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第55話 森のキッチン
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「じゃあ、先ずはご飯だよねー!」
「わーい! お姉様のごはんー!」
一先ずダニエルたちを宥め、私の夕食を作ろうと思ったんだけど、さっきまで怒っていたナーシャちゃんが喜びだした。
えっと、私のご飯……まぁ皆で食べた方が美味しいよね。
「お米はいつでも食べられるようにストックしてあるけど、タクアンはまだ早そうだし、ナーシャちゃんには合わない気がするから……よし、アレにしよう!」
「お姉様。私なら、お姉様の作って下さったものなら、何でも食べられますよ?」
「えっと、別にマズい訳じゃないんだけど、いきなりタクアンはビックリしそうだから、もうちょっと洋風な料理にするね」
私はお漬物が好きなんだけど、金髪エルフのナーシャちゃんが、ご飯片手にタクアンをかじっているイメージが湧かなかったのよね。
それはさておき、先ずは倉庫魔法から調理器具を取り出して、お米を研いで……野菜は何にしようかな?
「……じゃあ、コレとコレっ!」
「何や、お嬢ちゃん。そっちのやつは、唐辛子ほどやないけど、結構辛いやつやないか」
「それは生で食べたからじゃない? これは、火を通すと甘くなるのよ」
という訳で、先ずはいろんな料理に使えるタマネギを育てて、収穫。
スパパーンっと、みじん切りにすると、フライパンで炒める。
ちなみに、相変わらず私にはヒート・プレートが使えないので、ナーシャちゃんにお願いしていたりするんだけどね。
フライパンに研いだお米を入れて、暫く炒めたら、もう一つの食材……トマトを投入っ!
「お嬢ちゃん。トマトは普通に食べた方が美味しいんやないか? えらいぐちゃぐちゃにしてもーたけどさ」
「まぁまぁ。確かにトマトはそのままでも美味しいんだけど、ケチャップっていう、トマトのソースにしたりするくらい、色々使えるから、まぁ見てて」
「ダニエルは、もう少し静かに。お姉様を信じるのよっ!」
あの、ご飯を作っているだけで、信じる信じないみたいな話は流石に飛躍しすぎな気もするんだけど。
とりあえず、もう少しで完成だからと宥めつつ、水魔法で水を。それとコンソメを入れて、暫く煮込むと……完成っ!
「出来たよー! トマトリゾット!」
私の言葉で、フライパンを見つめながら涎を垂らしていたナーシャちゃんや、ずっと鼻をクンクンとさせていたセシルに、リンゴをかじっていたダニエルがすぐさま集まって来た。
「お、美味しそうーっ!」
「もの凄く良い匂いがするー!」
「ふむ。変わった食べ物だな」
三者三様の反応を見ながら、器にリゾットをよそって……
「って、しまった! テーブルとかイスとかがないっ!」
お皿やスプーンなんかは、前に調理器具と一緒に購入していたけど、家具の類までは買っていなかった。
よく考えたら、辺境の地に何があって何が無いかも分からないし、買いにいかないとね。
「お姉様。こちらは如何でしょうか」
「えっ!? 凄い……これ、ナーシャちゃんが作ったの!?」
「はい。いつも、ここへ遊びに来ておりますし、お姉様の果物で魔力がありましたので」
魔法を使って編んだという若草色のシートを、ナーシャちゃんが広げてくれたので、私もそこへ座らせてもらい、
「いただきまーす!」
早速作ったリゾットを食べてみる。
うん、美味しい! チーズや牛乳があれば、更に美味しくなったと思うけど、十分美味しく出来たわね。
「お姉様……こ、これは、美味し過ぎますっ! 何ですか? 神の食べ物ですか?」
「お姉ちゃん、もの凄く美味しいよー! 凄いねー!」
「くっ……トマトがグチャグチャにされてしまったはずやのに、めちゃくちゃ美味しいやないか! お嬢ちゃん、店が開けるでっ!」
皆から大絶賛されたリゾットを食べ終え、デザートに桃をいただいて、夕食が終了。
後片付けも終わらせたけど……そろそろ、寮の前にいた人たちは帰ってくれたかな?
「わーい! お姉様のごはんー!」
一先ずダニエルたちを宥め、私の夕食を作ろうと思ったんだけど、さっきまで怒っていたナーシャちゃんが喜びだした。
えっと、私のご飯……まぁ皆で食べた方が美味しいよね。
「お米はいつでも食べられるようにストックしてあるけど、タクアンはまだ早そうだし、ナーシャちゃんには合わない気がするから……よし、アレにしよう!」
「お姉様。私なら、お姉様の作って下さったものなら、何でも食べられますよ?」
「えっと、別にマズい訳じゃないんだけど、いきなりタクアンはビックリしそうだから、もうちょっと洋風な料理にするね」
私はお漬物が好きなんだけど、金髪エルフのナーシャちゃんが、ご飯片手にタクアンをかじっているイメージが湧かなかったのよね。
それはさておき、先ずは倉庫魔法から調理器具を取り出して、お米を研いで……野菜は何にしようかな?
「……じゃあ、コレとコレっ!」
「何や、お嬢ちゃん。そっちのやつは、唐辛子ほどやないけど、結構辛いやつやないか」
「それは生で食べたからじゃない? これは、火を通すと甘くなるのよ」
という訳で、先ずはいろんな料理に使えるタマネギを育てて、収穫。
スパパーンっと、みじん切りにすると、フライパンで炒める。
ちなみに、相変わらず私にはヒート・プレートが使えないので、ナーシャちゃんにお願いしていたりするんだけどね。
フライパンに研いだお米を入れて、暫く炒めたら、もう一つの食材……トマトを投入っ!
「お嬢ちゃん。トマトは普通に食べた方が美味しいんやないか? えらいぐちゃぐちゃにしてもーたけどさ」
「まぁまぁ。確かにトマトはそのままでも美味しいんだけど、ケチャップっていう、トマトのソースにしたりするくらい、色々使えるから、まぁ見てて」
「ダニエルは、もう少し静かに。お姉様を信じるのよっ!」
あの、ご飯を作っているだけで、信じる信じないみたいな話は流石に飛躍しすぎな気もするんだけど。
とりあえず、もう少しで完成だからと宥めつつ、水魔法で水を。それとコンソメを入れて、暫く煮込むと……完成っ!
「出来たよー! トマトリゾット!」
私の言葉で、フライパンを見つめながら涎を垂らしていたナーシャちゃんや、ずっと鼻をクンクンとさせていたセシルに、リンゴをかじっていたダニエルがすぐさま集まって来た。
「お、美味しそうーっ!」
「もの凄く良い匂いがするー!」
「ふむ。変わった食べ物だな」
三者三様の反応を見ながら、器にリゾットをよそって……
「って、しまった! テーブルとかイスとかがないっ!」
お皿やスプーンなんかは、前に調理器具と一緒に購入していたけど、家具の類までは買っていなかった。
よく考えたら、辺境の地に何があって何が無いかも分からないし、買いにいかないとね。
「お姉様。こちらは如何でしょうか」
「えっ!? 凄い……これ、ナーシャちゃんが作ったの!?」
「はい。いつも、ここへ遊びに来ておりますし、お姉様の果物で魔力がありましたので」
魔法を使って編んだという若草色のシートを、ナーシャちゃんが広げてくれたので、私もそこへ座らせてもらい、
「いただきまーす!」
早速作ったリゾットを食べてみる。
うん、美味しい! チーズや牛乳があれば、更に美味しくなったと思うけど、十分美味しく出来たわね。
「お姉様……こ、これは、美味し過ぎますっ! 何ですか? 神の食べ物ですか?」
「お姉ちゃん、もの凄く美味しいよー! 凄いねー!」
「くっ……トマトがグチャグチャにされてしまったはずやのに、めちゃくちゃ美味しいやないか! お嬢ちゃん、店が開けるでっ!」
皆から大絶賛されたリゾットを食べ終え、デザートに桃をいただいて、夕食が終了。
後片付けも終わらせたけど……そろそろ、寮の前にいた人たちは帰ってくれたかな?
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