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「メリッサさん!」
「……わ、私のせいで、ローランドが……」

 どうやら、自身の放った魔法が反射され、ローランドさんが怪我を負った事で、ショックを受けただけのようだ。
 メリッサさんは、ローランドさんが庇ったみたいで、怪我などは無さそうに見える。
 その一方で、ローランドさんは身体がボロボロみたい。

「メリッサさん! 立てますか!? 私が防御魔法で攻撃を防ぎます。その間に、ローランドさんを連れて逃げてください!」
「私のせいで……」
「メリッサさん! しっかりしてくださいっ! ローランドさんを助けないとっ!」

 ダメだ。メリッサさんの心が折れている。
 仕方がない。このままローランドさんを放っておくわけにもいかないので、

「……≪ヒール≫」

 小声でこっそり治癒魔法を使ってみた。
 ローランドさんは、意識はあるけどフラフラだし、メリッサさんは茫然としているから、大丈夫……だよね!?

「あ、あれ? 俺は……あんなに身体が痛かったのに、何ともない?」
「よ、良かったですね。それよりローランドさん! 私が攻撃を防いでいる間に、メリッサさんを連れて逃げてください!」
「しかし、ルーシーを置いて……わかった。先ずはメリッサを連れて出るよ」

 私一人なら大丈夫だと理解してくれたのか、ローランドさんがメリッサさんを抱き上げて扉の方へ。
 二人が部屋を出たら、私も退却しようと思っていたら、

「くっ……扉が開かない! 上級ダンジョンだからなのか!?」

 奥からローランドさんの焦った声が聞こえて来た。
 いやいやいや、嘘でしょ!? ボスの部屋から逃げられないのは隠しダンジョンで、上級ダンジョンでは逃げられるはずなのにっ!
 とはいえ、様子を見に私まで奥へ移動してしまったら、あのボスが迫って来るし……倒すしかないって事なの!?
 だけど、イビルミラーは全ての属性の魔法を反射する。
 だから、このボス戦ではアメリアは支援に徹して、前衛に頑張ってもらうしかないんだけど……このパーディには前衛が居ないのよっ!
 他のゲームみたいに、無属性の魔法があれば何とかなりそうだけど、ときメイでは火水風土光闇の六属性しかない。
 氷魔法は水に分類されているし、雷魔法も風に分類されているから、同じ様に反射されてしまう訳で……

「って、ちょっと待って。木魔法って、何に分類されるの!? イメージ的には土が近い気もするんだけど……ユリシアが木魔法と土魔法は別って言っていたわよね? ……ユリシア、聞こえる?」
『はい、聞こえていますよ。木魔法は木魔法なので、土魔法とは別ですよ』

 思った通り! だけど、念の為に土の壁で部屋の奥――扉の方を守っておく。
 反射された魔法を避けれるように、予め構えておいて、

「≪ブランチ・アロー≫」

 唯一私が練習しまくっている攻撃魔法でイビルミラーを攻撃してみた。
 私が放った木の枝の矢が反射されたとしても、いつでも左右に飛べるように身構え……反射されない!
 これなら、いけるっ!

「≪ブランチ・アロー≫」

 イビルミラーの放つ攻撃魔法を避けつつ、時には土の壁で防ぎながら、ひたすら木の矢を放ち続けていると、大きな鏡にヒビが入り……砕けた。

「良かった。何とかなった! ローランドさん、メリッサさん! 大丈……夫?」

 気付けば、土の壁の奥からローランドさんとメリッサさんが出てきていて……しまった! ローランドさんはともかくとして、メリッサさんに木魔法を見られちゃった!?
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