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第51話 ルーシーからのプレゼント
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「ルーシー。うちの料理はどうだった?」
「とっても美味しかったです。毎日……は、学校だから、毎週こんな食事をされているんですか?」
「家に帰ればこんな感じかな」
へぇー。やっぱり貴族って凄いんだねー。
いや、私……というかルーシーも貴族だから、私が知らないだけで、家ではこんなのを食べていたのかもしれないけどさ。
使うナイフやフォークも、メイドさんが料理を運んで来た時に、何を使えば良いか教えてくれるし、テーブルマナーはテレーズさんがさり気無く教えてくれたし……何とか乗り切れたっ!
「ところで、ルーシーは俺に何か用事があったんじゃないのか?」
「……あぁーっ! そうだった! えーっと、テレーズさん……」
美味しいご飯で、何をしに来たのか完全に忘れていたけど、テレーズさんがスッと立ち上がり、ずっと手にしていたバスケットをローランドさんへ。
「ローランド様。先日、お嬢様へ菜園クラブの備品を下さったそうで。このようなお食事をいただいた後で恐縮ですが、心ばかりのお礼で御座います」
「備品……?」
「ほ、ほら。いつも菜園クラブで色々と教えてくれているじゃないですか。そのお礼ですよ」
ダニエルに会わせられないから、その代わりに……と来ているので、当然ながらローランドさんは不思議そうにしているけと、私の必死さを汲み取ってくれたのか、とりあえず受け取ってくれた。
「お嬢様の領地で採れた果物です」
「それは、いいね。早速いただいても?」
「はい、勿論です」
ローランドさんがメイドさんにバスケットを渡すと、少しして綺麗にカットされたフルーツがお皿に盛られてやって来た。
桃やメロンにイチゴ……なるほど。ときメイの世界の果物も、日本で食べていたのと同じような物なのね。
今度は桃を植えてみようかな。
「美味しい! うちの家でこんなに美味しいフルーツが採れるんだ」
「はい。というかお嬢様は、もう少しそういった事にも興味を持ってくださいね」
「あはは、そうだね。ルーシーは、いつも魔法か作物の話ばかりだからね。もう少し、将来の事とかにも興味を持って貰えると助かるんだけどね」
テレーズさんとローランドさんはそう言うけど、私は辺境へ行く事が決まっているからね。
生きていく為に、魔法や食べ物に興味が向くのは当然な訳で。
「そうだ! あと、これは私から……前に魔法大会で優勝させてもらったし、そのお礼です」
「魔法大会で優勝したのは、ルーシーの力だと思うけど?」
「あ、じゃあ要りませんか?」
「いや、貰う……というか、ルーシーからのプレゼントだなんて初めてだし、そりゃあ欲しいよ」
「最初から素直に喜んでくれたら良かったのに……では、どうぞ」
「ありがとう。開けても良い?」
「はい、どうぞ」
丁寧にラッピングされた、掌よりも二回り程大きな箱をローランドさんが開け、中身をマジマジと見つめる。
「これは……種?」
「はい。お花の種です。ローランドさんは作物を育てるのがお好きですし、花なら野菜と違って一緒に育てるとダメなものとかが無さそうだったので」
「へぇー、野菜は一緒に育てられない物があるなんて、よく知っていたね」
「た、たまたまです。そ、それより、そのお花をローランドさんに育てていただきたいなーなんて」
軽い気持ちでそう言うと、
「……わかった。ルーシーに貰ったこの花の種を、絶対に咲かせてみせるよ」
何故か、めちゃくちゃ目に力の篭った、熱い眼差しで見つめられてしまった。
「とっても美味しかったです。毎日……は、学校だから、毎週こんな食事をされているんですか?」
「家に帰ればこんな感じかな」
へぇー。やっぱり貴族って凄いんだねー。
いや、私……というかルーシーも貴族だから、私が知らないだけで、家ではこんなのを食べていたのかもしれないけどさ。
使うナイフやフォークも、メイドさんが料理を運んで来た時に、何を使えば良いか教えてくれるし、テーブルマナーはテレーズさんがさり気無く教えてくれたし……何とか乗り切れたっ!
「ところで、ルーシーは俺に何か用事があったんじゃないのか?」
「……あぁーっ! そうだった! えーっと、テレーズさん……」
美味しいご飯で、何をしに来たのか完全に忘れていたけど、テレーズさんがスッと立ち上がり、ずっと手にしていたバスケットをローランドさんへ。
「ローランド様。先日、お嬢様へ菜園クラブの備品を下さったそうで。このようなお食事をいただいた後で恐縮ですが、心ばかりのお礼で御座います」
「備品……?」
「ほ、ほら。いつも菜園クラブで色々と教えてくれているじゃないですか。そのお礼ですよ」
ダニエルに会わせられないから、その代わりに……と来ているので、当然ながらローランドさんは不思議そうにしているけと、私の必死さを汲み取ってくれたのか、とりあえず受け取ってくれた。
「お嬢様の領地で採れた果物です」
「それは、いいね。早速いただいても?」
「はい、勿論です」
ローランドさんがメイドさんにバスケットを渡すと、少しして綺麗にカットされたフルーツがお皿に盛られてやって来た。
桃やメロンにイチゴ……なるほど。ときメイの世界の果物も、日本で食べていたのと同じような物なのね。
今度は桃を植えてみようかな。
「美味しい! うちの家でこんなに美味しいフルーツが採れるんだ」
「はい。というかお嬢様は、もう少しそういった事にも興味を持ってくださいね」
「あはは、そうだね。ルーシーは、いつも魔法か作物の話ばかりだからね。もう少し、将来の事とかにも興味を持って貰えると助かるんだけどね」
テレーズさんとローランドさんはそう言うけど、私は辺境へ行く事が決まっているからね。
生きていく為に、魔法や食べ物に興味が向くのは当然な訳で。
「そうだ! あと、これは私から……前に魔法大会で優勝させてもらったし、そのお礼です」
「魔法大会で優勝したのは、ルーシーの力だと思うけど?」
「あ、じゃあ要りませんか?」
「いや、貰う……というか、ルーシーからのプレゼントだなんて初めてだし、そりゃあ欲しいよ」
「最初から素直に喜んでくれたら良かったのに……では、どうぞ」
「ありがとう。開けても良い?」
「はい、どうぞ」
丁寧にラッピングされた、掌よりも二回り程大きな箱をローランドさんが開け、中身をマジマジと見つめる。
「これは……種?」
「はい。お花の種です。ローランドさんは作物を育てるのがお好きですし、花なら野菜と違って一緒に育てるとダメなものとかが無さそうだったので」
「へぇー、野菜は一緒に育てられない物があるなんて、よく知っていたね」
「た、たまたまです。そ、それより、そのお花をローランドさんに育てていただきたいなーなんて」
軽い気持ちでそう言うと、
「……わかった。ルーシーに貰ったこの花の種を、絶対に咲かせてみせるよ」
何故か、めちゃくちゃ目に力の篭った、熱い眼差しで見つめられてしまった。
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